みぞれ交じりの雪だったので,長野電鉄で長野駅に出た。ぼくの意識する限りでは,この冬の初雪である。これが遅いのか早いのかしらないが,こうやって雪が降り始めると,冬を実感する。東京で研究室では,何台ものコンピュータが発する熱のために暖房がいらないどころか,半袖で過ごしている竹内君の姿など見ると,まるで季節感がないのだが。
往路あさま506号は8:34発だが,安中榛名,高崎,熊谷に停まらないので,上野に10:10に着く,と車内アナウンスが言っている。窓の外は灰色の雲が低く垂れこめていて,すすり泣くように雪が舞い降りていたのだが,トンネルを抜けて上田側に出たら、青空が見えてきた。柔らかな陽射しが快い。
軽井沢を過ぎた辺りでは雪景色も見えるのだが,さらにそれを越えて高崎辺りになると紅葉や黄葉がまだ残っていて(だいぶ散っているが),今日のあさま号は冬と秋を行ったり来たりしているような気がする。風流だなあ。
往路が長野電鉄だったので,帰りも終電というわけにはいかないと思っていたが,やはり終電1本前となった。北川歩美「金のゆりかご」(集英社文庫)と藤木稟「CROOK2」を読了。「金のゆりかご」は実に北川歩美らしい傑作である。大森望の解説が実に的確なので,ここで書評を書こうという気がなくなってしまったが。CROOK2の方は前作の続きの世界が展開されるのだが,まだまだ物語の入り口という感じである。