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書評:チームニッポン特命取材班『「脱談合知事」田中康夫:裏切り談合知事は逮捕、談合排除知事は落選。』(扶桑社新書)

最終更新: June 1, 2007 (FRI) 15:36

書誌情報

書評

自画自賛と感じられるところも多々あるが,やはり長野県の入札改革は,田中康夫知事でなくてはできなかったことだろうと思わされた。泰阜村の松島村長のインタビューや,市民オンブズマンの松葉氏のインタビュー記事は読み応えがあった。本書前半は,それらを含みつつ,なぜ全国でいわゆる官製談合が延々と行なわれ,なくならないのかという仕組みが明確に示される。本当にどこでもそうなのかは裏を取ってみないとわからないが,公共事業入札の現状と問題点がよく分かる。この問題に関心があれば一読すべきであろう。

脱談合でも落札率は低すぎると採算割れを起こすはずなので,適正水準の80%前後にもっていくことが目標という話は当然だろう。見た目が一般競争入札であっても隠れ談合になっているケースが多いというのは心しておくべきだろう。

なお,本書後半には田中氏らが夕張市を訪問してのルポがあるのだが,読めば読むほど,夕張市の状況は気の毒すぎると思った。市だけに責任をかぶせていいのか。ましてや住民の責任をどこまで問えるのか。考えさせられた。

【以上,2007年6月1日記】


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