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個別メモ

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【第1925回】 採点・大学院教務委員会など（2011年7月12日）

• 朝の長野は快晴。澄んだ空気がひんやりとして気持ちいい。リクエストがあったので，1週間ほど前に計算したふくらみ指数改について，pdf形式説明文書と，都道府県別ランキング（ソート済みのpdf形式の表。ソート前のタブ区切りテキスト形式ファイル）を作った。
• 往路新幹線では，鎌田實『チェルノブイリ・フクシマ　なさけないけど　あきらめない』朝日新聞出版，ISBN 978-4-02-330966-1（Amazon | bk1 | e-hon）を読み進めた。鎌田實氏は本当に医者らしい医者だなあと思う。佐久総合病院を作った若月さんの志を継ぐ者の一人に違いない。日赤に集まったお金が公平性を重視するあまりに被災地に届いていないという事実を批判し，もっとスピード感をもって被災地に直接お金が届くような使い方をすべきというのは，現場を知っているからこそ出てくるコメントだと思う。「カマタ・フクシマノート」の部分は，公式ブログ「八ヶ岳山麓日記」にリアルタイムで書かれていた文章を採録したもののようだ。本書を読むまで鎌田さんがweblogを書かれているとは知らなかった（いや，たぶん他の著書に書かれているのを読んだことはあるはずだが，ちゃんと認識していなかった）。とくに印象に残ったのは震災当日の夜の文章だったので，勝手ながら引用させていただく。

  ぼくは、反省している。

  20年間、チェルノブイリ原発事故で健康被害に遭った人たちとかかわり、原発の恐ろしさをよく知っているのにもかかわらず、原発をすぐに止めろとは言わなかった。原発はもうつくらないほうがいい。そう思っていた。危険な原発から時間をかけて廃炉にしていけばいいと思っていた。ぼくは反原発でも脱原発でもなく「超原発」派。原発をのりこえるエネルギーシステムをつくること。多様な再生可能エネルギーを効率よく引き出すシステムを開発して、これを、いずれ輸出の柱にする。内向きの思想や清貧の思想や断捨離ではなく、若者の雇用を拡充するため、経済をよくするエネルギー革命を起こすべきだ。そのために原発にかけていた莫大なお金をシフトすればいいと思っていた。原発をすぐに止めろと言わなかったのは、経済が悪くなると勝手に思い込んだからだ。経済が悪くなったら、若者の雇用はもっとシビアになり、この国はめちゃめちゃになると思っていた。原発に真っ向から反対しなかった。自己批判しないといけない。そう思っている。

  （出典：鎌田實『チェルノブイリ・フクシマ　なさけないけど　あきらめない』朝日新聞出版，2011年，pp.46）

• 原発関連発言メモの続き。高松宮殿下記念世界文化賞を音楽部門で受賞された小澤征璽氏が脱原発を主張した言葉が今朝の信濃毎日新聞に載っていたが，web上には見当たらない（追記：その後，スポニチアネックスで見つけた）。また，超ベストセラー作家村上春樹氏の，カタルーニャ国際賞の受賞式での演説も，阿修羅に採録されたものを読む限りでは，脱原発（「我々は技術力を結集し、持てる叡智を結集し、社会資本を注ぎ込み、原子力発電に代わる有効なエネルギー開発を、国家レベルで追求すべきだったのです。たとえ世界中が「原子力ほど効率の良いエネルギーはない。それを使わない日本人は馬鹿だ」とあざ笑ったとしても、我々は原爆体験によって植え付けられた、核に対するアレルギーを、妥協することなく持ち続けるべきだった。核を使わないエネルギーの開発を、日本の戦後の歩みの、中心命題に据えるべきだったのです。」という部分から考えると，むしろ鎌田實氏がいう「超原発」的だが，「核という圧倒的な力の前では、我々は誰しも被害者であり、また加害者でもある」からすると，核そのものを避けるべきだったというのが本意であろう）を主張しているようだ。
• 前にも書いたが，原発がダメなのは，本質的には，ひとたび事故が起こったら制御不能になり，短期間では制御を取り戻せないことと，廃棄物を処理する方法が確立していないことの２点からくるとぼくは思う。つまり，普通に考えたら実験段階の（未熟な）技術なのに，パワーの大きさに目が眩んで実用化してしまったところからくる。人間による環境形成作用（反作用）には，当然のことながら常に功罪両面ある（間接効果も考えたらその総合評価は非常に困難で，鈴木光司のループ界のようなものが実現しないと無理だろう）のに，功の面だけに目を向けて実用化してきてしまったというのが，原発に限らず，20世紀の技術開発の歴史だったと思う。いつかは歪が噴出するのは必然だった。東工大の矢部孝教授が描くマグネシウム循環社会構想が素晴らしいのは，かなりシステムとして罪の面を如何に処理するかまで考えている点にあり，だからこそ期待しているが，最近の進展状況はどうなっているのだろうか。
• 今日から明後日くらいまでに採点の自分の担当分を終わらせる予定。午後1番で大学院教務委員会に出なくてはいけないが，今日は疫学勉強会も休みなので，教務委員会以外の時間は採点に充てたい。
• 大学院教務委員会は予定通り終了。かなり実のある議論がなされた。
• PNG調査関係のメールとか，人口学会仕事とか，いろいろ入ってくるので，採点が進まない。
• 半分くらい採点をしたところで疲れたので帰途に就いた。高崎での乗継ぎ待ちの間に珈琲豆を買い（朝，珈琲問屋で買おうと思ったら，節電のためという理由で営業開始時刻が遅くなっていたため，高崎E'siteのコーヒーショップKALDIで初めて買ってみた），新幹線待合室で無線LAN接続してメールを見たら，某MLで配送がうまく行っていない由。うーん管理人MLへのSPAMフィルタを厳しくかけすぎたか。たぶん本体へは大丈夫だと思うんだが。帰ってからチェックしますので，暫くお待ちください＞和尚様。
• 帰宅後，設定をチェックしてみたら，管理人MLへのフィルタリングを，SPAMフィルタでなく，未定義アドレスからのメールを原則拒否する設定にしてしまっていた。我ながら間抜けだった。申し訳ありませんでした＞和尚様はじめMLに参加されている皆様。
• ちなみに，上記「和尚」はニックネームであり，本当に仏門に帰依している方ではない。たぶん。
• 今日から始まったドラマ『チーム・バチスタ３　アリアドネの弾丸』だが，基本線は原作を生かしつつもかなりアレンジされていた。遊んでいるなあと思った仕掛けは，白鳥と藤原がテレビでドラマ『法医学教室のアリアドネ』というのを見ているシーンであった。藤原看護師を演じている名取裕子が２時間ドラマ『法医学教室の事件ファイル』シリーズの主演を長い間（Wikipediaによれば既に33作も放映されたらしい）続けていることを知っているとニヤリとせずにはいられない。残念だったのは島津「がんがんトンネル魔人」のキャラ設定か。原作ではもっと豪放磊落な感じなのに。田口を若くしてしまったから仕方ないのかもしれないが，ストーリー進行につれてキャラが変わって行ってくれるといいなあと思う。

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