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数理人口学

Last updated on January 30, 2007 (TUE) 16:09

2007年1月29日に東京大学医学部健康科学・看護学科講義「人口学」の枠内で講義した「数理人口学」についてのサポートページ

参考資料

文献

補足

"Applied Mathematical Demography 3rd Ed. (2005)"

"Applied Mathematical Demography"は,Keyfitz N, Caswell H (2005) "Applied Mathematical Demography 3rd Ed."が出ている。Keyfitz自身による第3版への序文によると,出版事情は次の通り。

第2版はほとんど売れ尽くしてSpringerが第3版を書けと言ってきたので,「もう90歳だし自分で新版を出すなんてほとんど問題外だけど,いい共著者が見つかるかも」と言っておいて,何人かの名声を確立した人口学者に声をかけてみた。でも,皆が,この本はよく書けていてよく練れているんでもう付け加えることはないと言った。これは,人口学者に声を掛けたのが間違いだった。生物の世界に気づいていなかった。Hal CaswellはAlfred Lotkaが人類という種の話をずっと超えていったように,非常に広い視野をもっている。Caswellとの共著のおかげで,第3版は非常に広い視野をもったものになった。このことに気づかせてくれてCaswellのところに自分を連れて行ってくれたJoel Cohenには感謝してもしきれない。Caswellがいなかったら本書は第2版で死んでいただろう。

そういうわけで,第2版と第3版ではだいぶ構成が違う。行列モデルを大きく取り上げ,中心的なフレームの1つとして扱っている点が特徴かと思われる。

第2版第3版
1はじめに:年齢なしの人口はじめに:年齢なしの人口
2生命表生命表
3死亡率の比較:性比行列モデルの枠組み
4死亡率と出生率の固定:安定人口理論の利用死亡率の比較:性比
5出生と内的自然増加率死亡率と出生率の固定
6移住,避妊,ゼロ成長への応用も含めた再生産価生命表からの出生と人口増加
7人口の特徴を理解する行列モデルからの出生と人口増加
8人口予測(projection and forecasting)生命表からの再生産価
9いくつかの不安定性タイプ行列モデルからの再生産価
10血縁関係の人口理論人口の特徴を理解する
11ミクロ人口学(microdemography)個人の生活史のためのマルコフチェーン
12マルチステートモデル人口予測(projection and forecasting)
13家族人口学行列モデルの摂動分析(perturbation analysis)
14人口分析における不均質性と淘汰いくつかの不安定性タイプ
15エピローグ:人口学の事実を如何に知るか?血縁関係の人口理論
16ミクロ人口学(microdemography)
17マルチステートモデル
18家族人口学
19人口分析における不均質性と淘汰
20エピローグ:人口学の事実を如何に知るか?

ちなみに稲葉さんの「数理人口学」の章立ては,第1章 歴史的ノート/第2章 安定人口モデルの基礎/第3章 安定人口モデルの発展/第4章 非線形単性人口モデル/第5章 ペア形成モデル/第6章 伝染病の流行モデル/第7章 年齢構造と伝染病流行/第8章 エイズ流行の数理モデル/第9章 インフルエンザ流行の数理モデル,となっていて,後半が感染症数理モデルの話になっている点に特徴がある。


Correspondence to: nminato@med.gunma-u.ac.jp.

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