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【第22回】 ハマダラカネタ（2004年4月27日）

• 5:30起床。家事とか諸連絡とか，晩飯を済ませておくように子供に伝えたりしているうちに6:35を過ぎた。雨が強いので自転車が使えず，結局昨日と同じ7:56発あさま504号に。
• 今日の主な仕事はデータベース処理とRbookの校正（と図版の差し替え）であるが，間に合うかどうか微妙なところだ。しかし，忙しいときに限って面白いネタにめぐり合うもので，社会疫学・マルチレベル分析の林さんからメールで教えてもらった《核兵器》でマラリア蚊を殲滅!?というニュースにはコメントせずにはいられない（ただ，《核兵器》というのは東スポの見出しなみに誇張した表現というか，むしろ嘘といっていいが）。
• 数年前，遺伝子組換え蚊でマラリア根絶とかいうニュースが出たときにコメントしたように，γ線照射で不稔化した雄を放すことで蚊を減らす試みは，遺伝子組換え蚊を放すよりも，ずっとマシなのは確かだけれど，池庄司敏明「蚊」（東京大学出版会）を見てみると，コトはそれほど単純ではない。p.84に書かれているように，ハマダラカの多くは群飛をするので，不稔の蚊も野生の蚊と同じように群飛できなくてはいけないわけだが，γ線照射で不稔にするということは飼育している蚊なので，行動が変わってきてしまうらしいのだ。同書p.90から引用すると，

  群飛場所の違いは生殖隔離の原因となる。Reisen et al. (1983)によれば室内飼育したCx. tarsalis雄を野外へ放飼すると，空間飛群(space swarming，層をなして広がる群飛)をつくり，頂上群飛(top swarming，木の頂などの高い群飛)する自然雄（中澤注：雌のtypo？）と決して混合し交尾しない。この選択交尾性は，わずか数世代の室内飼育で確立するので，不妊虫放飼法（ガンマ線照射で不妊化した雄を大量に放飼し，自然雌と交尾させ不妊卵を産ませ，駆除する方法）が適用できず，問題となっている(Reisen, 1985)。

  ということなのだ。さらに，ハマダラカの場合は群飛の時間帯もかなり厳密に決まっているので，γ線照射・室内飼育の蚊では，そういう行動への影響も懸念される。雄の蚊は吸血しないので，ヒトへの影響を考えなくてもいい点だけは救いだが，この方法でのマラリア対策を有効に機能させるのは，かなり難しいのではないか，というのが正直な感想だ。
• いろいろ作業をしながら共同研究の承諾書の処理など。大学院の実習のシラバスは連休明けに提示せねばならんとのこと。公私ともにやることが多すぎて忘れそうなのが怖い。
• Rbookの原稿は，基本的には校正ゼロでいいのだが，図版に不備があったのと，索引語を付け直す必要があるかどうかが問題だとわかったので，そういうメールをお送りしてみた。昼食後はデータベース処理をやろう。
• データベースはサーバ上のデータ更新まで終わったところで18:10を過ぎた。今夜は子供たちだけで留守番しているはずなので，あまり遅くなれない。あとは家からログインしてやることにして帰途についた。小雨が降っていたのでレインコートを引っ掛けて前橋駅までゆっくり自転車を漕いだら，30分近くかかって，18:44発の両毛線にちょうどいいタイミングになった。PHSにRbookの失敗図版についての返事が入り，やっと悪い点が飲み込めた（薄々判っていた点もあるが）。一番悪かったのは，WindowsのOOo Drawの画面上では線が見えるので気づかなかったが，線がすべて太さゼロになっていたところだった。Illustratorでは太さゼロだと表示されないとのことで，確かにその方が正しいのだが，はて，何でぼくはこの原図を太さゼロの線で書いたのだろう？　PowerPointから変換したような気もするので，変換やグループ化を繰り返しているうちにおかしくなってしまったのかもしれない。フォントもArialとMS Pゴシックが混在していたので，やや格好悪いが全部MSゴシックに統一し，本文と記号を一致させた図を作り直すことにした。新幹線の中で作業を完了したので，帰宅したらメールを送ってみることにしよう。

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