枕草子 (My Favorite Things)

【第166回】 フォローアップ(1999年10月1日)

フォローアップは大切である。一度大丈夫だということを確認していても,放っておくと徐々に堕落していくのが人間の悲しい性と思う。システムを作った当初はきちんとマニュアルに従ってやっていても,面倒なところを現場の裁量で省略していった結果としてフェイルセーフではなくなってしまう,ということは往々にして起こる。システム構築直後だけでなく,適当な間隔をおいて自己点検をする必要がある。もっとも,昨日の東海村の事故の場合は,朝日新聞社の特集記事にあるように,3年ぶりにやっていた作業だとすれば,マニュアルくらい見直しただろうから,マニュアルそのものの出来が悪かったと言えるかもしれない。システムを立ち上げた当初は,マニュアルに書かれていないことも感覚的に覚えていてうまく作業ができたものが,時間が経ってマニュアル化されていない部分を忘れた結果おこったというわけである。日本のシステム管理に人間工学の視点がほとんど生かされていないという嘆きを,講義で何度か耳にしたことがあるが,やっぱり,こういう危険なシステムに関しては,定期的に人間工学か国土学の専門家のチェックを入れることを法制化すべきなんじゃないだろうか。そうすると資格も作らなくちゃいけないから利権も絡んで面倒かもしれないが,一考の価値はあるように思う。もう一つ考えるべきことは住民との関係だと思うが,住民による有効な監視というのは現実には不可能に近く,またこういう施設の存在は両義的なので(利害の両方があるので),結論を出すのは難しい。はっきりしていることは,何か一旦決定しても,それで決着としてしまうのではなく,状況に応じて柔軟に関係を変えるべきということだ。適応的システムの構築ということだが,これが存外難しい。ともあれ,臨界の危険はひとまず脱したそうだし,爆発して放射性物質が飛び散ったというわけでもないから,取り敢えず一安心である。もっとも,青空メーリングリストで東京医科歯科大の大塚さんが懸念されているように,もし万一,放射性物質の飛散があったのなら全然安心などできないし,もちろん,避難中の住民にとっては全然問題は解決していないのだろうが。

フォローアップの大切さを感じたから,というわけではないが,今日はこれまでのフォローアップをする。まず,書いた時点から気が変わったことが1つ。田子池にバス釣りに行こうなんて書いていたが,「ブラックバスがメダカを食う」を読んでしまったので,密放流の潜在的動因となりうる行動であるバス釣りは,やっぱりやらないことにした。ミミズでも掘ってフナか何かを狙って餌釣りくらいするかもしれないが,バスはやめだ。ルアーをやりたいときは,海へ行ってフッコでも狙えばよいのだ。

次は,開幕10連勝のときに予想したとおり,中日ドラゴンズが優勝したことを書く。ぼくは1974年優勝時にマーチン,デービス,木俣の破壊力に惚れ込んで以来のドラゴンズファンなのだが,今年は本当に強かったと思う。9月16日の関川のヘッドスライディングで1点もぎとった瞬間にはしびれたし,あれで優勝を確信したのだった。今朝は,東京中日スポーツまで買ってしまった。しかし,衆議院議員の三沢淳さん(元投手・ガキの頃は彼のサイドスローの真似をしたものである),いくら何でもコメントが変だ。「中日優勝の年は政変などといわれますが,日本一になれば政治も安定すると確信しています」だって。何を根拠にそこまでおっしゃる?

次は謎であった人類進化の新説について。時間が経ったのでgooで「人類」「進化」「調理」「野菜」を全て含むものとして検索したところ,考古学のおやつ/NEWSLINKでミネソタ大のGregory T. Laden博士の発表ということはわかったが,情報源に行き着くのに苦労した。Greg Laden Home Pageは長い間更新されていないようで,情報源へのリンクがないのだ。一旦人類学教室のトップページに戻ってみると,このニュースへのリンクがあり,ここでやっと原著がCurrent Anthropologyに出ることがわかった(CAのサイトは更新が遅いし,pdf公開ではないのが痛い)。これは読まねばなるまいな。

長くなってきたので,今日はこの辺でやめ。


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