枕草子 (My Favorite Things)
【第448回】 理想のブラウザ(2000年12月13日)
- 今朝は目が覚めたら7:00だったのだが,油揚げとキャベツで味噌汁を作った。息子と一緒に家をでて,長野駅についたのは8:20頃だった。あさま506号の発車まで少し時間があったのでKIOSKを覗いたら週刊アスキーの新しい号が並んでいたので購入。面白かった記事はブラウザのレビューと携帯型MP3プレイヤのレビュー。以前探したときはほとんどなかったのだが,現在では結構たくさんのフリーブラウザが出ているらしい。
- なかなか満足できるブラウザというものがなくて,IE5やIE5.5はセキュリティが不安だし(クラッカーの標的になっているから,他のブラウザ以上にセキュリティに強くなくてはいけない),Netscape 6は重すぎるし,operaは不安定だったし(最近出たversion 5 for Windowsはフリーになったし安定しているのだが日本語が表示できないのが欠点),Lynx32はテキストだけなら軽くて最高だけれどTABLEや画像が見えないし,w3mでも画像が見えないし,と帯に短し襷に長し状態だったのである。Netscape Navigator 4.7系は軽いしBookmarkの扱いが簡単で好みだったのだが,CSS1の解釈が正しくないとかいった問題があったし,セキュリティ問題もあるようだし,新しいバージョンではBookmarkの日本語が文字化けするという問題があったし(パッチが流れているがうまく当たらなかった),これも不十分なのだ。
- 理想のブラウザの条件としては,(1)軽いこと,(2)JavaやJavascriptのON/OFFがワンタッチでできること,(3)CSS1を正しく解釈してくれること,(4)ある程度セキュリティが信頼できること,くらいは満たして欲しいのだが,なかなかそうしたものがない。週刊アスキーの記事からすると,ソースを公開しているというDonutと,高速化を目指したというかまいたちが有望そうなので,試してみようと思う。
- 研究室についてメールを見たら,瀬名さんから丁寧なコメントが届いていた。誤植に関しては,ご自身のサイトで情報を公開しているとのこと。さっそく見に行ったら,新着情報の一番下にあった。こういうフォローアップは,簡単そうでなかなかできないことだと思うが,科学書については是非やって欲しいことで,その意味でも「ミトコンドリアと生きる」は素晴らしい。ちなみに,ぼくも気づかなかった誤植もいくつか掲載されていたが,p.143の図5.4のキャプション中の2ヶ所のIAP(AIPの誤植と思う)は載っていなかったので,追加していただけるとありがたい。
- 昼飯時にダウンロードしてみたら,「Donut」も「かまいたち」も確かにキビキビ動くのはいいのだが,どちらもIEに依存していたのが残念だった。IEのセキュリティホールに影響を受けないのかどうかがわからないし。週刊アスキーには出ていなかったけれど,W3Cのreference clientであるAmayaというのがあって,最新の4.1(2000年11月23日リリース)ではXHTML 1.0とかMathML 2.0とかCSS2とかに対応しているし,画像表示もできるし,もちろんオープンソースだし,編集までできるという凄いソフトなのだが,日本語の表示ができないという致命的欠点があって使えない。もう一つ欠点といえばフレーム表示もできないようだが,それは我慢できるので,日本語さえ表示できれば乗り換えるんだがなあ,と思う。
- 昼間はずっと人口モデル。公衆衛生実習の学生のおかげで,計算のゴールは近いかも。後は解釈と文章だな。Natureに載せてもらうためには文章も大事なので,気合をいれて10回くらいは英文表現を推敲しなくては。
- 帰りは終電。大宮から座れたので,打ち出しておいたHow to get published in NatureとNature Guide to Authorsを熟読した。フォームについて書かれている以上に,査読のプロセスとか読みやすさとかカバーレターでNatureが相応しい理由を説明せよとかいった,他誌ではあまり見られない説明があった。とりわけ驚いたのは,内容については解禁日まで一切公開してはならないと書かれていたことだ。完成したらここで解説しようと思っていたのだが,発行日の1週間前までダメということだ。もっとも,2日でエディターが査読に回す価値があるかどうか判断し(つまりは門前払いもありうるということ),その後1週間で査読結果がくるというのだから,掲載されるにせよ,されないにせよ,待ち時間は短かそうなのがいい。さすが一流誌は違う。文章として一番難しそうなのは最初の段落(他誌ではabstractに当たる)で,180語以内で研究の背景や根拠,成果のまとめを述べ,Here we showに類似したフレーズで始まる簡潔な結論を書くというところである。180語以内で文献番号まで含めて書くというのは内容を削ぎ落とすだけでも相当の難事だし,表現まで考えたらほとんど不可能に近いような気がしてくる。これはきっと最後に書くべき文章なのだろう。エディターからのsuggestionが受けられるというのは心強いが,ともかく英文もエディターが読む気になるくらいのレベルにはしておかなくては話にならない。
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