枕草子 (My Favorite Things)

【第263回】 公募をめぐる一考察(2000年3月24日;2000年9月14日一部訂正)

昨日作った事務職員募集の案内。収入としては悪くないと思うけれど,仕事は大量にあるので,好きでないとできないかもしれない。しかし,この職にいい人が来てくれるかどうかは,助手にとって死活問題なので,是非いい人が来て欲しいと思うのである。

公募というのは難しいものである。事務職員でも職能だけでなく,いい人かどうかなんてのを問うたりするわけだが,書類なんかで人物評価ができるかというと相当に疑問なので,面接をしたりする。しかし,大勢に面接をするわけにはいかないので,信頼に足る人の推薦を得ているかどうかなどというのを判断基準として援用する。そのため,下手をするとコネで就職が決まるということになる。今回の公募では能力と人物の両方が大事なので,それがわかるような履歴書やCOVER LETTERをつけてくれると参考になる。

研究・教育職の公募もそうで,研究業績だけで決まるなんてことは滅多になく,業績でスクリーニングがあるにしても,最後はコネの勝負だといわれる。圧倒的な業績があればその限りでないかもしれないが,現存スタッフと一緒に研究や教育をしていけるかどうかという人物評価は普通必要で,そのためには本人について照会可能な人のリストが重要である。この事情は日本だけでなく,米国でも同様らしい。

そう考えてみると,自分がいくつかの公募に応募して「残念ながらご希望に添えませんでした」という返事を受け取ってきたのも当然である。ぼくは自分を良く知ってくれている人に照会先になってくれるようにお願いしてきたのだが,むしろ公募先というか求人元が良く知っている,という意味で信頼に足る人,つまりは求人元と同じ分野の学会などで有力な人を,本人について照会可能な人としてリストすることが必要なのだろう。これまで応募した分野は,ぼくの専門の端っこを掠るくらいのところばかりなので,その筋の人に照会先になってくれるように依頼すべきだったのだ。

ぼくを良く知ってくれている人の専門は,人類生態学か人口学か生態人類学か熱帯医学なので,人類生態学の公募というのはほぼありえないけれど,人口学か生態人類学の公募なら引っかかる可能性があるということだが,人口学も生態人類学もそもそも講座のある大学の数が少ない上に,公募されることは滅多にないので,チャンスは少ない。熱帯医学関係(マラリア研究など)の公募では,医師でないとそれだけで応募資格すらないことが多い。つまりは,圧倒的な業績を上げない限り,このまま助手の身分が続くということになる。

ProNASに早く投稿せねば。


以下はメモ。


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