Top
個別メモ
Latest update on 2012年3月5日 (月) at 10:54:46.
【第1862回】 始発に乗りたかったが(2011年5月6日)
- 家を出るのが5:50になってしまったので,往路あさま504号。放射冷却で肌寒いが気持ちよく晴れている。信州スポーツニュースを見ようとスポニチを買ったが,信州面が無かった。GW特別仕様なのだろうか。
- 夜のうちに届いていたUNFPA東京事務所からのメールによると,世界人口が今年10月31日には70億人に達する見込みだそうだ。日本は既に人口減少フェーズに入っているが,世界人口はまだまだ増加が続く。自分が大学院入試の勉強をしていた頃にフランス語で世界人口50億到達というニュースを読んだ記憶があるので,あれから20年余りで20億人もの人が増えたことになると考えると,物凄い速さだと思う。
- 群馬は今にも降り出しそうな曇天。大学に着くと,日本数理生物学会からのニュースレターと,日本民族衛生学会,日本国際保健医療学会からの学会誌と,以前Amazonに注文しておいた,Eric Kaufmann (2010) Shall the religious inherit the earth? Demography and politics in the twenty-first century. Profile Books, ISBN 978-1846681448(Amazon | bk1 | e-hon)が届いていた。Kaufmannはロンドン大学の宗教人口学者で,このテーマはハーヴァード大学とIIASAでも研究していたらしい。内容紹介によると,宗教原理主義者はたくさん子供を産むが,非宗教的な人はあまり子供を産まないので,相対的に原理主義者人口が増加していくという現象を,詳細な人口学的解析に基づいて論じたものらしい。ざっと見たところでは,本書で論じられているのは,主に,キリスト教におけるArmishやHutteriteとか,イスラムの高出生力とか,イスラエル在住ではない厳格なユダヤ正教派の(ultra-Orthodox)ユダヤ人の高出生力のようだ。確かに,ソロモン諸島でもCFC発祥の地といえるパラダイス村の高出生力は驚くべきものがあったし,宗教原理主義者が高出生力になるのは当然かもしれない。つまり,信徒拡大を図る宗教だけが存続すると考えれば,そのもっとも簡単な手段は信徒にたくさんの子供を産ませて,生まれた時から自然に信仰させてしまうことであろうから,多くの宗教が多産奨励を教義に含むことは自然に思われる。なお,著者は本書の背景にあるデータと方法論について,より詳細な論文やプレゼン資料や関連リンクをまとめたサイトを運営しているそうだ。興味深い分野だと思う。
- 日本数理生物学会ニュースレターは巻頭に稲葉さんが寄稿されたR0の話が目を引いた。途中まではなるほどと思いつつ読めたのだが,途中から難解さが増し,簡単にはついていけなかったので,とりあえず諦めた。本当はこういうものを時間をかけて読み解きたいところで,もっと若いうちに数学的な素養をつけておくべきだった。民族衛生は巻頭言が本田先生で「地球温暖化の健康影響」というタイトルで,まあそれはそうだよねえ,としか言いようのない話だったが,やたらに著者が多かった日本と韓国とスイスで50年間の出生力低下の様子を比べた論文で人口ピラミッドの図が汚いのが気になった。今や簡単に作図できるのだから,もう少しきれいな作図をしてほしかった。国際保健医療では,川端先生らが寄稿された,ソロモン諸島マラリア対策強化プロジェクトからの「教訓と提言」で,National Referral Hospitalに行っていながらマラリア治療ガイドラインを重視しすぎたために治療が遅れて亡くなってしまった少女の症例が気の毒でならなかった。薬剤耐性原虫の出現を抑えるために,確定診断がついていない段階では投薬しないというガイドラインになっているということだが,コンプライアンスが100%ならば確定診断なしで投薬されてもほとんど問題ないはずだ。なぜそこまで硬直した運用がされてしまったのか,もう少し深く掘り下げてほしい記述であった。
- 講義準備を進めていたが,午後になって教授から飛び入りの仕事が入ったり,地域保健実習学生の対応があったりしたので,進捗が遅かった。21:00までやったけれども,2コマ目さえ完了には至らなかった。
▼前【1861】(誤算(2011年5月5日)
) ▲次【1863】(講義準備とR(2011年5月7日)
) ●Top
△Read/Write COMMENTS
Notice to cite or link here | [TOP PAGE]