枕草子 (My Favorite Things)
【第633回】 夫婦公論(2001年8月28日)
- 目が覚めたら7:00だったので,慌てて子どもたちを叩き起こし,卵かけご飯だけというシンプルな朝食を食べさせた。しかし,どうして子どもというやつは急ぐということができないのだろう? 理由は忘れてしまったが,ぼく自身も子どもの頃は一つのことに集中して急ぐことができず,なんやかやと他のことに手を出しては親に怒られていたような気がするから,仕方ないか。
- 息子を送り出してから娘を自転車に乗せて保育園へ行き,食費と延長保育料を払ってから長野駅へ向かった。今日も信号に恵まれたので,余裕をもってあさま506号に乗れた。「夫婦公論」を読了した。同業者で同世代の夫婦である点がぼくら夫婦と共通しているので,自分の身に引き付けて共感するところもあったし,夫婦間の違いを何でも男女間の違いに帰結させようとしたがる話の展開の雑駁さに辟易するところもあったが,面白かった。もっとも,彼らには子どもがいないので,その分取り上げられるネタの幅が狭く,惜しいと思う。これ,同じような形でぼくと妻が書いたら,もっと面白いものが書けそうな気がするが,知名度が出ないと出版社は声を掛けてくれないだろう。つまり,逆にいえば,「夫婦公論」は,内容が良い以上に,夫婦ともに直木賞作家で知名度があるから売り物になる本である。
- いつも思うこと。富士通とか東芝とか日立とか,判で押したように1割の人員削減をするらしいが,どこか1つくらい,人は減らさずに,1割の給与削減と勤務時間短縮をする会社はないものだろうか? 労働内容が誰がやっても同じものなら,それでも効率は変わらないはずだ(有能な人を残したところで勤務時間を長くしたら疲れて効率は落ちると思う)し,人によって違う成果がでるものなら,なるべく多様な人材を残した方がプラスのはず。悪くてもトントンの効果を産むと思うのだが。
- 今日も上野でBOOK GARDENの中を通ってしまったので,つい徳間文庫の棚をみてしまったら,1冊だけ「六色金神殺人事件」を見つけてしまった。当然,買ってしまった。研究室に着いたら,川端の新刊「The S.O.U.P.」が昨日発売になったというメールが届いていた。帰りに買おうと思っていることは言うまでもない。
- 生協書籍サークルで注文していた本が届いた。長野県の川辺書林という出版社の本だが,「地方小出版流通センター扱い」と注記したら無事に買うことができた。「コペルニクス的エコ宣言」「治水とダム」「山造り承ります」の3冊だが,コペルニクスの本を買おうと思ってサイトを見たら,他に2冊も読みたい本を見つけて注文してしまったというわけだ。もう1冊,エド・レジス「悪魔の生物学」(河出書房新社)も同時に届いたのだが,こちらは人畜共通感染症(Zoonosis)連続講座の山内一也氏が監修なので,つい買ってしまった。
- こうして今日もぼくの机の後ろには本が積まれていく。
- 帰りも予定通り「The S.O.U.P.」を買い,あさま521号車内で,東野圭吾「あの頃ぼくらはアホでした」(集英社文庫)を読破した。単行書は1995年に集英社から出たもので,1998年には既に文庫落ちしている。「夫婦公論」のそばにあったので,ついでに買ってしまったわけだが,当たりだった。青春時代の馬鹿話を回顧したものだが,ネタも語り口も面白い。こういうのを読むといつも,よく覚えているなあと感心する。もっとも,細部は創作なのかもしれないが。ちなみに「The S.O.U.P.」の最初の方をちらっと読んだら,鳥肌が立った。サーバ管理者が読んでも納得がいく現実感をもったクラッキング追跡の描写に小説で出会ったのは,これが初めてだ。
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