枕草子 (My Favorite Things)

【第109回】 論文を書く時間(1998年12月20日)

木曜日は大掃除で一日が終わった。

金曜日は歯科診療を受け,いろんな業者に見積納品請求2部ずつもってくるように催促し,学生実習の採点の締切りが月曜であることを放射線の教室に連絡し,学科のBulletin(健康科学・看護学科は二年に一度,英文で紀要を出しているのである)の原稿を作る上で必要な情報を得るために各方面にメールなどで連絡をとり,などと雑用をしているうちに日が暮れた。

土曜日は月曜日(もう明日である)の講義の構想を頭の中で練りながらBulletinの作成を続けた。Bulletinを作るには頭を使う必要はないのだが,手は使わねばならない。従って擬似マルチタスクが可能である。もっとも,念のため完成したら頭も使って見直すつもりだから,もしかしたら二度手間のような気もするが。この日は昼食をとろうと生協第二食堂に行ったら休みだったので,一階の本屋に寄ったところ,「脳と生殖」学会出版センター (1998)という本が目に入り,思わず買ってしまった。副題が[GnRH神経系の進化と適応]である。5243円は高いような気もするが,人口大事典の原稿のために読んで置かねばならない本なので仕方なかろう。引用文献リストも充実していて良い本である。一般の人には勧めないが。

今日の朝はまだBulletinをやっていた。朝食後は子どもを連れて東京ドームのプロ野球なんたらというイベントに行ったが,これは全然子ども向けのイベントではなかった。異様な人混みの上,オークションとかフリーマーケットとか販売系の展示物が多く,身体を動かすものが少なかったので就学前の子どもには退屈だったようだ。TBSの筋肉番付でやられているストライクアウトを12球団対抗でやるという企画があったり,バッティングケージがあったりしたのだが,いかんせん酷い人混みで近づけないのだ。これは親であるぼくの企画ミスといえよう。

子どもたちが昼寝に入ったのでやっと大学に来てBulletinを仕上げた。これから人口学の講義準備だ。しかし…

この数日,全然論文を書いていない。

これではいけない。ネタはいくつもあるのに,頭の中で風化すると書く意欲がなくなってしまう。reviewから返ってきて訂正待ちの論文も2つもあるのだ。ぼくが生きている時間は有限なのだ。読む方は短い時間でもちょこちょこできるが,書くにはまとまった時間が必要だ。こういう雑文なら10分もあれば書けるけれど,論文には2時間は欲しい。

そこで,一つ決意した。明日から平日は最低でも毎日2時間は論文を書こう。原則として14:00〜16:00は論文以外のことはしない。どんなに急用でもしない(メールが入っても無視する)。たしか坪田さんも「理系のための研究生活ガイド」講談社ブルーバックス (1997)で書いていた筈だ。まとまった時間が2時間あると,相当なことができる。毎日2時間の積み重ねでも5日間が52週間あれば520時間になるのだ。逆に考えると,その時間だけは論文に集中することを自分に強制できるのだ。100%の集中は2時間くらいが限度のような気もするし。これが生活のメリハリというものだ。

講義準備と学生実習の採点結果のまとめは14:00までに終わらせることにする。木曜に締め切りの英文要旨は講義が終わってからしよう。まあ,そういうわけですので,お含み置きください>関係各位。


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