往路あさま550号。いつもは7:02発のこの電車に乗ろうと,6:55に長野駅についたのだが,安中榛名と高崎の間で送電トラブルがあったとかで,その1本前の502号すら入線していないのだった。結局502号は運転中止になり,臨時のグリーン車以外全席自由596号というのが7:15頃出発したのだが,殺人的な混み方をしていたので見送って,間髪を入れずに到着したあさま550号に乗ったわけである。定刻より19分遅れの発車となった。
軽井沢でバッテリーが切れてしまったので,そこから上野までは眠ってきた。550号はそれほど混まなかったようである。
一日中,講義準備やソロモン諸島班の発表準備などをして過ごした。雨が降っていたので迷ったが傘をさして自転車を漕ぎ,予定通りの終電1本前にちょうど間に合った。清水義範「源内万華鏡」(講談社文庫)を読んでいるのだが,これが滅法面白い。源内をダ・ヴィンチになぞらえたのは誰だったか忘れたが,稀代のアイディアマンだったことは間違いないし,この本を読んでリバースエンジニアリング(というよりパラレルエンジニアリングか)の天才であったこともわかった。清水義範のテンポの良い文章も,源内の波乱万丈の人生を描くのにうってつけであり,つい没入してしまった。帰宅後も食事をしながら読み続け,読了した。悲劇といえば悲劇の終幕なのに,なぜか読後感が重くないのは,源内の生き方ゆえだろうか。
ふと思ったが,既に原型があるものを改良することと,それをセルフプロデュースして売り出すことの天才といえば,現代で言えばビル・ゲイツである。源内がもし現代に生きていて,坂村さんをサポートしていれば,ビル・ゲイツの向こうを張ってTRONを世界標準にできたかもしれない。それとも,源内の気風からしたらKondaraみたいなものを立ち上げている方がありそうか。