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個別メモ

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【第1757回】 疫学セミナー準備と会議2つ(2010年12月24日)

5:00に目が覚めた。外は霙っぽい。娘と朝食を済ませた後,剣道の防具と娘を中学校の近くまで送る妻の車に便乗して長野駅へ。今日は午前中に県庁,夜は准講会室で会議があるのだが,ともかく,それ以外の時間は,早急に疫学セミナー関係の原稿を仕上げたい。

12月4日のJRダイヤ改訂がくまざわ書店の陰謀に思えてしまうほど,あさま510号からの乗継ぎ待ち時間が絶妙になってしまったので,今日も本を買ってしまった。明日発売予定の『万能鑑定士Q』シリーズのVII巻がフライング販売していないかという期待もあったのだが,それはまだだった。しかし6冊も魅力的なタイトルが目に入って衝動買い(くまざわ書店に入る前には存在さえ知らなかったという意味で)してしまった。買った本は以下の通り。

レジで会計をしているとき,ふとレジ台の下を見たら,海堂尊本の宣材として,『「モルフェウスの領域」完全ガイドブック』という小冊子が置かれていたので貰ってきた。著者インタビューによると,この本が書かれたそもそもの動機は,桜宮の物語世界の中でアツシの年齢が合わないという指摘に対する辻褄合わせだったそうだ。しかしもちろん物語はそもそもの意図を離れて拡大するのであり,「きっとテーマって,読者の方が設定するものだと思いますよ」という著者のコメント通り,いろいろな読み方ができるのだけれども,世界記述に厚みが足されたことは確かだと思う。

自転車で研究室に着いた後,10分ほど時間があったので,県庁に行く前にざっと目を通したところ,どれも面白そうだったが,1冊だけ予想と大きく違っていた。『白洲家としきたり』は,白洲家のしきたりについて書かれているのかと思って買ったのだけれども,実は日本のしきたりについて年中行事ベースで書かれた本であり,白洲家にまつわることは,「白洲家には正月なんてない」という形で垣間見えるだけだった。そういう意味では予想と全然違っていたが,タイトルを読み間違えた自分が悪いので著者に責任はないし,これはこれで非常に面白く読み応えがある本であるように思われるので悔いはない。写真も満載なので,例えばこれを見せながら留学生に対して日本の伝統行事の説明をするとわかりやすいだろう。英訳したら海外に売れるんじゃなかろうか。

県庁の会議が11:30頃に終わったので,自転車で直接とよだに行って日替わりランチを食べながら,『予防接種は「効く」のか? ワクチン嫌いを考える』の「はじめに」と「あとがき」を読み,第1章を読み進めた。好悪を正邪(正誤?)と混同しないようにという主張や,現場の臨床医の視点からワクチンについて語るスコープの取り方にはまったく賛成だし,時々口語的になる語り口も読みやすさを増していて効果的だと思う。ただ惜しむらくは,「死亡率」という用語は「致命割合(CFR)」として欲しかったところだ。本書のスコープからすれば,その程度の不正確さはどうでもいいということなのかもしれないが,初出時に注釈を入れておけば,そんなにわかりにくい用語でもないし,本書を読んだ一般市民が「致命割合」という用語に馴染んでくれるかもしれない。

研究室に戻ったら,郵便物がたくさん届いていた。中に1冊献本があって,東京大学人類生態の後輩の小谷真吾さんから『姉というハビトゥス:女児死亡の人口人類学的民族誌』東京大学出版会,ISBN 978-4-13-056307-9(Amazon | bk1 | e-hon)を謹呈していただいた。彼は元々理学部人類学教室の出身で,修士課程は人類生態に来て,博士は千葉大で文化人類という,ありそうだけれどもなかなかない経歴をもっている。本書は彼が長年にわたって調査してきたパプアニューギニアのボサビという山の近くに住んでいる人々において,女児の死亡率が男児の死亡率に比べて高いという不思議な現象(普通,例えば日本では,出生時には男児が女児より多いけれども,男児の方が成長するまでの死亡率が高いために成人人口では男女比が1に近づくので,女児の方が死亡率が高いのは十分に「不思議」なことだ)を,人口人類学的民族誌という研究手法を用いて丹念に研究した成果である。人口人類学はDemographic anthropologyとしてNancy Howellが立ちあげた学問だが,小谷さんは,それをハビトゥスの概念など人文科学的な視座を取り入れた「民族誌」の文脈で捉えることによって,人口学的現象の人類学的理解という新しい地平を目指した。小谷さんならではの,実に意欲的な著作だと思う。

今年最後の教室ミーティング後,メールで届いた某論文の再査読依頼をさくっと済ませて返信した。後は再び疫学セミナーに戻る。

疫学セミナーの仕事を返信できたのが16:30頃であった。これから2時間でオセアニア学会のweb仕事と人類生態の本(朝倉書店)の推薦図書一覧をメールで返信するというところまではやってしまいたい。人類生態の本の初校は明日締め切りだが,18:30からは准講会幹事会があるので,持ち帰ってやるしかないだろう。

幹事会が1時間で終わったので,自転車で新前橋に向かう途中で「さんたく」によって散髪した。高崎での乗継ぎは25分待ちで復路あさま549号。待ち時間にLABI1高崎に寄ってみたら,『万能鑑定士Q』シリーズのVII巻はやはりまだ無かったが,2階のBlu-rayレコーダがかなり安くなってきていた。パナソニックのBW690が約75000円であり,ポイント還元なしにすれば7万円を切るらしかった。そろそろ買い時かも。

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