枕草子 (My Favorite Things)

【第454回】 もはやこれまで(2000年12月21日)

1:49である。多少眠くなってきた。眠気覚ましにテキスト庵に行ったら150000番を踏んでしまった。意味は無いのだが,なんとなく嬉しい。その後も論文を書き続ける。2:52現在,眠さがかなりのものなので仮眠をとろうかと思っているところ。

やはり目が覚めたのは7:00過ぎだった。研究室で寝袋に入って仮眠をとった場合は,眠っている時間は同じでも,目覚めてすぐに仕事ができるのが利点だ。ぼくはどこでも熟睡できるので(修士課程2年で初めて海外調査としてパプアニューギニアに行ったときも,飛び跳ねるようにガタガタ進むトラクタの上で熟睡していて呆れられた),研究室の床には何の問題もない。いつもだったら嫌だけれど,週に一度くらいは充実した気がしていい。そういうわけで,12:00まで食事もとらず論文を進めた。途中,液晶プロジェクタにつなぐためのノートパソコンのサウンドデバイスのデバイスドライバ設定にちょっと時間を使ったが,それ以外にはほとんどinterruptなし。

ブランチとしてサンクスでおにぎりとパンを買ってきて,かじりながら先行研究を参照する。今ひとつ論旨がわかりにくいので消化不良気味なのだが,おにぎりとパンの方は何ごともなく消化されてゆく。Yashinの文章はそれほど悪文ではない。論旨が掴めないのは,ぼくの理解力が足りないのだろう。自分の頭の悪さが嫌になってくる。

午後も論文をすすめたが,17:00から萩原君の博士論文発表練習で,ディスカッションを含めて1時間半ほどかかった。途中で液晶プロジェクタが届いたので,終了後に動作確認をしたら,なんだか疲れてしまって,20:38発あさま533号で帰ることにした。明日は娘のクリスマス会で紙芝居の魔法使い役をやるために大学は休みをとったし,土日は知人の山小屋に一家で遊びに行くので,今週の論文はもはやこれまで。

上野から座れたので,池内了「私のエネルギー論」を手に取り,高崎手前で読み了えた。何度か書いているような気がするが,何でこんなにと思うほど,基本的なスタンスがぼくのそれと似ていて,共感した点が多かった。続けて,井上栄「感染症の時代」(講談社現代新書)にぱらっと目を通した。1章から2章にかけての展開は,たぶんダイアモンド「銃・病原菌・鉄」がテーマとしているようなことで,とくにどうということはないのだが,3章4章でEwaldの仮説を紹介しているところは(エイズの感染に適用しようというのは,感染力のある未発症期間を考慮していない議論だからダメだが),人口学講義「病気と人口」の参考文献として推薦してもいいくらいだと思ったし,後半サーベイランスについて説明し,その重要性を訴えるくだりは,本書のオリジナリティとして買える。インフルエンザによる学級閉鎖の主目的は授業の進度を平等にすることだけれども,感染を抑える効果と患者が動ける弱毒株しか広まらないようにする効果が大きいと考えられ,その意味での評価が必要だと書かれていたのには意を強くした。君の卒論のモデルの意義は,井上栄先生のお墨付きだぞ>竹内君。


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