さっき久々に雲南TGFOPを飲んだら実にうまかったので,喫茶について書くことにした。ぼくにとって,コーヒーや茶を飲むことは生活の一部である(喫茶MLで,あなたにとって喫茶とは? という問いかけがあったときも,そう答えた)。最近,大学ではもっぱら茶をCHATSFORDの茶こしを使っていれるが,仕事中ずっと飲んでいるのでたぶん5杯くらい飲んでいるだろう。コーヒーは家で飲むことが多く,昔はよくいった喫茶店にはほとんど行っていない(暇がない)。
昨年アメリカにいたときは,当初,茶を入手する手段がなくて,コーヒーメイカー(たしか15ドルくらいだった)でコーヒーをいれて飲んでいたが,やはりコーヒーメイカーではコーヒーのコクを十分に抽き出すのは困難である。アメリカでは,缶入りの挽いてあるレギュラーコーヒーの粉は500グラム弱で2ドルくらいとべらぼうに安いので,インスタントコーヒーなんか飲む気はまったくしなかったが,かといってこのレギュラーコーヒーが十分にうまいかというと,はっきりいってインスタントコーヒーと大差ないのである。そこでうまいコーヒーを手に入れようとすると,まずはGIANTやBiLoやWEISなんかのgroceryでグルメコーヒー(gourmet coffee)というのを買ってみるわけであるが,これが1ポンドで7ドルも8ドルもと高い割に,回転が悪いので酸化とガス抜けのせいでたいしてうまくないのである。学食やBarnes and Nobleなんかに入っているStarBucksのコーヒーはそれなりの味なのだが,ここでコーヒー豆を挽いてもらって買っている人なんてのは見かけなかったので,ついに意を決して電話帳でcoffee roasterというのを探してみたのである。すると何ということかそれまで素通りしていた町中のオープンカフェは,自家焙煎店だったのである。カフェの隣で焙煎をしていて,豆も売っていたのだ。コーヒー豆は焙いて一晩たったあたりで挽いていれるのがうまいので,焙煎日を明記してあるこの店で買うのが正しい。コロンビアスプレモのシティロースト1ポンド(453.6グラム)で7ドル弱だから,「グルメコーヒー」より若干安いのに数等うまいのである。ミルは電動回転プロペラ式なら安くて10ドルもしない。挽き具合を調整できないのが欠点だが,5秒回してはちょっと休み,を3回くらい繰り返すと,熱ももたないしうまく挽ける。ドリップポットはさすがにないのでいれるのはコーヒーメイカーのままだが,それでも数段うまくなった。手間がかからないのがミソであった。
次に茶である。日本から送ってもらった緑茶を別にすれば,アメリカでは4ヶ月くらい茶なしで過ごした。しかし,件の自家焙煎コーヒー店は,なんと紅茶も扱っていたのだった。そこでアッサムを買って飲んでみたが,まあそれなりの味であった。やはり専門店でなくちゃね,というわけでTea Lover's Companionという本に載っていた茶商のいくつかに手紙を送ってカタログ請求してみた。届いたカタログをみると,Upton Tea Importsが一番良さそうだったので,Sikkim TemiのLot. 209を含めいろいろ注文してみた。これは当たりだった。とくにTemi農園茶園のSikkimは抜群であった。ティーポットももっていて,味を重視したいときはそっちでいれたが,プランジャーポットも買っていたので,ジャンピングを観たいときはそっちでいれたりして,なかなか楽しめた。この茶葉は日本に持って帰ってきたが,今も残っているのは初めに書いた雲南TGFOPくらいである。
日本ではドリップポットもあるし,ミルもカリタのナイスカットミルを買ったし(大学生協で24,000円で買ったが,新宿のヤマモトコーヒー店では2万円を切っていることが後でわかって悔しかった…余談だがこの店は小型焙煎機を売っていて,物欲をそそられる),まあネルは手入れが大変だからネルを使うほどの暇はないけれど,豆さえ良ければそれなりにうまいコーヒーが飲める環境になった。最近愛用しているのはライブコーヒー本郷店である。100グラムとか50グラムでも売ってくれるのが嬉しい。焙煎後の豆はせいぜい1週間くらいで飲んでしまいたくて,毎日夫婦で1杯ずつ飲むとしても1杯あたり10グラムだからせいぜい100グラムの消費が関の山である。回転が良いように見えるマンデリンのハイローストを買うことが多いが,できれば少量でもローストの注文を聞いて焙いてくれるとなお嬉しい(この店では焙煎機の都合で焙煎最小単位が1キログラムというのでそれは望めないが,近いのでここを使ってしまうわけだ)。茶については,どうもマリフレとかの高い茶を買う気になれず,本郷にある大坂屋茶店のほうじ茶とか,伊藤園の「農家の自家出し茶」を愛飲していたが,最近静岡のマヤ・トレーディングというところから通販で買ってみたアッサム(アジェア農園茶園)とダージリン(マカイバリ農園茶園Silver Tip)とシッキムがまあまあで,これ,100グラムずつ買って送料込みで合計3,500円という安さなので,これからちょっと愛用しようかと思っているところである。この店,グレードの表示がないし,マカイバリ農園茶園のダージリンは確かに発酵度は低いけどふつうはSilver Needleという筈で,Silver Tipってのは何なのだろう(それに安すぎるし),とかいろいろ疑問はあるものの,すくなくともシッキムはうまい。実はTemi農園茶園のも1,500円で出ていて,ダージリンもCastletonが100グラムで1150円,Jungpanaが800円とパンフレットに書いてあるので,今度はこれら3点を注文しようかと思っているところである。(Upton Teaと比べるとそうでもないけれど)日本の標準からすると異様に安いので,不安半分期待半分ではあるのだが。