枕草子 (My Favorite Things)
【第252回】 多忙(2000年2月28日)
- 直前になってばたばたと予定が入ってくるのが原因とはいえ,こう多忙だと大変である。たぶんWEBサイトに書く文字数が減ると思われる。今日はやや寝坊して6:30起床だったため,往路は7:50発あさま2号。隣に座った人も長野から大宮までの定期券ユーザだった。
- 今日のミーティング準備はなんとか終わったけれど,さて反響やいかに。
- 明日と明後日は調査の予定。
- ミーティングは人数が少なかったけれど,まあまあの盛り上がり。もう一人の発表者のネタは,ブルガリアの研究者が,銅の精錬工場の近くで砒素汚染を受けている妊婦で,グルタチオンによる抗酸化作用を調べたもの。データは良さそうだが,統計解析がカスだった。ぼくのネタはソロモン諸島でのマラリア原虫の薬剤耐性と栄養状態の相互作用についてのケースコントロール研究で(1997年のTropical Medicine and International Healthに出ていた),前振りとして,薬剤耐性のメカニズムがホットな話題になっていて先週のNatureに鍵となりそうな論文が出ていたという話を使った。紹介した研究自体は,熱帯熱マラリア原虫陽性の子どもをクロロキン治療した結果,低体重の子どもが低体重でない子どもに比べて耐性が多かったというデータそのものは重要だと思ったし,統計解析もきちんとされていたが,たぶん筆頭著者が現地を良く知らないせいで,解釈がややおかしいのが残念だった。(1)彼らは食物摂取の点からみて,著者が想定しているほど低栄養ではありえないし,(2)W/AのNCHSに対するパーセンタイル値は,比較的短期間の影響を示すと考えられるし,(3)耐性が見られたのは低年齢で感染強度が強いことと関連していたというデータが出ているので,「マラリアへの免疫の違いで,低栄養だとクロロキン耐性になりやすい」という著者の解釈よりは,むしろ,クロロキン耐性を示すような,強い感染強度で低年齢の子どもにかかった場合は,感染の身体影響が大きくでて,一時的に体重減少すると考える方が筋が通っていると思う。これは,Letters to Editorを出そう。RIIIの耐性は3人にしか見られなかったことから考えて,Natureに出ていたような真の耐性strainにかかっていたのは,この3人だけではなかろうか。
- 帰りは終電の1本前。長野は大雪だそうだ。
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