枕草子 (My Favorite Things)

【第77回】 Alphaマシン到着(1998年10月17日)

メーカーがいうところの「エイジング中」だったAlphaマシンが漸く届いた。販売店の話では,エイジングはできたけれども通常の発送を待っているとまだ何日もかかるので取りに来いと言われて取りに行ったそうだ。隠すつもりも無いので書いてしまうと,このマシンは,(株)フリーウェイの"ViP-600 Alpha/Scp/533"というものである。マザーボードはSAMSUNG製,SMB164-LX2 533MHz CPUファン付きだ。本体添付の説明書は「TWO TOP VIP USER'S GUIDE」というものであるが,これはx86系の「DOS/Vマシン向けに」書かれた説明書であって何の役にも立たない。マザーボードの英語で書かれた説明書は多少役に立ちそうだが。メモリは168 pinの10 nsアクセスのECC付きのSDRAMを同容量のもの2枚一組でさせるバンクが2つあり,128 MB×2をバンク0に,64 MB×2をバンク1に積むことにした。

メーカーとしてはWindows NTマシンとして使われることを意図して販売しているものなのだが,ぼくの用途はほぼ計算だけなのでunixの方がよい。もちろんdigital unixでも良いわけだが,やはりアップグレードの頻度とかWEBからの情報入手のしやすさからいえばLinuxだろうと思うので,Linux/Alphaを入れようと思う。京都大学の後藤和茂さんという方が作られたStatabowareというパッケージが数値計算向きらしいのだが,開発を終了し,β版公開も今年一杯くらいで終了する予定で,RedHatかDebianへの移行を薦めていらっしゃるので(linux-alpha-jpメーリングリストからの情報),RedHat 5.1のAlpha版を東大生協に注文した。なんでLaser 5では5800円のものをわざわざ輸入して3週間も待って10900円も払わねばならんのかとも思うのだが,Laser 5から見積り書・納品書・請求書を各2部もらって翌々月くらいに銀行振込で決済なんてのはできなそうだから仕方がない(ここなどからダウンロードすればいいのかもしれないが,念のためにCD-ROMも手配したかったのだ)。それまではStatabowareを入れておこうと思う。ここから持ってくればいいのかな? 後でやってみよう。

すぐにでもやりたいのは山々だが,20日締め切りの科研費の申請書を書き終えるまでは駄目なのだ。

WEBやMLで入手できる情報とは別に,一冊くらいLinux/Alphaの本を買っておこうと思って東大生協の書籍部に行ったのだが,やはりAlphaがマイナーなせいか単行書は無かった。しかたなくLinuxJapanという雑誌の11月号を買ったが,Alphaの情報は本当に少ししかでていない。それでもStatabowareのインストールの話もちょっと出ていて役に立ちそうだ。LinuxJapanを持ってふと横をみたら,「数理科学」の10月号が量子コンピュータの特集だったので衝動買いしてしまった。ベアの「凍月」とか最近のSFに頻出するので気にかかっているのにわからなくてモヤモヤしていたので,実に時宜を得た特集に感心した。まだ読んでないけれど(だから理解できるかどうか不明だけれど),面白そうではある。

別の話題をあと2つ書いておく。

  1. 昨日の日経夕刊にマラリアワクチンという文字を見つけた。一瞬またかと思ったが(いままで何度もワクチンができたと報じられては,特別な場合にしか効果がないとわかることが繰り返されてきたため),今度は本物かもしれない。細胞傷害性T細胞を増やすことを狙った,「新型のDNAワクチン」なのである。20人のボランティアに注射して6週間後に検査したら11人に効果があったということだ。Dr. Stephen L. HoffmanのMalaria Programのページに書かれていることを見ると若干背景がわかるが,まあ詳細はScienceの10月16日号待ちだな。読んだらまた書こうと思うが,いまのところ期待半分疑念半分である。
  2. さっき入ったニュースによれば,NC4.5の正式版がリリースされたそうだ。ここから早速ダウンロードしたが,インストール及び所感はまた後日ということで。申請書が先だから(>自分に言い聞かせているのである,実は)。


前【76】(売買血についての雑感(1998年10月16日) ) ▲次【78】(乱数発生器(1998年10月19日) ) ●枕草子トップへ