枕草子 (My Favorite Things)

【第500回】 マラリア会議とオセアニア学会(2001年3月24日〜28日)

マラリア会議

土曜日はマラリアに関する公開報告会が国立国際医療センター研究所で行われたので,聞きに行ってきた。実は発表もしたかったのだが,その準備ができないままに調査の日々に入ってしまったので断念したのだった。往路あさま2号は上野に止まらないので,大宮で降りて埼京線に乗り換え,池袋で山手線に乗り換え,高田馬場で地下鉄東西線に乗り換え,早稲田から歩いて10分で国立国際医療センターの入り口には着いたのだが,そこから地下1階の会議場までがまた迷路のようで5分は迷った。

そんなわけで最初の方は聞き逃したのだが,それでも,「マラリア対策における臨床的,疫学的,基礎的研究」という題の通り,多岐に渡るマラリア絡みの研究の先端をつまみ食いできて,実り多い報告会だったと思う。きちんと理解するには論文を読まねばならないわけだが,こういう話題があるということを知るだけでも有益だ。

なかでも印象に残っているのは,やはりDr. KumarとDr. Bjorkmanによる特別講演である。Dr. Kumarの伝播阻止ワクチンの最新データはimpressiveだったし,Dr. BjorkmanのMultidisciplinaryな研究が大事だという話はその通りと思った。もっとも,malaria and anaemiaとかいうなら,栄養との関係にも当然踏み込むべきだと思うが,時間の都合か,今日の話はそこまで展開しなかったのがやや残念ではあった。

総合討論が終わった時点で17:00だったので,早稲田に出て東西線で日本橋まで行き,銀座線に乗り換えて上野に出たら,18:26発の電車に十分間に合った。高崎に停まらないせいか空いていたので快適だった。

入浴後,久々に家でテレビを見たら,偶々「天の瞳(2)」をやっていた。原作と違って現代の物語になっていて遊戯王カードが出てくるという趣向は悪くなかったが,潤子さんが主観的俗物になっていたのにちょっと納得がいかなかった。


休日というより体を使う日なので

体日というのはどうだろうかと時折思う。日曜日は昨日粗大ゴミから救い出してきた(子ども用の小さな)自転車に補助輪を付けて娘に与え,ちょっと家の掃除をしてから,息子を含む小学生軍団と簡易ドッジボールのような「中当て」という遊びをした。使ったボールが軽くて,なかなかまっすぐ飛ばないこともあって,全力で1時間も遊んだら,小学生たちともども気息奄々,疲れ果てたのだった。いやー,でも気持ちいいなあ。


駒ヶ根は遠かった

南アルプス

月曜の朝,新聞で千葉県知事選の結果を見たら,堂本暁子氏が当選していたことを知った。この結果は,三番瀬の開発に大きな影響を与えるだろう。埋め立てで利益を得ることを見込んでいた人たちは反発するだろうが,即時中止に期待したい。その代わりに三番瀬フォーラム案のように水辺環境の再生に取り組むといったアクションが出てくるかどうかはまた別の話だが,その場合も地域住民の暮らしと意識を十分に把握することが前提となるべきだと思う。

ソースカツ丼

娘を保育園に連れて行ってから荷造りをして長野電鉄で長野駅に向かい,末広町のバス停から飯田行き高速バスに乗った。中央道駒ヶ根インターまで2時間かかり,そこから日本オセアニア学会の会場である長野県看護大学まで歩いて20分ほどかかった。だんだんと晴れてきた雲間から覗く南アルプスが美しい(左写真)。駒ヶ根はソースカツ丼の町だというので,看護大の近くの店でそれを食べた。1050円と高価だったが,それなりにボリュームたっぷり(右写真)のカツが旨かったので,まあよかろう。

予定の14:00をだいぶ過ぎてから始まった一般発表は,アイデンティティ論が花盛りで頭の中に疑問符が渦巻いた点も多かったが,異分野研究交流こそがこの学会の最大の存在意義だと思うので,それなりに意味のあることかもしれない。懇親会が行われた二人静というホテルは,これまで泊まった温泉ホテルの中では,料理も寝具なども最高級の部類に属するもので,温泉としても素直な泉質で疲れがとれた。その後も例年の通り深夜まで飲んで語ったのだが,意外なほど疲れていない。翌火曜日のシンポジウムで感じたのは,やはり人口移動の研究は難しいということだ。個別事例から如何にパタンを抽出するかというところの論理がわかりにくい。ライフヒストリーのグラフ表示で社会構造と人々の生活の軌跡を同時に示すというのも,狙いはわかるが,グラフのパタンを目で見て<経験的に>民族誌的に意味のある典型的なケースをピックアップするというのは,やはり方法論としての論理として弱いのではないか? だからといって名案があるわけではないのだが。



水曜日は,久々に普通に研究室に来た。7:02発あさま号は空いていたが,新幹線の各駅に停まるので時間がかかる。週刊アスキーを読んで,宮部みゆき連載小説が後2回で終わると知った。もっと長編になるネタだと思うがなあ。

夕方から研究室の花見経由で謝恩会に出て,また研究室に戻って仕事をしてから大江戸線,銀座線経由で上野に出て,終電あさま535号で帰宅。


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