枕草子 (My Favorite Things)

【第315回】 矛盾と妥協(2000年6月8日)

ねぶた行きに備えて,青空文庫からダウンロードしたExpand Book版「津軽」を読む(笑いをかみ殺しながら太宰の自虐的な文章を読んでいると,WEB日記文化に私小説は引き継がれているのだなあと感じる),今日の往路も6:43発あさま502号。今年に入ってからほぼ毎日,往復の新幹線を記録しているが,これはもちろん後で集計しようという意図があってやっていることである。毎日似たような記述が含まれるのは鬱陶しいが,毎日でないとデータにならないから,できるだけ書き方をさりげなくしたりバリエーションをもたせることで妥協するしかないのだった。非公開の別ファイルにするという手もあるが,それではきっと継続できなかっただろう。中間集計は,こんな感じである(回数が合わないような気もするが,記録し忘れたときがあるということだ)。


往路回数復路回数

6:009回22:1468回
6:4346回21:308回
7:0221回20:384回
7:507回19:582回
その他5回その他3回

実は,去年の7月から出納簿も集計目的でテキストファイルに記録しているのだ。年間平均して,本を買うのにいくら使っているかが集計すればわかることになるが,それが怖くてなかなか集計に踏み切れないでいる。ちなみに今日もフローラ上野ブックガーデンで氷川透「真っ暗な夜明け」と鯨統一郎「とんち探偵一休さん・金閣寺に密室」を買ってしまった。いつ読むのかということは考えずに「とりあえず買う」という姿勢だからこうなるのか。

明日からは熱海で3日間,未来開拓研究の合宿である。今日のうちに個人的な仕事はできる限り進めておかないといけない。しかも2泊するので,今日は家に帰りたい。これも矛盾する欲望であるが,人間にはままあることだ。如何に矛盾する欲望の妥協点を見つけるかが鍵である。うまい妥協点を見つけられないと,ストレスをため込むことになる。ため込んだストレスはそのうち爆発して,「切れて」しまうのだろう。妥協点を見つけることの大切さは,個人内の矛盾に限らない。コミュニティの意志決定過程は,もともと個人間の矛盾する欲望の妥協点を見つけるためのカスタムであったろう。譲れない点が多いほど妥協点を見つけるのは困難になるから,執着心をもたないことが健康の秘訣ということだな。当たり前か?

今日は昼間ずっと6階は工事だったので,その関連で若干のフォローが必要だったが,あとは基本的にアプリのインストールの続きをしながら,人口学会で発表したモデルの改良に取り組んでいられる。比較的気楽な一日である。

ところで,ソロモン諸島政変だが,直接のソースがないせいか(メールやWEBはかなり使えるが,空港が封鎖され,電話も大部分止まっている),情報が錯綜しているように思う。毎日新聞とか読売新聞といった大手の情報だと,首相はまだ監禁状態とか銃撃戦で50人死んだとかいうことで危険極まりないように思われるが,ソロモン諸島放送局の情報だと,首相は「月曜の段階で起こったことは革命であり家族も含め生きた心地がしなかったし,当初48時間以内の退陣を要求されていたがそれが延期され,来週木曜に国会が開かれるのを待っている」という声明を出していて,監禁されているという感じではないし,マライタ・イーグル・フォース(MEF)も,すべての戦闘はイサタブ解放運動(IFM)相手のものでガダルカナル住民に対してのものではないと声明していたりして,もっと落ち着いた感じである。もっとも,首謀者ノリ氏が独占インタビューに答えているところからすると,SIBCニュースはMEF側に偏っている可能性もあって信じきれないが。信濃毎日新聞はMEFがボートから55ミリ砲をIFMの基地に打ち込んだために50人死亡,という情報や,英連邦が事態を憂慮して特使団を派遣するという情報を伝えていて,取り上げ方に偏りが少ないように思った。ちなみにオーストラリア政府は在留オーストラリア人の引き上げを始めたそうだが,日本政府は,渡航延期勧告を出しているものの,引き上げには踏み切っていない。目下最大の問題は,どういう形で妥協点を見つけるのか,MEFはもちろんのこと,英連邦など関連諸外国もビジョンを示していないので終結が見えないことだ。もっとも,長年にわたる確執の爆発なわけだから,誰もが納得する妥協点なんてものが存在するという保証はないが。

今日も帰りは終電。


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