枕草子 (My Favorite Things)

【第435回】 林檎の収穫と「風の道」調査(2000年11月23日〜24日)

木曜日は,以前から企画されていた通り,今年契約している牟礼村ふるさと農園に林檎を収穫に行った。遠くに雪を頂き始めた北信五岳さえくっきり見えるような晴天の下,収穫自体は実に甘くてしっかりした林檎が山のようにとれて楽しかった(写真)のだが,好事魔多しとはよく言ったもので,息子が風邪を引いてダウンしてしまった。いま思えば朝から身体の不調を訴えていたのだが,何を甘えているのかと突き放したのが悔やまれる。林檎を収穫した後,霊仙寺湖畔のレストランへ移動し,コース参加者で牟礼村でとれた野菜の天ぷらと手打ちそばの昼食となった時に,とうとう熱を出したのだ。レストランでもずっと寝かせておいたのだが,家の近くで車から降ろして貰ってから背負って帰るのが一苦労だった。小学校一年生にもなると,なかなか重いのである。林檎も半端ではない量だったので,台車を使っても運ぶのが大変だった。かじっていると,この程度の労力は苦にならないくらい美味だから,まあいいのだけれど。

息子を布団に入れて電気あんかと水枕を用意してやってから,林檎を仕分けしていたとき,布団にくるまって震えながら,勤労感謝の日なのにお手伝いできなくてごめんね,とかいう息子の健気さに心を打たれる。病気の時はしょうがないんだから,じっとして早く良くなってね,と言っておく。

夕方,娘を風呂に入れてから味噌汁を作り,妻が学生さんからいただいたという,生きた鮭を捕まえて取り出した卵から作ったというイクラの醤油づけとともにご飯を食べた。美味。このところ,ぼくの舌はいい思いばかりしている。こう食が進むようなものばかり食べていては,太ってしまいそうなのが悩みどころ。いや,別に悩んでないけど。

食休みもした19:00過ぎ,青空MLの管理人を共同でやっている須賀さんからメールで誘われていた,コペルニクスという市民団体の「風の道」調査に参加するべく自転車で家を出た(コペルニクスの活動については以前このページで説得力がないといって批判したこともあったが,この日は自動車でなく,徒歩で調査ということだったので参加した)。今夜はえびす講煙火大会(去年は土手の上で堪能したが今年は行けなかった)なので,長野駅の近くまでくると犀川の河原から上がる花火がかなりの迫力で見える。空気も唸っていたような気がする。風の道の調査を20:00過ぎに設定したのは,煙火大会が20:00に終わるからというわけではないとのことだが,あれだけ空気が揺れるなら,煙火大会をやっている時間では影響を受けていたのではないかと危ぶまれるから,ちょうど良かったのだろう。とはいえ,三々五々20:00過ぎに集まってきた,煙火大会経由と思われる人々を含めても,県庁前に集合したのは10人くらいだったか。思ったより少ない。「風の道」調査とは,厳寒の星空の下で,手作りの風向計(吹き流しのようなもの)をもって,県庁周辺を歩き回るという企画である。都市にはヒートアイランド現象が生じやすいのだが,これには建物によって風の流れが阻害されていることもたぶん一因となっていて,裾花川の方から吹き込んでくると思われる風がうまく通るように町づくりすれば,熱や大気汚染物質を吹き飛ばすことができて,長野市ではヒートアイランド現象を回避できるという発想らしい。元々はドイツで出てきたアイディアとのこと。この日の調査は,まず現状で夜間の風の流れがどうなっているのかを調べるということだったが,集まった全員がほぼ同じ場所で調べたので,データとしては代表例として1人分でよく(実は風向計を持って立つ場所の微妙な違いで風向は随分違っていたのだが),大勢で歩き回った眼目は,データを出すということへの貢献よりも,「市民運動しているんだぞ」という姿勢のアピール(信濃毎日新聞にも長野市民新聞にも取り上げられていたし,成功だったと思う)や,参加者への環境教育にあったのではないかと思う。折角あれだけ人数がいれば,事前にトレーニングしておいて,機器の台数も揃えて,もっと広範囲でやればデータが増えるのに,とも思ったが,1回目でもあり,参加者がぼくも含めてほぼ全員素人だったので仕方ないかもしれない。今後も季節を変えて調査を継続するそうだから,参加者が慣れてくればいくつかのグループに分けて違ったルートで調べることもできるようになるだろう。ちなみに,この調査結果は地図にまとめられて,コペルニクスのWEBサイトに掲載されるとのことだが,ぼくも折角自分で記録した紙を記念に貰ってきたので,自分でまとめたページを作ってみようと思っている。GISソフトかなんか使えば,きれいにできて面白いんじゃないかなあ(数値地図に7500円払ってまでやる価値があるかといえば微妙なところだが)。

金曜の朝,まだ熱が下がらないので息子が学校を休むことになり,連絡帳を先生に届けて貰えるように階下の息子の同級生の家にお願いしに行ったり,ゴミを出したり,米をといだり,洗い物をしたり,とぐずぐずしているうちに7:50になってしまい,往路は8:37発あさま506号。この電車は空いているし,前にも書いたように停車駅が少ないのでなかなか良い。

午前中はメールの返事を書いたり,人口学会東日本部会の案内ハガキを作ったり。昼休み,ずっと眠っていたら元気になったとかいって息子から電話がかかってきたが(昼休みに帰ると言っていた妻がまだ帰ってこないのが心細かったらしい),3回もかけてこられると電話代が気になるのは貧乏性だろうか?

Amazon.comに洋書を数冊まとめてオーダー。個々の本をShopping cartに入れるところに,Enjoy free shipping on the order over $100! なんて書いてあるので,てっきり100ドル以上まとめ買いすれば送料無料になるのかと思ったが,free shippingのリンク先を見たら,キッチンウェアを含まないと送料無料にならないらしい。なんだか騙されたような気分。

案内ハガキ作りは,意外に時間がかかる。梅崎助手が海南島から帰ってきたお祝い飲み会が集会室で行われているのだが,乾杯だけ同席して,後はコンピュータの前に戻ってハガキ作りを継続。金曜日はどうせ座れないので,帰りは終電,というつもりだったが,今日の終電は4号車に空席があった。ラッキー。


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