枕草子 (My Favorite Things)

【第53回】 オートクレーヴ(1998年8月14日)

気がついてみたら,前回このページを更新してから1週間以上経ってしまった。この間にやっていたことといえば,来月札幌で行われる日本人類学会の飛行機と宿の予約と,書評掲示板の更新と,日本オセアニア学会のWEBページ作成と,マラリア原虫とヒトの共進化のモデル作りと,…オートクレーヴくらいしかない。ああ,能率悪いなあ。

書評掲示板にはほぼ毎日新しい本を追加しているのだが,それとは別に『「神」に迫るサイエンス』の評に対して,瀬名秀明さんご本人からコメントをいただいたのが大きなできごとであった。今更ながらWEBがメディアであることを意識させられた。下手なことは書けないなあと思う今日この頃である。

日本オセアニア学会のWEBページは,前々から学術情報センターの学会ホームビレッジに入れてもらおうと思ってメールを出して問い合わせていたのだが,返事がもらえないので,まずうちの教室のサーバに仮ページを作ってしまい,既成事実を固めようということになって,急遽作成したものである。だから,まだ不備な点が多々あるが,おいおい拡充していこうと思っている。

マラリア原虫とヒトの共進化のモデルというのは,Hamilton以来多々出ているのだが,先日新しいアイディアを思いついたので興奮している素材なのである。マラリア原虫の生活史サイクルとヒトの生活史サイクルは時間が全く違うので組み合わせるのが難しく,Hamiltonはたしか世代単位でやっていたと思うが,それだとInterventionを組み合わせることが難しいので,リアルタイムでくっつけてしまおうと思っている。もちろん短時間きざみの方に合わせるのである。詳しくはマラリア伝播の数学モデルのページで今後展開する予定であるが,こういう一発アイディアものの場合,できてから公開しないと他の人に先にやられてしまうかもしれないので,まだしばらくかかると思う。

さてオートクレーヴ(autoclave)である。日本語では,たぶん高圧蒸気滅菌,だと思う。いや,実はタイトルにするほどじゃないんだが,明日からELISAで測定をしようと思っていて,廃棄物としてプレートが出るのでオートクレーヴ処理ができるようになっておかなければならなかったわけである。これまでは,他の教室とか実習用のオートクレーヴを借りたりしていたのだが,昨年度末にやっと人類生態学教室でも買ったので,動かしてみたのだ。摂氏121度の蒸気で高圧で12分間。ま,操作は簡単なのだが,容量が小さいのは予想外だった。せいぜいプレート20枚くらいしか一度にはできない。圧力と温度がある程度下がるまで蓋はあけられないし,結局,4回動かす必要があった。ふぅ。世の中,pas a pasである(蛇足的な注:pas a pasは「一歩一歩」という意味で,真ん中のaは本当はアクサン・グラーヴがつくが,àとやっても日本語フォントでは正しく表示されないので仕方なくこんな注などつけているのはいと悲し)。


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