研究室の後輩の1人から,「自分の机上のコンピュータが先週末に焦げ臭さを漂わせながら壊れてしまった(!)ので,新しいコンピュータを10万円程度で買いたい」という相談を受けた。遊びとか計算に使うのでなければCeleron 500MHzくらいあれば十分だと思うので,フロンティア神代のBTOのシステムをCeleron 566 MHzでWEBで選んでみたら,若干のオーバーで収まったので,それを薦めておいた。メーカーものよりショップブランドの方がまだ安いし,フロンティア神代とかQualestとかならケース・電源も含め素性の良い部品を使っているので,安心できるというものである。星野金属工業のケースとかAthlonとかWindows2000とかいう世界は,パフォーマンス最優先で自分で中身をいじれる人には薦められるが,一般人向けではないと思う。
今朝は息子が寝ぼけて5:10に起こしてくれたので,洗い物をして朝食をとりながら朝刊を読み,ゆったりとDarjeelingなど(去年のSungma Autumnal)淹れて,窓から流れ込んでくる朝の澄んだ空気とともに楽しむことができた。自転車を漕ぎながら家々の庭木を眺めると,いつのまにかすっかり葉の色が濃くなっているのに驚く。去年みたいに,長野市内を蛍が飛び交うのも,そう遠くないだろう。気分良く漕いだからかしらんが,6:43発あさま502号の入線前に長野駅に着いてしまった。余裕。
第二食堂で昼食をとりながら,東大生協書評誌「ほん」の6月号を読む。肥満の特集なのだが,いかにも半可通の文章に暗澹たる気分になった。「月」の特集のときにも文句をつけたが,一言でいえば理系的なセンスがないと思う。
たとえば,「展望台」の文章であるが,抵抗とインピーダンスの区別を無視しているという点はともかく,β3アドレナリンレセプター遺伝子がらみの記述で,「日本人に対しては約39%の割合であり,3人に1人が遺伝子異常であるといえる」というのは致命的である。「39%が異常」という表現自体,論理矛盾しているではないか。白人の「常」が世界の「常」とは限らないのである。「この遺伝子は優性遺伝で伝わるので,……」という記載にいたっては,どこが出典かしらないが,二重の意味で間違っている。第1に,優性,劣性というのは伝わり方の問題ではなく,発現形式の問題である。第2に,倹約遺伝子の本体はβ3アドレナリンレセプター遺伝子か?に書いたように,Weissの予想からも,Walstonのデータからも,Trp64Argは劣性発現するとするのが普通である。
また,「蒲原聖可の肥満本」として,「肥満遺伝子」,「肥満とダイエットの遺伝学」,「ヒトはなぜ肥満になるのか」の3冊がまとめて紹介されているが,「内容が同じようである」という評価はあまりに悲しい。というか,読めてないと言ってよい。また,蒲原さんの所属は4月から東京医大に移っているのに,「氏は順天堂大学の内科医である」と書かれており,ちょっと調べればわかることを確認していないのは甘すぎると思う。
「ほん」のページは今月からリニューアル予定で,リンク募集中ということだから,ここでつけた文句について,何か反論してもらいたいと思うのである。いかがだろうか>「ほん」の書評者諸氏。
ちなみに,食前に第二食堂の下の書籍部に寄って,「エコソフィア」第5号(昭和堂)と「季刊島田荘司」(原書房)を購入した。「エコソフィア」の特集は,世界の類人猿研究者のオールスターキャストで,読まなければ損だと思う。書籍部で立ち読みして興味をもったのは,MaTXという行列計算ができる数式処理システムである(それについての本が売られていた)。www.matx.orgというサイトがあるらしいのだが,現在アクセスできないようだ。ソフト自体はVector Designのソフトウェアライブラリからダウンロードできたので,とりあえずインストールだけしてみようと思う。
夕方,先日注文したフロンティア神代の計算用サーバマシンが届いたが,自分のマシンの設定がまだ終わらないので,そこまで手が回らない。人類生態学MLへのミーティング報告もできない状態である。グレードアップによって効率が上がるのと,ソフトウェアの再設定で時間が無駄になるのとを天秤に掛けたら,もしvaioとのファイルのやりとりがなくて,シミュレーションや画像処理をやるんでなかったら,いい勝負かもしれない。ぼくの場合は,vaioとのやりとりがEZ-Link USBから100 BaseTX化されたことによって転送のストレスがゼロになったのは画期的な改善だったので,それだけでも意味は大きいが。
21:00過ぎにやっと,後はSASだけという状態になったが,帰りは例によって終電。大宮まで座れなかったが,高崎からは空席だらけ。