枕草子 (My Favorite Things)
【第303回】 浮上(2000年5月22日)
- ディック・フランシスの小説にでもありそうな2文字熟語のタイトルだが,別に謎掛けを狙ったわけじゃない。5:00に起きて6:20に自転車に乗り,6:43発あさま502号に十分間に合って気分が良かったし,咳と喉の痛み以外は風邪もすっかり抜けたような気がするので,この題をつけたわけだ。しかし,なぜだか車内で眠りこけてしまったので,名前負けしているかもしれない。
- 土曜日は恒例の教授宅でのホームパーティで,院生たちを怪人役に見立てて暴挙の限りを尽くした我が子たちは,その夜を渋谷にある銀杏荘という文部省共済の宿で過ごすと,翌朝早くから保育園時代の友人が出る運動会@六義園に参加し,長野へ帰宅後も元気いっぱいであった。ついて行ったぼくはといえば,運動会の父親綱引きというのに参加して手の皮が剥けてしまい,右手は握るだけで鋭い痛みが走る状態で,情けないことだ。もっとも,キーボードをタイプするのには何の支障もないから,洗い物をするときにしみるのを除けば実害はないが。
- ちなみに,上のほうで「謎掛け」といっているのは,もちろん暗にドラゴンズの首位浮上を指しているのだが,長野駅のキオスクにトウチューが売られていないからといって,上野でわざわざキオスクの方に回って買ってしまったのはファンゆえの馬鹿な所業である。120円あればおにぎり1個買えるのに。キオスクに行こうと思うと,新幹線改札から裏に回って3階へ出るエスカレータに乗ってしまうので,必然的にフローラ上野ブックガーデンを通ってしまうわけで,Software Design6月号をPostgreSQL大全を読むために買ったのはいいとして,偶然目に入った「御手洗パロディ・サイト事件(上・下)」「新しい歌をうたえ」「猿の証言」は余計な買い物だったかもしれない。やはりキオスクに寄ることにしたのは馬鹿な所業だったといえよう。
- 今日届いた郵便物に,日本進化学会ニュースが入っていた。会員名簿に自分が入っていないので,あれ? と思ったが,良く見ると設立発起人名簿の方に入っていた。なるほど,会員名簿は設立発起人は含んでいないのだな,と納得はしたが,この会員名簿は読みにくいことこの上ない。途中までアイウエオ順なのだが,何度か追加したのをそのままにしたらしく,順番がむちゃくちゃなのだ。最後が何故かダーウィンの使者が捧げられている野田令子さんであることには,とくに意味はないのだろうが,次号からは何かの基準でソートして欲しいものである>クバプロ。
- アクセスログを見ると,最近の増加は青木みやさんの日記からのリンクを辿ってのもののようだったので,リンク返し。ついでにコメントすると,ヒトクローンを問題にするのは,人間の優越性を認めるわけではなく,自分が人間だからだと思うが。つまり判断をする主体としての自分を特別視してしまうのは,あたりまえではないか。我無くしては我は思えんのだから。遺伝子組換え薬品には誰も目くじらを立てないのに,遺伝子組換え食品が大問題になるのは,ぼくは,3月にあったシンポジウムのパネルディスカッションのときにもコメントしたように,薬品が使われる場面がそもそも非日常なのに対して,食品が日常だからと解釈している。遺伝子組換えに限らず,そもそも西洋医学で用いられる薬品すべてが,日常的には馴染みのない新技術で作られ,正体不明だけれども,病気を治すために,と思っていやいや体内に入れるものではないだろうか(ていうか,医療というのはそもそも非日常でしょう?)。食品は,分析してみれば毒性のある物質も含んでいるとはいえ,日常馴染みのあるものを普通に食べていれば問題はなくこれまで人類は生き延びてきた,という経験知に基づいて口にするのだから,日常生活と分かちがたく,保守的になるのは当然と思う。もっとも,青空MLへのシンポジウム報告で感想として書いた通り,情宣によってある程度文化は変わるものだから,日常であるという既成事実を作ってしまえば,なし崩し的に遺伝子組換え食品も日常になってしまう可能性も否定できない(逆にいえば,それを恐れて過敏反応している人たちもいると思う)。以上,もちろん,ぼくの勝手な判断だから当たっているという保証はないが,当たらずといえども遠からずなのではないだろうか。
- アルファマシン高速化にまつわる試行錯誤を読まれた方から,SMPマシンでの高速化のためのプログラム改良案をいただいた。確かに,シミュレーションプログラムとしてはスレッドをきちんと分けて書くことで高速化できる余地は相当に残っているんだよなあ。ああ,時間が欲しい。
- ミーティング報告は人類生態学メーリングリストにしたのでそちらをご覧いただきたいが,2番目の研究紹介とProgress Reportの間で,ミーティングの進め方に関してちょっとした討論。主体的かかわりという意味では大変良いことと思う。何も言わなかった若者たちはどう感じているのだろうか? が気になるのだが。
- 2年生による教室見学などもあり,帰りは終電。例によって月曜日の終電は空いている。
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