枕草子 (My Favorite Things)

【第50回】 K6-2への換装(1998年7月31日)

今朝,予定通りにシミュレーション人口学の原稿を書き終えたので,前々からしようと思っていたK6-2への換装をすることにした。普通にワープロを打ったりするにはK6の233 MHzでも十分なのだが,大量のシミュレーションデータを全部プロットするときなどは,やはりCPUが速いことも必要なのだ。月曜に東大生協に注文して,昨日届いたK6-2の300 MHzは,28,200円に5%の消費税がついて29,610円であった。

マザーボードはメルコのMMV-BA5-G(MYCOMPのAI5VPのOEM)なので,チップセットはApolloのVPX-Aで,バスクロック75 MHzの設定ができる。まあ本来は100 MHzの3倍速で動作するこのチップだが,75 MHzの4倍速で動作させてみることにした。まあ箱の蓋をあけてCPUクーラーを外し,K6を外してからK6-2を差してクーラーを元通りにし,コア電圧が2.2 Vになっていることも含めてDIPスイッチをちょこっといじるだけである。

こんなもの,うまくいかないわけがないので,元通りに蓋をしめて電源を入れる。「ポッ」音がでて,メモリチェックが始まる。K6/300MHzと表示されている。よしよし。一瞬画面が暗くなる。さあこれからPnPのチェックに行くはずだ。ところが…再び「ポッ」と音が出てメモりチェックが始まったのであった。無限に続きそうなのでおそるおそる電源を切って原因を考えてみた。やはりなめてはいけなかったのである。

まずは,もしかするとK6-2の266 MHzというのもあることだし,バスクロックが66 MHzしか通らない「外れチップ」を掴まされたのかもしれないと疑って,バスクロック66 MHzの4.5倍速に設定して再び電源を入れる。今度は用心して蓋はしないでおくのは定石である。祈るような気持ちで表示を見る。K6/300 MHzと表示され,メモリがチェックされてゆく。さあどうだ。…しかしやはり画面が一瞬暗くなり,再びBIOS表示とメモリチェックがはじまってしまう。いかん。

だんだん暗い気持ちになってくる。BIOS設定もいじれないので,しかたなくCPUをK6の233 MHzに戻してみる。コア電源電圧を3.2 V,66 MHzの3.5倍速に設定を戻すことを忘れてはいけない。これだとちゃんと起動して,BIOSもいじれる。ちょっと期待してメモリ関係のタイミングを変えてみる。それから再びK6-2に換装してみた。遅い分には問題ないと思って動作速度は変えないで電源電圧だけ2.2 Vにする。それから,おそるおそる電源を入れる。「ポッ」とやはり音はして,K6/233 MHzと表示され,メモリチェックされる。しかしそれだけで,やはり2度目,3度目のメモリチェックに突入するだけである。

ここで,ふと気がついた。このマザーボードができたときはK6-2なんてチップは存在しなかった。マザーボードのBIOSをアップデートしなければならないのではないだろうか? 慌てて別のマシンでメルコのサイトを見に行くが,新しいBIOSは出ていない。しかたないので,本家のMYCOMPに行ってみると,あったのだ,Cyrixの686なんかで起動しない問題を解決したとかいうBIOSが。ダウンロードしてWindows 95起動フロッピー(からCHKDSK.EXEとかREGEDIT.EXEとか,いらなそうなものを除いたもの)に展開し,CPUや設定を元に戻してからフロッピー起動する。

当然起動して[半角/全角]キーを押すとAプロンプトが出るので,徐にAWDFLASH.EXEを起動する。あ,いかん,これ英語モードのソフトだ。メッセージが何も出ないので,しかたなくCTRL+BREAKなど押してみるが,カーソルが右にずれていくだけで,何も起こらない。もう破れかぶれでリターンキーを押してみると,無事終わってくれた。それで,CHEJ.EXEをそのフロッピーに入れて,CHEJ USしてから再びAWDFLASH.EXEを実行する。メッセージに従ってAI5VPB2.BINと入力し,古いBIOSをAI5VP.BINという名前でセーブすることにして,アップデートを実行する。なんか,IDが若干違うとかいうメッセージが出ているが,やってみるしかないので実行してしまう。

無事に終わってリセットするようにというメッセージが出てくるので,電源を切る。再び電源を入れると,どうやら無事に立ち上がる。BIOSの日付は12/24/1997になっている。成功である。BIOS設定が(当然のことながら)初期化されてしまったらしく,プリンタやらフロッピーやらが「新しいデバイス」と認識されてしまうが,まあ普通に動作する。ここで再びWIndowsを終了して電源を落とし,K6-2を載せる。動作速度は75 MHzの3.5倍速にしておく。なんとなく動きそうな予感がする。震える手で,電源を入れる。…画面が明るくなってきてみると,K6 3D/266 MHzと表示されている。やった!! 成功である。

この後,4.5倍速もtryしたが駄目だったので,最終的に4倍速にした。75 MHzの4倍速では100 MHzの3倍速よりは遅いが,まあ3万円分くらいは速くなったことが実感できるので(とくに計算速度),満足である。シミュレーションの簡単なやつくらいは,ローカルでやってもいいくらいの速度だ。しかし,こんなことでこんなに悩むとは思わなかった。PnPへの道は遠いなあ。


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