山口県立大学 | 看護学部 | 中澤 港 | 公衆衛生学

公衆衛生学−13.衣食住の衛生

参照

人間化した環境としての衣食住

進化的視点からみた衣食住
▼前回,「ヒトは周囲に自らの生存に適した環境を一時的に作り出したり,外部環境を大規模に改変したりすることで,本来の物理化学的環境条件が生存に適していない居住場所にまで,その生息域を広げてきた。」と述べた。本質論からいうと,衣食住のうち,衣と住は,まさにこの,「ヒトが周囲に作り出した自らの生存に適した環境」だといえる。言い換えると,衣服と住居によって環境をコントロール可能にした。コントロールの可能性を高めたという意味では,食も例外ではない。ヒトは,農耕や牧畜によって食料となりうる生物の現存量を調節し,本来その環境にはなかった生物を持ち込み,育種や遺伝子組換えによって形質を改変し,加熱加工して軟らかくしたり,殺菌したり,発酵させたり,冷凍したり燻製にしたり,ありとあらゆる手段を使って食物をコントロールし,確保しているといえる(食品の保存のための加工の歴史については,スー・シェパード「保存食品開発物語」文春文庫,に詳しい)。
現代日本における衣食住の意味
▼現代の日本では,人間の健康で文化的な生活を確保するために,衣食住に関してもさまざまな法律や制度が定められている。
▼一方,身近な問題であるだけに,世間一般の関心も高く,マスコミ等で騒がれる度に,それに対応して法制度が継ぎ接ぎされてきたという側面も否めない。省庁間の整合性が十分でない点もあり,今後の改善が必要であろう。
▼しかし,見方を変えれば,衣食住の開発の歴史は,ヒトと自然環境の間に介在するもの(言語,技術,社会組織)を肥大化させてきたといえる。現代日本人が自然の変化に鈍感だったり,逆に危機感を抱きすぎてパニックを起こしたりするのは,自然との距離が遠くなったことの表出でもある。
▼少なくとも食に関してみれば,都市はたんなる消費地に過ぎず,生産はしていない(キューバのように,循環型都市有機農業を営んでいる国もあるので,こういうあり方は必然ではないが,現代日本の都市は食糧生産しているとはいえない)ため,都市住民は,自分が食べているものの素性を良く知らない。狩猟採集時代ならありえなかったことだ。やはり素性を知らないと安心できないということで,トレーサビリティ等が重視されるようになってきた。

衣料

衣服機能
▼衣料は,衛生面からみれば,衣服下の気候をヒトにとって快適な状態に保ち,汗や皮脂を吸着して皮膚の清潔維持に役立ち,機械的外力や紫外線や昆虫の刺咬などの有害作用から体を守るという保護作用をもち,人体にとっては有害でないことが重要である。
▼なお,外から見える個人の属性なので,社会的な状態を示す機能ももっている。現代社会だけではなく,中世ヨーロッパの王侯貴族はきらびやかな衣服を着ていたし,日本の平安時代の十二単衣とかの例もある。これから何をするのか,という行動のサインにもなる。ミクロネシアのヤップ島の女性は生活の場面によって身に付けるべき腰蓑が異なり,日常身に付ける腰蓑はバナナやセンネンボク,ココヤシなどの葉から作った彩色しないもの(しかもタロイモ田が長老用,夫用,妻子用と分かれているので,それぞれ異なる腰蓑をつけて作業しなければならない),祭りのときはハイビスカスの繊維で作った赤や黄色に染めた腰蓑(階級の低い村の女性には許されない),と使い分けねばならなかった(出典:印東道子「オアセニア暮らしの考古学」朝日選書)。
衣料用繊維の性質
▼繊維の吸湿吸水性,放湿性,通気性,帯電性,織り方の組み合わせにより,衣服下の気候がどのような状態になるかは違ってくる。
▼有機物に対する吸着性,吸湿吸水性,放湿性,通気性が良い繊維は,皮膚から汗や皮脂を除去する効果をもつ。
▼汚染物が付着しにくく,かつ透過しにくい繊維は,外部からの汚染を防ぐ。
▼織り方のきめが粗い布や有機物が付着した布や帯電性の大きい布には,汚染物が付着しやすい。
化学物質による加工
▼衣料用繊維の大部分には防縮,防虫,防菌,防カビ,染色などの加工がなされている。
▼防縮加工の過程ではホルムアルデヒドが使われる。発ガン性がある物質なので,衣類については溶出試験を行うことが法律で定められている(下記参照)。
制度
▼「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」(1973年制定,1974年施行):家庭用品法と呼ばれる。ホルムアルデヒドや有機水銀化合物などを規制。家庭用品に使用される化学物質について,変異原性試験,亜急性毒性試験,皮膚刺激性・皮膚感作性試験,細胞毒性試験が基本的な毒性項目として実施され,生殖・発生毒性試験や吸入毒性試験が追加実施されることもある。抗菌剤では有機水銀化合物,トリブチル錫化合物,トリフェニル錫化合物の製造及び使用が規制されている。
▼抗菌防臭加工については,繊維製品新機能評価協議会(JAFET)[http://www.sek.gr.jp/]などの活動を通して,業界が自主的にガイドラインを設けている。

食品

食品の管理は,食品を安全に食べられるようにし,食中毒などを起こさないことが基本である。複数の省庁の複数の法律に規定されている。例えば食品表示について,農林水産省の所管するJAS法と厚生労働省の所管する食品衛生法では,規定が異なる。機能性食品については健康増進法(2003年4月までは栄養改善法)で別に規定されている。

食中毒について
▼大別すると,細菌性食中毒,自然毒による食中毒,化学物質による食中毒,カビ毒による食中毒,アレルギー性食中毒がある。
▼細菌性食中毒:感染型と毒素型がある。感染型には経口摂取した菌が腸上皮細胞で増殖して炎症を起こして下痢となるタイプと,経口摂取した菌が腸管内で増殖してエンテロトキシンを産生し,それが腸上皮細胞に作用して下痢を起こすタイプ(生体内毒素型)がある。腸炎ビブリオ食中毒,サルモネラ食中毒,大腸菌性下痢(毒素原性大腸菌を除く)など,主な食中毒は概ね細菌性であり,一般に食前加熱により防げる。毒素型は,飲食物中で増殖した菌が産生した毒素(胃で分解されないタイプの)を摂取することで発生し,一般に食前加熱は無効である。ブドウ球菌食中毒やボツリヌス中毒は毒素型である。
▼自然毒による食中毒:動物由来と植物由来がある。動物性食中毒では,フグ毒(tetrodotoxin)によるものが有名。フグの卵巣,肝臓,腸,皮膚に多く含まれており,熱や乾燥によって分解されにくい毒物なので,捌き方が重要。都道府県ごとにフグ調理師免許制度とフグ調理施設の届出制度が設けられている(福岡県や山口県ではフグ調理師ではなく,ふぐ処理師と呼ばれる:この記事[http://www.foodrink.co.jp/backnumber/200210/news1027j-2.html]は面白いので参照されたい)。フグ毒の他では貝毒(saxitoxin)による中毒も時折発生する。植物性食中毒では,キノコ中毒(ツキヨタケやイッポンシメジを誤って食べたことにより下痢・嘔吐・腹痛を起こすケースが多いが,タマゴテングタケやドクツルタケのようにコレラ様症状を呈するものや,テングタケやベニテングタケのように神経症状を呈するものもある),ジャガイモの芽に含まれるソラニンによる中毒,青梅に含まれるシアン化合物による青酸中毒,トリカブトに含まれるアルカロイドによる中毒,ドクセリに含まれるチクトキシンによる中毒などが知られている。
▼化学物質による食中毒:砒素や水銀,カドミウムなどが飲料水や食物中に入ってしまうことがある。インドやバングラデシュ,台湾などでは,地下水位の低下などの原因で井戸水の中の砒素濃度が高くなったり,腸管寄生虫症や細菌への曝露を防ぐために水源を河川から地下水に切り替えたなどの理由で,近年砒素を高濃度に含む水を慢性的に摂取するようになった人々の間で,砒素中毒になる人が多い。富山県神通川流域でカドミウム汚染が起こった際,水田において米にカドミウムが吸収され,いわゆる「カドミウム米」となって,それを摂取した人々の間で「イタイイタイ病」と呼ばれる慢性カドミウム中毒が起こった。なお,急性中毒が起こるのは,概ね事故か犯罪があった場合である。例えば,メタノールの誤飲による失明や,1955年に起こった砒素ミルク中毒事件(患者数は1万人を超え,死者も100人以上出た)や,1968年に起こった米糠油へのPCB混入によるPCB中毒事件(発生時登録患者数1655人)がある。
▼カビ毒による食中毒:数種類のカビが特定の生育環境条件下で代謝・生成する毒素であるマイコトキシンによって起こる。マイコトキシンは世界の穀物の25〜50%を汚染しているという報告もあり,天然に存在する最強の発ガン物質として悪名高い。中でもアフラトキシンは主に熱帯・亜熱帯でAspergillus flavusというカビによって生産され,日本では輸入農産物から10 ppb以上のアフラトキシンB1が検出されると通関させない。Fusarium属のカビ(赤カビ病菌)は温帯・寒帯で麦類やトウモロコシから検出され,それによって産生されるフザリウムトキシンも毒性が強い。麦や豆につくA. ochraceusというカビが産生するオクラトキシンも毒性が強い。また,穀類を直接食べなくても,飼料として家畜に取り込まれた後にも存在する可能性もあり(牛乳や鶏の血漿で検出報告がある),適切な対策が必要とされる(アフラトキシンについてはアンモニア処理や石灰処理で分解できるが,万全とはいえない)。
▼アレルギー性食中毒:鯖,サンマなどのタンパク質が分解してできた腐敗物質により,強いアレルギー反応を起こすことがある。
総合衛生管理製造過程
▼総合衛生管理製造過程は,食品衛生法*(昭和22年法律第233号)第7条の3に,「製造又は加工の方法及びその衛生管理の方法について食品衛生上の危害の発生を防止するための措置が総合的に講じられた製造又は加工の工程をいう」と定義されている。

* 厚生労働省の法令等データベースシステム[http://wwwhourei.mhlw.go.jp/%7Ehourei/html/hourei/contents.html]から全文読める(食品衛生法は第4編第2章にある)。

▼実際には,HACCP (Hazard Analysis and Critical Control Point)(危害分析・重要管理点システムと訳される)による衛生管理及びその前提となる施設設備の衛生管理等を行うことにより,最終的な食品の検査ではなく,総合的に衛生が管理された食品の製造又は加工の工程を意味している。
▼HACCPはマニュアル化されていることが利点であるが,弱点でもある。元々,NASAの宇宙食管理から出発。宇宙に食物をもっていくには究極のセキュリティが要求されるため。
▼情報源としては,日本缶詰協会の「総合衛生管理製造過程関係資料集」[http://www.jca-can.or.jp/honbu/haccp/jhaccp_top.htm]がよくまとまっているし,そこからリンクされている「総合衛生管理製造過程の承認とHACCPシステムについて」と題した衛乳第240号生活衛生局食品保健課長乳肉衛生課長通知(平成8年10月22日)もわかりやすい。1998年1月19日付けの厚生省からのニュースリリース(厚生省記者発表資料)によると,

HACCPシステムによる衛生管理は、最終製品の検査に重点をおいた従来の衛生管理とは異なり、食品の安全性について危害を予測し、危害を管理することができる工程を重要管理点として特定し、重点的に管理することにより、製品の安全確保を図るという方法である。

具体的には、営業者が自ら、
(1) 食品の製造又は加工工程のあらゆる段階で発生するおそれのある食品衛生上の危害について調査・分析(HA)し、製造又は加工の各工程においておこる可能性のある危害を特定した上で、その防止措置を特定し、
(2) この分析結果に基づいて、防止措置のうち、危害の発生を防止するため、連続的又は相当の頻度でモニタリングして、管理状態を確認しなければ、製品の安全性が確保されない工程を重要管理点(Critical Control Point: CCP)として定め、
(3) 重要管理点が常に管理されていることを確認するため、集中的かつ常時、モニタリングを行い、
(4) 重要管理点の管理状態が不適切な場合には、すみやかに改善措置を講じ、
(5) その管理内容をすべて記録すること
(6) HACCPを適用した製造又は加工の過程が的確に危害をコントロールしているか、規定されたとおり実施されているかを定期的に見直すこと
により、最終製品全体の安全を保証するものである。

▼厚生労働省の「食の安全推進アクションプラン」[http://www.mhlw.go.jp/topics/0101/tp0118-1.html#no8]によると,

総合衛生管理製造過程の対象食品としては、現在、乳・乳製品、食肉製品、容器包装詰加圧加熱殺菌食品(いわゆるレトルト食品等)、魚肉練り製品及び清涼飲料水が政令で指定されています。

となっている。
▼総合衛生管理製造過程の対象食品としては,(1)乳,(2)乳製品,(3)食肉製品,(4)魚肉練り製品, (5)容器包装詰加圧加熱殺菌食品(いわゆるレトルト食品等),及び(6)清涼飲料水が政令で指定
▼総合衛生管理製造過程による食品の製造又は加工の承認状況
(1)(2)(3)(4)(5)(6)合計
施設数15618685243956546
件数264270158324693863

(平成15年12月31日現在)
▼総合衛生管理製造過程の承認は,製品群毎(乳・乳製品であれば牛乳,加工乳,乳飲料,はっ酵乳等)の承認(施設によっては数製品群が承認)
▼対象外の集団給食施設等については,HACCPの概念に基づいた「大量調理施設衛生管理マニュアル」により,食中毒の予防と衛生知識の普及啓発推進。
▼承認施設において不適切な運用によって食中毒事件が発生した事例もあるが,承認取得に向けた食品メーカの取り組みは増加しつつある。
食品安全情報
▼国際的には,International HACCP alliance[http://haccpalliance.org/]とかWHO/FAOのジョイントコミッティー報告書[http://www.who.int/fsf/REP983A.html]とかが参考になる。
食品安全委員会について(New!)
食品安全委員会(内閣府内):位置付け
▼平成14年4月5日の閣議口頭了解に基づいて議論が重ねられ,平成15年2月に食品安全基本法が国会提出され,平成15年5月23日に成立したことを受け,平成15年7月1日に内閣府内に成立した。
▼従来,農林水産省と厚生労働省がリスク評価とリスク管理の両方を担当してきたが,BSE問題がきっかけで,各省庁の影響を受けず科学的知見に基づき公正にリスク評価を実行できる組織の必要性が強く認識された。また,風評被害を避ける必要性が認識されたこともあって,国民からの不安や疑問を受け付け,リスクを正確にわかりやすく国民に伝える,リスクコミュニケーションを推進する組織も必要とされた。食品安全委員会は,その実現のために設置されたので,リスク評価とリスクコミュニケーションを所管し,リスク管理にはかかわらない。
構成: 7名の委員から構成され,その下に専門調査会が設置。専門調査会は,企画専門調査会,リスクコミュニケーション専門調査会,緊急時対応専門調査会に加え,添加物,農薬,微生物といった危害要因ごとに13の専門調査会が設置。事務局員は54名。評価チームは,化学物質系評価グループ(添加物,農薬,動物用医薬品,器具・容器包装,化学物質,汚染物質),生物系評価グループ(微生物,ウイルス,プリオン,かび毒,自然毒等),新食品等評価グループ(遺伝子組換え食品等,新開発食品,肥料・飼料等)からなる。構想では約200人。
トレーサビリティについて
▼最近話題になっているのがトレーサビリティである。HACCPによって安全な食品を製造しても,消費者が店頭で目にするまでに,どういう経路を通ってきた,どのように生産されたものかがわからないのでは片手落ちである。店頭で目にする商品からそれを逆に追跡できること,つまりトレーサビリティが必要とされる時代になってきている。
▼例えば,青果ネットカタログ[http://seica.info]というシステムがある(独立行政法人食品総合研究所(農水省所管)からのリリースを参照)。2002年8月23日に一般公開され,2003年1月から,イオングループ,コープこうべ,大地を守る会の協力で,消費者参加による大規模な実用化実験が始まっている。青果ネットカタログのSEICAとは?から引用すると,

どんな農産物であっても一品目ごとにそれを生産した人がいて、それぞれの思いが込められています。日々膨大な量と種類に上る農産物一品目ごとに、その産地、栽培方法、生産者情報などの情報に「思い」を付けて流通させることは現実的にはなかなかできません。青果ネットカタログ「SEICA」は、インターネットなどIT技術を駆使して、生鮮産品一品目ごとの情報を公開し、生産者と消費者、さらに流通業者との間でそれぞれの間で情報のやりとりを目指した「生鮮食品等取引電子化基盤事業」※の一環として実現しました。

消費者は野菜や果物が産まれたプロフィールを知ることで、より安心して、安全なものを選ぶことができ、生産者は栽培方法など農産物を生み出すまでの思いを直接消費者に届けることができます。そして、流通業者は、消費者が望んでいる青果物を生産者から集め、無駄なく届けることができるようになります。また、メールアドレスなどを通して互いの立場を超えたインタラクティブな情報交換が可能となります。

とのことである。消費者にとっては便利なことであり,今後,トレーサビリティへの要求は高まると思われる。
▼但し,考えてみれば,狩猟採集生活をしていた頃から自給自足農業をしていた頃まで,人間の社会でも生産と消費は切り離されていないのが普通だったので,トレーサビリティという問題はありえなかった。都市生活をする「消費者」の出現によって,生産と消費が切り離されたのが問題の根源といえる。疾病の歴史のところでも説明したが,都市は人間の生活を大きく変えた。SEICAのような試みは,大規模流通によって切り離された生産と消費を,情報技術によってつなげるものである。坂村健「ユビキタス・コンピュータ革命」(角川oneテーマ21)にあるように,すべての物にチップがついて,ユビキタス・コンピュータ社会が到来するならば,生産と消費の間をモノがつなぐようになるかもしれない。しかし,それは何らかの基準で取捨選択された情報だけがつながれているのだということを忘れてはならないと思う。
遺伝子組換え食品について
▼遺伝子組換え技術を応用して得られた食品をいう。従来の人為交配による育種でも自然に遺伝子の組換えは起きていて,それを利用することもある。しかし,遺伝子組換え技術がそれと異なるのは,種の壁を越えて他の生物に遺伝子を導入することができること,品種改良の範囲を大幅に拡大できること,期間が圧倒的に短いことである。これを程度の差と見るか本質的な違いと見るかは,意見が分かれている。
▼遺伝子組換え食品は,食品そのものと添加物がある。日本で厚生労働省が安全性審査をしたものは,2003年7月1日時点で,55食品,12添加物である(安全性審査の手続を経た遺伝子組換え食品及び添加物一覧[http://www.mhlw.go.jp/topics/idenshi/list.html])。
▼遺伝子組換え技術については,生産者,消費者,技術開発者等,立場によってポイントが違う。一面的な議論ではすれ違いが起こりやすい。→人類生態学の視点からみた遺伝子組換え技術[http://phi.ypu.jp/gmsympo.html]を参照。
▼厚生労働省医薬局食品保健部には,遺伝子組換え食品ホームページ[http://www.mhlw.go.jp/topics/idenshi/index.html]と題されたサイトがあって,安全性審査の手続き(挿入遺伝子の安全性,挿入遺伝子により産生されるタンパク質の有害性の有無,アレルギー誘発性の有無,挿入遺伝子が間接的に作用して他の有害物質を産生する可能性の有無,遺伝子を挿入したことにより成分に重大な変化を起こす可能性の有無,等について,申請者が提出した資料が専門家によって審査される。2001年4月1日以降,安全性審査を受けていない遺伝子組換え食品又はこれを原材料に用いた食品は,輸入,販売等が法的に禁止されている),表示についてなど,さまざまな情報がまとめられている。
▼国際的に見ると,米国は,バイオ産業や種苗会社が多いせいか,規制に消極的。ヨーロッパ諸国は遺伝子組換え食品について警戒する姿勢が強い。EU議会では遺伝子組換え作物(Genetically Modified Organismを略してGMOと書く)や遺伝子組換え食品についてトレーサビリティの必要性が提案され,2002年秋に採択されている。(European Commission (2002) Commission Proposals for a Trustworthy and Environmentally Safe Approach to GMOs and GM food and feed backed by European Parliament. IP/02/992, 3 July 2002, Brussels.)
機能性食品などについて
▼食品の特別の用途や効能についての表示は,健康増進法(2003年5月までは栄養改善法)の第26条から第32条で下記のように規定されている。

(特別用途表示の許可)
第二十六条 販売に供する食品につき、乳児用、幼児用、妊産婦用、病者用その他厚生労働省令で定める特別の用途に適する旨の表示(以下「特別用途表示」という。)をしようとする者は、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。
2 前項の許可を受けようとする者は、製品見本を添え、商品名、原材料の配合割合及び当該製品の製造方法、成分分析表、許可を受けようとする特別用途表示の内容その他厚生労働省令で定める事項を記載した申請書を、その営業所の所在地の都道府県知事を経由して厚生労働大臣に提出しなければならない。
3 厚生労働大臣は、研究所に、第一項の許可を行うについて必要な試験を行わせるものとする。
4 第一項の許可を申請する者は、実費(前項の試験に係る実費を除く。)を勘案して政令で定める額の手数料を国に、前項の試験に係る実費を勘案して政令で定める額の手数料を研究所に納めなければならない。
5 第一項の許可を受けて特別用途表示をする者は、当該許可に係る食品(以下「特別用途食品」という。)につき、厚生労働省令で定める事項を厚生労働省令で定めるところにより表示しなければならない。

(特別用途食品の検査及び収去)
第二十七条 厚生労働大臣又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、当該職員に特別用途食品の製造施設、貯蔵施設又は販売施設に立ち入らせ、販売の用に供する当該特別用途食品を検査させ、又は試験の用に供するのに必要な限度において当該特別用途食品を収去させることができる。
2 前項の規定により立入検査又は収去をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項に規定する当該職員の権限は、食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)第十九条第一項に規定する食品衛生監視員が行うものとする。
4 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
5 厚生労働大臣は、研究所に、第一項の規定により収去された食品の試験を行わせるものとする。

(特別用途表示の許可の取消し)
第二十八条 厚生労働大臣は、第二十六条第一項の許可を受けて特別用途表示をする者が同条第五項の規定に違反し、又は虚偽の表示をしたときは、当該許可を取り消すことができる。

(特別用途表示の承認)
第二十九条 本邦において販売に供する食品につき、外国において特別用途表示をしようとする者は、厚生労働大臣の承認を受けることができる。
2 第二十六条第二項から第五項までの規定は前項の承認について、第二十七条の規定は同項の承認に係る食品について、前条の規定は同項の承認を受けて特別用途表示をする者について準用する。この場合において、第二十六条第二項中「その営業所の所在地の都道府県知事を経由して厚生労働大臣」とあるのは「厚生労働大臣」と、第二十七条第一項中「製造施設、貯蔵施設」とあるのは「貯蔵施設」と、前条中「同条第五項」とあるのは「次条第二項において準用する第二十六条第五項」と読み替えるものとする。

(特別用途表示がされた食品の輸入の許可)
第三十条 本邦において販売に供する食品であって、第二十六条第一項の規定による許可又は前条第一項の規定による承認を受けずに特別用途表示がされたものを輸入しようとする者については、その者を第二十六条第一項に規定する特別用途表示をしようとする者とみなして、同条及び第三十七条第二号の規定を適用する。

(栄養表示基準)
第三十一条 販売に供する食品(特別用途食品を除く。)につき、栄養表示(栄養成分(厚生労働省令で定めるものに限る。以下この条において同じ。)又は熱量に関する表示をいう。以下同じ。)をしようとする者及び本邦において販売に供する食品であって栄養表示がされたもの(第二十九条第一項の承認を受けた食品を除く。以下この条において「栄養表示食品」という。)を輸入する者は、厚生労働大臣の定める栄養表示基準(以下単に「栄養表示基準」という。)に従い、必要な表示をしなければならない。ただし、販売に供する食品(特別用途食品を除く。)の容器包装及びこれに添付する文書以外の物に栄養表示をする場合その他政令で定める場合は、この限りでない。
2 栄養表示基準においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 食品の栄養成分の量及び熱量に関し表示すべき事項並びにその表示の方法
二 栄養成分のうち、国民の栄養摂取の状況からみてその欠乏が国民の健康の保持増進に影響を与えているものとして厚生労働省令で定めるものにつき、その補給ができる旨を表示するに際し遵守すべき事項又はその旨が表示された栄養表示食品で輸入されたものを販売するに際し遵守すべき事項
三 栄養成分のうち、国民の栄養摂取の状況からみてその過剰な摂取が国民の健康の保持増進に影響を与えているものとして厚生労働省令で定めるもの又は熱量につき、その適切な摂取ができる旨を表示するに際し遵守すべき事項又はその旨が表示された栄養表示食品で輸入されたものを販売するに際し遵守すべき事項
3 厚生労働大臣は、栄養表示基準を定めたときは、遅滞なく、これを告示しなければならない。

(勧告等)
第三十二条 厚生労働大臣は、栄養表示基準に従った表示をしない者があるときは、その者に対し、栄養表示基準に従い必要な表示をすべき旨の勧告をすることができる。
2 厚生労働大臣は、前項に規定する勧告を受けた者が、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかったときは、その者に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
3 第二十七条の規定は、販売に供する食品であって栄養表示がされたもの(特別用途食品及び第二十九条第一項の承認を受けた食品を除く。)について準用する。

▼栄養改善法で指定されている食品を総称して特別用途食品と呼ぶ。「乳児用,幼児用,妊産婦用,病者用等の特別の用途に適するもの」に加え,「食生活において特定の保健の目的で摂取をする者に対し,その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をする」特定保健用食品も特別用途食品に含まれる。つまり,いわゆる機能性食品は,効能があるという表示をするなら,特定保健用食品として表示されることになる(個別に厚生労働大臣の許可を受けないと表示できない点に注意)。
▼特別用途食品を大別すると,病者用食品(病者用単一食品として,低ナトリウム食品,低カロリー食品,低たんぱく質食品,低たんぱく質高カロリー食品,無たんぱく質高カロリー食品,高たんぱく質食品,アレルゲン除去食品,無乳糖食品があり,病者用組合わせ食品として,減塩食調製用組合わせ食品,糖尿病食調製用組合わせ食品,肝臓病食調製用組合わせ食品,成人肥満症食調製用組合わせ食品があり,その他個別評価型の病者用食品がある),妊産婦・授乳婦用粉乳,乳児用調製粉乳,高齢者用食品(咀嚼困難者用食品,咀嚼嚥下困難者用食品),それに特定保健用食品(2002年12月27日現在,表示を許可している食品は327食品,表示承認している食品は2食品。全リスト[http://www.mhlw.go.jp/topics/0102/tp0221-2a.html])がある。
▼市販ベビーフードについては,平成8年に各都道府県知事,政令市市長,特別区区長あてに,厚生省から通知されたベビーフード指針[http://www1.mhlw.go.jp/houdou/0806/0626-1.html]がある。ベビーフードの中でも,アレルゲンを除去することにより,アレルゲン除去食品として特別用途食品の認定を受けているものがある。
コーデックス委員会(FAO/WHO合同の国際食品規格委員会)[http://www.codexalimentarius.net/]が食品の健康強調表示について活発に議論している(例えば,FAO/WHO合同委員会食品規格計画の評価についての最終評価報告書[http://www.fao.org/docrep/meeting/005/y7871e/y7871e00.htm]を参照)という国際的な状況から,2001年2月26日に薬事・食品衛生審議会から答申を受け,厚生労働省は,2001年4月から,いわゆる健康食品のうち一定の条件を満たすものを「保健機能食品」と称することにした。保健機能食品のうち,特定保健用食品は上述の通り個別許可型であるが(逆にいうと,厚生労働大臣の個別の審査を受けたという表示は,特別用途食品として認可されたものだけができる),規格基準を満たせば許可や届け出なく成分表示できる栄養機能食品[http://www.mhlw.go.jp/general/work/syokuhin4.html]というものもある。栄養機能食品は,「高齢化や食生活の乱れなどにより,通常の食生活を行うことが難しく,1日に必要な栄養成分を摂れない場合など,栄養成分の補給・補完のために利用してもらうことを趣旨とした食品」とされている。
▼栄養表示基準は,栄養改善法第17条(健康増進法では第31条)の1に基づいて,1996年5月20日付け厚生省告示(第146号)で細かく定められている。「栄養機能食品」の表示については,食品衛生法施行規則第5条第1項第1号ユの規定に基づいて,2001年3月27日付け厚生労働省告示(第97号)で細かく定められている。
その他最近のトピック(講義では省略)
▼発酵関係(カスピ海ヨーグルトとかFT革命の話とか)
▼伝統食品の復権とかスローフード運動とか地産地消とかの話

住居

衛生的意味
▼屋内の温熱条件,明るさ,音,空気,広さ,構造,設備などが,そこに居住するヒトの心身の機能性,快適性,安全性を左右する。
住居内の空気環境について
▼屋内の空気環境について,大規模な建物については規制する法律があるが(「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」,俗に「ビル環法」と呼ばれる),一般住居については特にない。indoor air pollutionがあるので問題である。
▼受動喫煙を防ぐため,屋内での喫煙に関しては2003年5月に施行される健康増進法の第25条*で規制された。

*第二十五条 学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。


Correspondence to: minato@ypu.jp.

リンクと引用について