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個別メモ

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【第1372回】 採点開始(2009年7月14日)

ダメな日常
5:30起床。食事中に左上の歯の詰め物が取れてしまった。しかし今日は受診する暇はなさそうだ。家事が多くて往路あさま510号。今日は採点を始めねばならない。まずは採点基準表を作るか。
再び謎
新型インフルエンザの新しいニュース(河岡グループによる。リンク先は朝日新聞記事)。動物実験の結果サルに肺炎を起こす毒性が強いという結果は,動物実験だからメカニズムがわからないとヒトへの適用可能性はわからないが言いたいことはわかる。しかし,「……20年以降に生まれたそれ以下の年代の血清では、抗体がある人はほとんどいなかった」(注:太字は中澤による)というのがわからない。少しはいたのだろうか。Natureに発表されたというから探してみたら(途中,非常によくまとまったレビュー論文が見つかった。まだ完全には掲載されていないのか,図が見えないものが多いのだが,これはこれで役に立ちそうだ),当該論文(pdf形式)(注:ただし最終版ではないようだ。群馬大ではダウンロードできたが,たぶん契約していないとダウンロードできないかもしれない)が見つかった。1999年に老人ホーム入居者及び職員(ドナーグループ1)から集めた血清ではKUTK-4(通常のヒトインフルエンザの2009年4月川崎株)への抗体価が高い人がほとんどいなかったけれども1918年より前に生まれた人でのみCA04(S-OIVの2009年4月カリフォルニア株)への高い抗体価を示した例が多かったのに対して,2009年4月に病院の入院患者と職員(ドナーグループ2)から集めた血清では若い人を中心にKUTK-4へは高い抗体価を示した人が多かったのに対して,CA04への抗体価が128(128倍希釈しても反応したという意味)以上だった人は1918年以前生まれが2人と,1977年,1978年生まれが各1人いたという結果だった(参照:Supplementary Informationのページの表9)。論文は,「これらのデータは,1918年パンデミックウイルスあるいはそれにきわめて関連の強いヒトH1N1ウイルスへの感染はS-OIVsへの中和抗体を導いたけれども,1920年代,1950年代,あるいは1977年以降にヒトで流行した多様な抗原性をもつウイルスへの感染は(S-OIVsへの中和抗体を)導かなかったことを示す」(These data indicate that infection with the 1918 pandemic virus or closely related human H1N1 viruses, but not infection with antigenically divergent human H1N1 viruses circulating in the 1920s to 1950s, and again since 1977, elicited neutralizing antibodies to S-OIVs.)と議論しているが,だとすると,ドナーグループ2でCA04に対して高い抗体価を示した1977年生まれと1978年生まれの2人は,どこでその抗体価を獲得したのかがわからない。ざっと見た限りではこの論文の中では論じられていないように思うが,4月時点で,既に感染して治癒した人が国内にいたということを示すとしたら,新型インフルエンザのストーリーが大きく変わってしまうので大変なデータなはずで,どうしてスルーされているのかわからない。ぼくが見逃しているだけか?
採点開始
解答用紙の区分けが終わったので,これから手分けして採点する。ただ,長文記述式の問題なので基準を決めるのが難しい。まずは全部ざっと目を通してからだな。
公衆衛生学的には
週刊医学界新聞の最新号の表紙になっている,神戸大学岩田健太郎先生の新型インフルエンザ「次」への教訓という記事には,公衆衛生学的にはまったく同感というか,我が意を得たりという感じ。でも本当の問題は「その先」をどうするかだろう。
会議
昼は教室ミーティングがあって,その後は大学院教務委員会なので,採点作業は一時中断。
悩み中
記述問題の限定性が低かったものだから,解答が多様性に富みすぎていて採点基準を決めるのが難しい。とりあえず暫定基準で採点を始めるしかないが。
勉強会とか
疫学勉強会は参加者多数でなかなか盛況。文章もわりと読みやすくて良かったんではなかろうか。その後はメールの読み書きなどしていたら,あっという間に20:00を過ぎた。
帰り道
20:30頃研究室を出て,自転車で新前橋へ。やや曇り空だが,関東甲信地方は梅雨明けしたそうなので,これからは普通に自転車が使えるだろう。復路あさま549号では週刊アスキーを読了。とくに見るべき記事はなかったが,やはりVAIO Type Zには物欲をそそられる。
ウィンドミル
帰宅後,食事をしながらテレビを見ていたら,水野裕子がいろいろなスポーツに挑戦する番組でソフトボールが取り上げられていた。ルネサス高崎に行って,上野投手にピッチングを習ったり,宇津木麗華監督にキャッチボールやスイングを習ったりしていたのだが,水野裕子の運動神経は凄いと思った。驚いたのは上野投手のウィンドミルの教え方で,まずは正面を向いて右手にボールを持ったまま真後ろ90度より少し高い位置まで腕を持ち上げ,そのままの軌道で正面に振り返して最後に手首を返すのが第一段階,次に真横を向いて同じように真後ろに腕を引いて行って真上まで持ち上げ(横を向くとそこまで上がる),後は正面投げのときと同じように前に腕をまっすぐ振り返して,リリースのところで手首を返すのが第二段階,それが基本で,後はいろいろつけてもおまけなのだそうだ。上野投手の投球フォームを見て水野裕子が指摘した軸足の蹴りが大事だというポイントが第三段階か。ぼくはこれまで左足の踏み出しが大事だと思っていたのだが(タイミングを取るにはもちろんそれも大事だと思うが),速い球を投げるには軸足の蹴りが大事で,ちゃんと蹴れれば自然に左足は踏み出せるということなのだろう。それを一目で見抜いて,しかもこの三段階の練習をその場でやって,ちゃんとウィンドミルができるようになってしまった水野裕子の運動能力には驚いたという他はない。しかし考えてみると上野投手の教え方は,大学のソフトボール部で同期だったT君がミラクルズというソフトボールチームのサイトで提示しているやり方とかなり共通点が多い。理に適っているということなのだろう。

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