枕草子 (My Favorite Things)
【第178回】 3歳児健診と七五三(1999年11月12-14日)
- 金曜日は娘の3歳児健診だったので休みをとって,午前中だけ保育園にやって自宅で仕事をしたが,午後はずっと娘につきあった。昼過ぎには小降りだったので,自転車を押して2駅分,保健所まで歩いてみた。途中娘が眠ってしまったので難儀したが,まあ何事もなくついた。健診は,受付後,あらかじめとっておいた検尿を渡してから,名前を呼ばれるのを待つ間が最初の難関である。おもちゃはたくさん用意されているのだが,子ども社会といっても自然と力関係が生まれるようで,同じおもちゃに手を伸ばして睨み合ったり,「だめー」とはっきり意思表示をして争いになるのは,大人社会の縮図を見るようで,なかなか興味深い。つまり,争いの原因は,リソースの占有にあり,占有あるところに悲劇が生じるのは齢の長幼を問わない事実であろう。この場合も例外ではなかったのである。娘はあまり人気でなかった汽車のおもちゃをキープしていたので,幸か不幸か輪の外にいたようだが。
- 健診は流れ作業で行われる。大きな部屋に入り,保健婦さんの問診を受けてから身長・体重を測定し,次いでごく簡単な喉の検査をしてから,歯科検診をし,別室で「食事の前には手を洗いましょう」「何でも好き嫌いせずに食べましょう」「いただきます,ごちそうさまをきちんといいましょう」という約束をゴリラのミミちゃんとしてから,口腔内のサンプルを顕微鏡で拡大表示していろいろな菌がいることを実感してから,「奥歯まできちんと歯磨きしてくださいね」と言われながら歯ブラシを1本プレゼントされておしまい,というのが一通りのコースである。しかし,子どもはもちろん組み立てられる工業製品と違って自由意思をもっているので,なかなかこの通りにすんなりとラインに乗ってくれないわけである。娘の前の子が大泣きして断固拒否したのに影響されたわけではあるまいが,娘も最初の問診は照れてしまってぼくの後ろに隠れてしまい,なかなか受けてくれなかった。結局,問診を最後に回すことにしたら,あとはすんなりいったのだが。
- この種の健診を受けるとき,いつも思うのだが,なぜ全体像というか,見取り図を最初に見せてくれないのだろうか。最後になるまで,その先に何があるかわからないというのは,気持ちが悪いのである。実際の見取り図に順路を書き入れるなり,フローチャートを示しておくなりするのは,大した手間ではないと思うので,是非ご一考を願いたい。そうすれば,どこでトイレに連れていけばいいか,など適当な間の取り方を考えて進むことができる。健診は行政サービスの一環なのだから,受診する子ども本位で勧めることができるはずである。
- 健診が終わって外に出てみたら土砂降りだったので,自転車はそこに置いて,電車で帰ったのだが,電車を降りるともう,雨はほとんど上がっていた。やや無駄をしたような気がした。翌朝,散歩がてら自転車を取りに行ったが,行きは徒歩,帰りは自転車で,合計40分くらいだった。その土曜日は晴れていたが,娘は歯科を受診する日だったので,歯科が終わってからひまわり公園と図書館に行った。ひまわり公園につくと既に16:10となっており,乗り物の貸し出し時間は終了していたので,ぶらんこや運梯でちょっとだけ遊んだものの,すぐに図書館に行った。図書館ではたまたま「おはなしの部屋」が空いていたので,紙芝居を3つやってあげたのだが,他の子どもがたくさん集まってきて真剣に聞き入ってくれたので,少々照れくさかったが,癖になりそうな気もする。図書館にも公園にも,車椅子のまま使えるトイレがあり,子連れの場合は使っても良いことになっているのは,素晴らしいことである。男子トイレに娘を連れて入っても非常に使いにくいので,この施設は子連れの場合は必須に近いのである。今日日曜日は七五三をやるために善光寺に参ったが,境内にあったトイレにもこの施設は備えられており,長野市の公衆トイレ行政は進んでいると感じた。もっとも,聞くところによれば,これらは長野オリンピックの影響で,急に改善されたものらしいのだが。
- 今日の午前中は,子どもたちに,昨日借りてきた「シンドバッドの冒険」を読み聞かせてやった。先週借りてきた「ズッコケ三人組」の怪談のやつは,修飾語句の多い難しい言い回しのために,子どもがフォローするのは難しかったようだが,「シンドバッドの冒険」は,読み聞かせ用に作られているものなので,即物的な表現が多く,挿し絵も美しいので,身体を乗り出して聞いてくれる。外国の地名などはわからないにしても,一つ一つの文が短く,言い回しが即物的なことが,読み聞かせに適した文章の条件と思う。
- 昼前からは,前述のごとく七五三をやった。まず近所の神社に行ってから善光寺に行ったのだが,近所の神社が閑散としていたのに比べ,善光寺は大変な人出であった。千歳飴も至る所で売られており,なかなか商魂たくましいのである。その後,新幹線に乗り,これを打ちながら東京に着き,現在徹夜仕事中であるが,やはり徹夜は効率が悪いのである。とはいえ,背に腹は代えられないのである。
▼前【177】(どのあたりまで教育か?(1999年11月11日)
) ▲次【179】(睡魔との闘いに破れて(1999年11月16日)
) ●枕草子トップへ