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書評:川端裕人『PTA再活用論:悩ましき現実を超えて』,中公新書ラクレ

最終更新: October 23, 2008 (THU) 15:05

書誌情報

書評

本書は「婦人公論」の連載をまとめて書き直したもので,元原稿は「婦人公論」に出てからあまり間をおかずにwebサイトに掲載されてきたのでフォローしていたのだけれども,こうやって一冊の本となると格段に読みやすい。実際に小学校PTAの役員を経験した立場からPTAの来歴と「今」を捉え,どうしたら「学校の嫁」「修行の場」「トンデモ圧力団体」のような否定的言辞から抜け出して,よりよい組織として生かすことができるのかを提言している。

テーマがPTAとくれば,ぼく自身,息子が6年生のときに会長までやってしまったので,身につまされたり感心したり共感したり,とても他人事ではない。ともかく,PTAは自分が作り上げている一部なわけだから,所与のものとして隷属するんじゃなくて,ちゃんと考えて捉えなおしてみようよ,という見方自体が,多くのPTA会員には青天の霹靂ではないかと思うし,そこにこそPTA問題の根幹があると思う。それを意識することができるだけでも本書の価値は大きい。全ての親に読んで貰いたい。

しかしまた,和をもって尊しとなす社会では下手に突出すると受け入れてもらえないので,手の打ち方に工夫が必要だと思ったが,そこはケースバイケースなのかなあ。(後日追記するかも)

【2008年10月23日記】


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