枕草子 (My Favorite Things)

【第504回】 花粉症対策(2001年4月5日)

往路あさま504号。大宮まで熟睡。花粉症対策で飲んだアレルギー性鼻炎の薬のせいか? たんなる睡眠不足か? たぶん後者だろう。どうしようもない眠さではなかったから。

今年の花粉症対策は,鼻の洗浄薬と眼の洗浄薬とマスクとアレルギー性鼻炎の薬を併用しているのだが,鼻の洗浄薬が最大のヒットだったと思う。眼の洗浄薬は,痒みのとれかたとしては水洗浄と大差ないが,眠気覚ましとしてきわめて有効だと思う。薬局で買うときに種類が多くて迷ったが,なんとなく選んだのが,ロート製薬のアルガード鼻すっきり洗浄液と,ライオンのスマイル洗眼薬ビタウォッシュである。さすがに2本をワークベストのポケットに入れて持ち歩くと多少重く感じるが,背に腹はかえられないのである。

今日は研究室に着いたらまずメールを1本打って,CD-Rを焼きながら昨日の詳細報告書の続きをやって,午後はARMADA M300の設定で潰れることになるだろう。

昼食後,萩原君と竹内君の助けを借りながらARMADA M300のセットアップを開始した。当初CDからブートするためにBIOSを呼び出す方法がわからず,何度もWindows2000の起動画面を拝む羽目になったが,萩原君がマニュアルを見てF10だということを見つけてくれたので,無事にCDからFreeBSD4.3RC2をインストールすることができた(とりあえず全部セットアップができてから現在のhumeco1とリプレースする予定なので,スタンドアロン状態でhumeco1のIPなどを設定してインストールした)。/varディレクトリをデフォルトよりも大きめにとることと,portsを選ぶところだけは,ちょっとマニュアル設定が必要だったが,インストールそのものは簡単だった。大変なのは現在既にhumeco1に登録されているユーザと同じ何十人ものユーザ登録をするところだったが,そこは萩原君がやってくれたので,ぼくは楽ができた。現在humeco1が果たしている役割はメールサーバだけなので,後はpostfixかqmailをMTAとして設定することとqpopperの設定さえ完了すればリプレースできるのだが,既に日が暮れそうで疲れたことと,竹内君が体調を崩して帰ってしまったことから,明日に回した。

ARMADA M300のセットアップ中断と相前後して,公衆衛生実習の学生が来た。ぼくがソロモン諸島に行っていた間に青空MLに届いていたメールで得た情報で,米国科学なんとかの会合で2035年には日本の平均寿命が85歳になるという発表をした学者がいたようだけれど詳細が不明だから,我々の死亡モデルとバッティングしていないか調べなくてはいけないと伝えて,二人で詳細を探ったが,なかなか情報がつかめないままに時間が過ぎ,彼は帰っていった。

しかしその後,フレッシュアイGoogleを駆使して発表の詳細がわかった。ぼくはNASのコロキアムかと思っていたのだが,実はAAASの年次大会だったようで,発表者はS.J. Olshansky教授であった。Olshansky教授は,昨年秋までUniv. ChicagoのThe Population Research Centerにいたのだが,その後Univ. of Illinois at Chicagoの医学部公衆衛生学科に移って,疫学・生物統計学教室の教授になったらしい。これまでにも,1997年のDemography誌でEver since Gompertz(訳せば「ゴンペルツ以来」となる。もちろんStepheen Jay GouldのEver Since Darwin「ダーウィン以来」をもじっているのだ。死亡モデルの分野でゴンペルツといえば,確かに進化の分野におけるダーウィンと同じくらいの革命を起こした人だと思う)とか,格好良い論文をたくさん書いているのだが,ぼくらが死亡モデルの論文をNatureに投稿したちょうどその日に,AAASの大会でこんなに近いテーマの論文を発表して,2月23日号のScienceでpublish済みだったのだから,まったく嫌になる。

しかし,論文をダウンロードして読んでみたら,コアとなるアイディアが全く違ったのでやや安心した。ということは,Olshansky教授の一連の研究を引き合いに出してエディタや査読者の興味を引くことができるかもしれないので,逆に考えればいいことかもしれない。とりあえず急がねばならないことは確かだが。

その他に今日あったことは,前教授の鈴木先生から文献集めを頼まれていくつかダウンロードしたことと,人事掛から連絡があって,非常勤の振替勤務を当日午後にするのは無理だから土曜にするように言われて了承したことがあげられる。高崎経済大学で12:05まで講義をして13:00に東京大学に着くのはたぶん無理だと言われればその通りだが,休み時間はなくていいから13:30から21:30までの勤務という形にするとか,どうせ月曜から金曜まで毎日11時間ほど勤務しているのだから(もちろん超過勤務手当なんてものはない),その分で埋め合わせるとかいう形があってもいいと思う。あるいは,たかだか年間26回しか講義日はないのだから,そのすべての日を半日休あるいは時間休をとって年次休暇としてこなすという選択肢もあっていいと思う。しかし,現実の大学の勤務制度は,そこまでフレキシブルではないようである(もっとも,後者の案については聞いてみる価値があるかもしれない)。土曜に来るのは難しいんだけどなあ。

帰りは終電の1本前。結構混んでいたが,何とか上野から座れたので,原俊彦「狩猟採集から農耕社会へ−先史時代ワールドモデルの構築−」(勉誠出版)を読了。この本の書評は人口学研究に載せなくてはならないので,気合いを入れて書かねばならないが,長い書評が書けるだけのネタは含まれている本だったと思う。


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