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Copyright (C) Minato NAKAZAWA, 2012. Last Update on 2012年9月28日 (金) at 19:22:35.
ヤムイモとグゾサナとインスタントコーヒーという定番朝食の後,家主のB君を初めとするヤングボーイズ(独身の場合は現地の言葉でケワルブガという。既婚だとルガジョグと呼ばれ,一人前と見なされるが,現在では幼なじみの集団という感じで,あまり独身既婚の区別無く遊び仲間になっているようだ)に立って,村はずれの家から順番に戸別訪問を開始した。
今回は独立記念日のため広場に行って準備をしている人が多く,あまり効率は良くないが仕方ない。調査目的が事前にカウンシラーやコミッティから周知されていることもあり,概ねどの家でも気持ちよく協力してくれる。その家に住んでいる全員の名前と関係と誕生日,外に出ている家族がいればどこにいて何をしているかを聞き取り,その場にいる人の生体計測をし,最後に集合写真を撮って,翌日写真をプリントしたものを進呈するという手順なのだが,ここの人たちは自分の写真を手にできる機会が稀なので,誰もが写真を撮ってほしがる。こういう状況はソロモン諸島でも同じだが,調査結果が間接的に村に益することよりも,自分たちの記念写真が手に入るという直接利益の方が,村の人たちにはピンとくるようだ。もっとも,後で知ったことだが,デジカメで撮った写真をプリントする機械はダルーのスーパー(経営者はマレーシアか中国が知らないが,アジア系の人)にもあったし,ポートモレスビーの大型ショッピングモールでも大人気だったので,そのうちもっと普及して,写真のありがたみは薄れるかもしれない。
この日は炎天下を歩き回って105人まで生体計測をした。世帯調査の方は7割方終わった感じであった。1人でも家にいたら,家族の情報を聞き取ってから測定し,広場に行っているとか畑に行っているという家族は後日測定だけしようという作戦。これだと後の方ほど落ち穂拾いの効率が落ちていくが,まあ仕方なかろう。
晩飯は,我々が食糧負担をかけないため+αで持ち込んだ米とラーメンとコンビーフと,バナナと魚の煮物であった。1人で長期間入るときは購入食品は持ち込まないのだが,今回は短期間で2人いて,かつ独立記念日準備のために村人が十分な食物獲得活動ができない時期であることを考え(+先発隊のやり方を踏襲して),エクセスを払ってまでもダルーから買ってきたのだ。ぼくの趣味としてはイモとグゾサナとバナナと魚と野生動物の肉という食生活は,葉野菜がないという問題を除けば悪くないと思うが,ラーメンの旨みと塩味が麻薬的なのも否定できない。なお,葉野菜がないのは,後で知ったところでは全般的に今年は少ないらしいのだけれども,他の家ではアイビカなどを入手していたようだから,この家特有の問題であったらしい。
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