枕草子 (My Favorite Things)
【第228回】 朝靄の月曜日(2000年1月22-24日;2000年9月14日一部訂正)
- そういうわけで,21:30上野発のあさま535号に乗った。大宮まで座れなかったので,片山一道さんの本を読み始めたらやめられなくなり,座ってからも高崎過ぎまで読み続けて読破してしまった。今日は人口学の講義資料の取捨選択をやるつもりだったのに,読書にこんなに時間を使っていてはまずいような気がするが,片山さんの本の古人口学の記載は講義に使えそうだから,まあいいか。しかし,そうすると,資料をさらに追加せねばならなくなるわけだが,既にA3で6枚となっており,これ以上増やしたら1コマで語りきれないのはあまりにも明白なので,相当切らねばなるまいな。ああ,勿体ない。
- 土曜日は午前中,子どもたちを保育園にやっておいて講義資料作りを続けたが,終わらなかった。天気が良かったので,午後は動物園でも行こうかと言っていたのだが,昼食を食べていたら子どもが眠ってしまったのでやめ,家で紙粘土工作をしたり絵を描いたりして過ごした。日曜日は雪と雨が一日中降っていたので,こんなことなら昨日のうちに外出しておくのだったなあと後悔しながらも,短大の講堂で「ヘンゼルとグレーテル」のミュージカルを見たので,子どもたちは満足した模様。ぼくは,ミュージカルなんてみると,冥風過劇団(もし漢字が間違っていたらごめん>関係者)の芝居を見るために通っていた駒場小劇場を思い出すので,ノスタルジイに浸ったり。
- 今朝は5:30に起きたのだが,濃い朝靄が立ちこめていて,視界がよくない。月が暈をかぶってみえるほどであった。だらだらと食事をしていたため,7:02のあさま506号に乗っているのだが,佐久平までは朝靄がひどく,晴れているのか曇っているのかわからなかった。それが,トンネルを抜けて軽井沢に出たら,すっきりと晴れた空のもと,遠くまで見渡せた。さすがに観光地は違う……のか?
- 最近「徳島市に知り合いがいる人は投票に行くように呼びかけを!」と全国規模で運動が展開されていた(たとえば,吉野川・東京の会のメールマガジンなど)吉野川可動堰問題の住民投票は,朝刊によれば,投票率が55%と過半数を超えたので開票され,約9割が可動堰建設に反対だったことを受けて,徳島市長も建設反対の意を表明したという。賛成派は投票しないようにという呼びかけがあったそうなので,投票しなかった45%弱の人たちには建設賛成の人が多いのかもしれないから,これをこのまま9割の住民が建設反対したと読むことはできないが,それでも住民投票が成立したのは喜ばしい。仮に50%を超えなかった場合は開票されなかったということだが,それはおかしいのではないか。開票されても法的拘束力がないというのに,開票されずに,票を投じた住民の意思表示手段すら奪われるとするなら,自治権というのはないに等しいことになる。可動堰建設そのものには,メリットとデメリットの両方があるのは当然で,その是非の論議を尽くさないままに,かつて決まったことだからお上のいうとおりにしろ,という(衆愚という危険な思想を前提とした)建設省の言い分は,インターネットの普及により個人が情報発信手段を得,その一方で個人個人が主体的にものごとを判断することが求められている現在,納得しがたいものである。ともかくも住民主導での論議のやり直しを求めるという運動方針には共感する。
- このテーマ,書きたいことはいくらでもあるのだが,今日は講義準備があるので,最後にもう一つだけ。Earthdayというメーリングリストに,「21世紀環境委員会」(公害原論の宇井純さんや水産大の水口憲哉さんがメンバーに入っている)から,各地のNGO宛に,『政府・政党・国会に対して,すべての公共事業のありかたの見直しと今国会でそれを集中審議するように求める緊急アピールを出したので,一緒にアピールしませんか?』という呼びかけメールが流れたが,時宜を得たアピールと思うし,賛同したい。
- 13:30に講義資料作りが完了した。講義は16:20からなので,昼食に出かけてきた。生協食堂の銀杏であるが,最近,定食の種類が増えたのはいいとして,ネーミングがどうもいただけない。古くからあるのは,「銀杏」「三四郎」「虹」と美しいのだが,最近できたものは,「3番」とか「7番」とか「B定食」とか,象徴的意味の乏しい記号なのだ。地名から「本郷」「弥生」「向丘」「西片」とか(高級なメニューは邸宅街の西片),学内の建物などの名称から「御殿」「赤門」とか,もっとも東京大学らしい定食として「淡青」とか,いかがなものだろうか? ちなみに今日のB定食は,スープはうまかったが,オムライスのライスがあまりにもぎゅうぎゅうと押し固めすぎと思った。
- 昨年からこのページのトップでずっとリンクしている森山和道さんの独断と偏見で選ぶベストサイエンスブック'99に,やっと投票。5点以内に絞るのは難しいよなあ。池内了さんのエッセイも入れたかったのだが。
- 講義は,今ひとつ焦点を絞りきれなかったため,学生諸氏には迷惑をかけてしまった。感想を書いてもらったので,改善すべき点がいくつか明確になった。「病気と人口」というテーマでは,導入部でどういう話をするかが難しい。いっそ,病気とは何かという話は省くべきか? その代わりに,今年は省いた国別死因比較をいれれば,人口と病気のつながりが具体的にわかるかも。数理モデルに拘っているのが焦点を絞れない原因であることはわかっているのだが,それなしにはしたくないんだよな。
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