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個別メモ
Latest update on 2012年3月5日 (月) at 10:54:46.
【第1888回】 一木会(2011年6月2日)
- 昨夜の頑張りが報われて雨が上がっていたので,自転車で長野駅へ。曇ってきたが何とかセーフ。今日は18:30から大講座(社会環境医療学)の合同セミナー一木会があり,その前にS先生のデータ処理についての打ち合わせが入ったので,正味16:00までしか仕事はできない。人口学会の発表準備もそろそろしなくてはならないが,とりあえず最優先は来週月曜の公衆衛生学講義準備か。既に配布資料原稿とミニレポート用紙はできて,事務補佐のYさんに印刷をお願い済みなので,後はプレゼン用のファイルを作るだけだ(今回は実験計画法と臨床試験について話をするため,ビジュアルに訴えたいプレゼンと,知識をまとめておいて後で参照してもらいたい配布資料は全く異なるものになる)。
- 新前橋発のバスの時刻が変わっていて,水上行き上越線からの乗継ぎ待ち時間が10分増えた。しかしこの雨では自転車に乗る気にはなれない。この10分を有効に使えればいいのだが。
- 書き忘れていたが,今週の週刊アスキーでも,LAGFAIRのおっくんは東北地方の被災地支援活動を続けていることを書いていて,そこで使ったソーラーパネル付きのリュックを紹介していた。海外調査でも役に立ちそうなリュックに物欲が湧いたことはさておき,被災地支援活動を(変な言い方かもしれないが)あまり肩肘張らないスタンスで継続しているおっくんは素晴らしいと思う。毎日の講義や実習指導に追いまくられている自分の現状ではできないことなので,尊敬する。
- 横浜国立大の松田裕之さんがこのところブログで提示されている被曝線量の試算値と,リスク論の立場からの提言は,大変参考になる。しかしテレビや新聞報道に煽られてしまう人(以前,たしか東大総長になる少し前の蓮実重彦先生――だったと思うが,もしかすると別の人かも――が使っていた言い方を借りると,答えだけを求める人)にとっては,こういう書き方では満足できないだろうなあ。冷静に多面的リスクを考えられるなら,そもそもメディアに煽られることもないだろうし。
- Rで人口分析に関する本を書けば出してくれるかもしれないという話が来たので,展開可能性を少し調べていたら,Tim Riffeという方が,Rを使った人口分析のパッケージを多数発表されていることを知った。LifeTableには,Dr. WilmothたちのHuman Mortality Database(以下HMD)から1965年のウクライナの生命表が取り込まれて使われているようだった。HMDは今やdemographyパッケージのhmd()関数を使えば(もちろん,先にHMDに登録してユーザ名とパスワードを得ておかなくてはならないが),簡単にRの中で使えるので,便利になったものだと思う。たぶん,日本語でHMDの使い方を説明した文書はあまりないと思うので,それだけでも有用だろう(もしかしたら,石井太さんあたり,作られているかもしれないが)。Tim Riffeさんの開発したパッケージの中では,Pyramidも去年発表されていたが,説明を読むとbarplot()を使ったラッパー関数だそうなので,ぼくのpyramid()関数の昔のバージョンと同じ考え方だ。まさに車輪の再発明。もちろん,できあがる人口ピラミッド(人口ピラミッドの作り方参照)は,ぼくが開発したバージョンの方がずっと美しくかつflexibleなはず。
- 某MLで流れてきた情報で,平成22年人口動態統計月報年計(概数)の概況が発表されたことを知った(概要pdfへの直接リンク)。毎年メディアが大騒ぎするTFRは,1.39と前年に続いて増加傾向にあるように見える。最近ずっとTFRが持ち直してきているのは,25-29歳の出生率を30-34歳の出生率が上回ってからで,ともかく30代の出生率上昇の寄与が大きいことは間違いないだろうけれども,このまま増加傾向が続くかどうかはまだわからない。
- ふと思いついて,『統計探偵の事件簿』をGoogleで検索してみたら(いや,誰か書いてくれた人がいないかなあと思って),柏野さんがTumblrでリクエストしてくださったのが1番に表示されたわけだが,2番目に表示された統計探偵屋の事件簿には,もしかして先駆者がいたか,あるいはぼくの願いを実現してくれた人がいたのかと思って,一瞬期待した。が,うーん……違ったようだ。ある意味先駆者には違いないのだが,これは小説じゃないし,<file1>では相関係数が十分に高いことだけを根拠に線形回帰の外挿,<file2>で19歳以下人口の傾向を予測するのに,人口学的には出生の分析が必須なのに,データのある区間での当てはまりがいいからといって非線形回帰を外挿してしまっているという,少々残念な内容であった(統計処理に間違いはないけれども,挙げられている例をscientificに考えたらまずかろう)。でも,こういうサイトが既に存在する以上,『統計探偵の事件簿』はタイトルを変えなくてはいけない。やはり川端君の『エピデミック』にあやかって疫学探偵とすべきか。
- おお,そういえば今日は14:10からの論文チュートリアルもあるのだった。英語論文の書き方の輪読が終わったところで既に15:45なので,S先生からのデータ処理の話の時刻まで15分しかない。
- しかしデータ処理はコンピュータをそれ用に準備するのに時間がかかりそうなので,明日に延期した。準備作業をさせつつ公衆衛生学講義準備をしていたが,やはり京都大学医療統計の佐藤先生の資料は面白いなあ。このまま配って「読め」と言って終わらせたいくらいだ。ちょっと余談としてOrwellの"Down and Out in Paris and London"を使いたいのだが,邦訳は既に絶版らしいのが惜しい。
- 一木会後も講義準備の続きをして,復路新幹線は最終あさま555号であった。
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