枕草子 (My Favorite Things)

【第734回】 変な天気である(2001年12月13日)

1:00頃から5:00頃まで眠ってしまったので,7:00頃に異様な高密度で講義準備を終わらせる必要に迫られ,一時は講義に遅刻するかと思ったが,ちょうど信号との相性が良かったようで,7分で上野駅に着いて,毎週乗っている7:22発たにがわ号に乗ることができた。

今日は学生が多かったが,本来の年内最終回だからだろうか。調査の都合で来年の講義を来週にずらしたのだが,果たして来週くる学生は何人いるだろうか? ともあれ,今日の生態学は,コーエン『新「人口論」』を1回でやってしまおうという無謀な企画だったので,恐れていた通り,やや不消化な講義になってしまった。ぼくの力不足と言えよう。もう少し流れを整理することはできたはず。

社会統計学も1回で分散分析と多重比較と共分散分析をやってしまうという,いささか無謀な計画だったのだが,共分散はさらっと触れるだけにして分散分析に的を絞るという戦略は,そう悪くはなかったと思う。ただ,後1回となって,社会統計学の効用という話をあまりしなかったと後悔している。少なくとも,統計結果の恣意的解釈を見たときや変な分析法を見たときに,それがおかしいとわかるというのは,大きな効用だと思う。例えば,新聞やベストセラーになった本のような権威のあるメディアに発表されていても,意外に妙な解釈は多いので,それを鵜呑みにせず批判的に読めるというだけでも,メディア・リテラシーとして意味があると思う。多くの一般市民が十分なメディア・リテラシーを身につけた社会になれば,風評被害とかマスヒステリーとかいった現象を避けることができると思うので,この効用は,本当に大きな意味があるはずなのだ。

講義終了後,なぜか晴れている天気に戸惑いながらも並榎町まで歩いてバスに乗り,13:09発あさま552号に間に合った。この電車はこれまでずっと1号車と2号車が滅茶苦茶混んでいて,座れないのが普通だったのだが,今日たまたま4号車に乗ったら窓際の席も空いていた。12月だからだろうか? それとも4号車はずっと空いていた?

上野に着いたら冷たい雨が降っていて,傘を差して自転車に乗ったが,かなり濡れた。本当に変な天気である。

夕方再び殺意のこもったメールをいただいたので,殺したいほど憎まれる覚えはあんまりないのだが,今日の日記の中で,もしかするとと思い当たる記述を,より真意が伝わる形に書き換えた(つもりである)。

19:00頃までかかって,学生実習のレポートの採点を終えた。面白かったのは,浄水場の1つがある,朝霞という地名を知らなかったらしい人が多かった(か,知らない人が書いた模範レポートが出回った)ことである。朝霧という,まるで茶の銘柄みたいな誤記をしている人がクラスの半数近かったのではないだろうか。霞と霧は,形は似ているけれど,読みは違うから,誤変換というより,情報源にした誤字があったと考える方が自然だ。やはり誤字を含んだ模範レポートという線だろう。他に,3人ほど,朝露と書いている人がいて,爆笑してしまった。霞と露なら相当違うから,これも見間違いというよりは,3人で協力してレポートを作ったということだろう。最近は情報の相互利用が簡単だから,見かけは長くて立派なレポートが多いのだが,中身は同じ間違いをしていたり,同じ不適切な統計処理をしていたりするし,同じような浅い考察をしていたりするので,採点がつまらない。たまにオリジナリティがあるレポートを見つけると,嬉しくなって高い評価をしてしまいがちであったのも仕方ないことであろう。

21:00近くなって帰ろうと思ったら,星空であった。くどいようだが,本当に変な天気だ。帰りは終電1本前。


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