枕草子 (My Favorite Things)

【第105回】 線虫のゲノム(1998年12月13日;2000年3月24日追記)

この体裁にしたら,更新がちょっと面倒になった。これまで2ファイル更新で良かったのだが,最低でも4ファイルは更新しなくてはならない。まあいいけど。(2000年3月24日追記:「この体裁」というのは,現在のスタイルとほとんど変わらないのだが,CGI作成前で,インデックスファイルを手作業で更新していたことを指している。)

一昨日の日本経済新聞だったか,線虫DNAの全塩基配列が解読されたという記事が載っていた。どこに発表されたのか書かれていなかったが,やはりScienceの最新号であった。これで北野宏明さんのC. Elegansシミュレータの研究も進むことであろう。実に喜ばしい。線虫はれっきとした多細胞生物であり,Anderson and Mayの"Infectious Diseases for Humans", Oxford University Pressでもmacroparasitesの方に入っている。赤血球や肝細胞の中で増殖するマラリア原虫のDNAが「第2番染色体の解読ができた」ばかり(Scienceの11月6日号に掲載された)なのに比べると,驚くほど進んでいる。

Science英語版はabstractすら登録しないと読めないが(無料だけど),C. Elegansゲノムプロジェクトについては発表した研究者たち自身のWEBサイトでかなり詳しく説明されているので概要をつかむことができた。こういうことになってくると,やはりWEBは研究の便利な道具と思う。ちなみに,解読されたゲノムは,9700万塩基対で,遺伝子数にして19000だそうだ。こんなに膨大な情報を扱うことはコンピュータの進歩なしにはできなかっただろう。こういう発表を見るにつけ,なるほど脳が外部に延長されたものとしてのコンピュータがIEEE1394とかRS-233CとかEthernetとかの運動性ニューロンを介して作動器官としての計測機器を動かしてくれるのだなあと実感するのである。

それにしても今日は寒いなあ。さて帰って朝飯でも食うか。


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