日経サイエンス12月号のC.P.メイネル氏の記事はとても面白いのだが,「ハッカーはどのように侵入するか」という題には怒る人がいそうだ。この記事に登場する「アベデネゴ」は,クラッカーとは言えるかもしれないが,ハッカーとは呼べないのではなかろうか。ぼくの理解では,ハッカーというのはシステムに精通した自由な精神の人の筈で,他人のシステムへの不法侵入とその破壊を目論む犯罪者はクラッカーと呼ばれると思うのだが。しかし,原題もHow Hackers Break In...and How They Are Caughtなので,訳の問題ではないようだ。
ここに書かれている侵入手段は実に細かく具体的で,3台のunixマシンの管理者としては鳥肌が立ってくる。常々u-tokyo-adminやJPCERTの警告に接してはいても,今ひとつ切迫感がなかったが,こういう異常なシステム侵入者が現実に存在するならば,やはり頻繁にセキュリティにも気を使わねばならないのは仕方ないのかもしれない。悲しいことだが。
この記事の他にも,解剖学者にして脳の思想家にして昆虫少年の養老孟司さんとC. Elegansシミュレーションとか機械翻訳とかで知られる現代最高の天才とぼくが思う北野宏明さんの対談とか(余談だが北野共生プロジェクトで行われている公募って魅力的なんだよなぁ…学生の頃だったら応募するところだ),特集2の「女性の科学」とか,日経サイエンス12月号は面白そうな記事が満載で,お買い得である。久々に内容に満足した雑誌であった。
全然違う話題だが,ぼくはプロ野球では中日ドラゴンズを応援しており,星野仙一監督のHOSHINO★EXPRESSは毎日読んでいる。そこで監督が書かれていたが,川上憲伸投手が新人王に選ばれたそうだ。川上投手は攻めのピッチングをするので見ていて気持ちがよいのだ。喜ばしい限りである。