枕草子 (My Favorite Things)
【第455回】 魔法使いと温泉と雪の日々(2000年12月22日〜25日)
- 金曜日のまっくろ森の魔法使い役は,子どもたちに大受けしたので大満足。何を勘違いしたのか「まじょ,まじょ」と叫ぶ子どもがいたが,今の子どもたちは,魔法使い=魔女と思っているのだろうか? これは女性上位時代ということか,それとも子供向けアニメにでてきて魔法を使うのがみんな魔女だからか? そういえば,娘の保育園では,「おじゃ魔女ドレミ」が流行っていて,はなちゃんという赤ちゃん魔女が大人気なのだそうだ。
- 土曜と日曜は去年に続いて知人の山小屋に出かけ,のんびりとした休日を堪能した。料理も美味しかったし,山小屋周辺の雪で遊んで子どもたちも満足したようだし(ぼくは体調が今ひとつだったので外で遊ぶのは自重したが),心から楽しんだのだが,中でも素晴らしかったのは温泉である。今年はランドマーク妙高高原と松川渓谷温泉に行ったが,タオルからシャワーからシャンプーまで設備の整った前者と,ともかくすばらしく暖まる露天風呂があるだけの後者が,好対照をなし,すばらしかった。子どもたちも堪能したようである。長野に住んでいると,近所といっていいくらいの場所に良い温泉がたくさんあるのだが,難点は公共交通機関で行けない場所が多いことだ。そうでなければ地の利を生かして今頃は温泉通になっていても不思議はないのだが。やっぱりそれは贅沢というものか,あるいはたんに出不精なだけかもしれん。
- 25日月曜日,まだ景気対策なんて寝言を言っている政府予算に憤慨しつつ慌てて朝食をとり,夜の間に雪が薄く降り積もった道をおそるおそる自転車を飛ばして往路あさま2号に乗り,井上栄「感染症の時代」を読み進めた。大宮で乗り換えたところ。
- 余談だが,景気というのが一人当たりGDPの伸びを示すのであれば,地球という資源が有限である以上,いつかは本質的に頭打ちになって当然である。この国が好景気であり続けるためには,資源の偏在を強化するか(途上国の人々から資源を奪うことになる),インフレを起こして見かけ上経済成長が続くようにするか(物価も上がるので生活は楽にならない),あるいは人口を減らすかして,かつ既に必要なものは大抵手にしているこの国の人々(だから利率が低くても貯蓄率が高いのだと思う)の消費性向を,宣伝によって無理矢理引きずり出して不要なものを買わせ,国内需要を増やすということをしなくてはならない。それでは誰もが苦しむことになるのではないだろうか。やはり当座は苦しくても,不景気を受容し,労働時間の偏在をなくして(つまり時短をしてその分雇用機会を増やす),増えた余暇時間によって生活の本質的豊かさを向上させる方が,将来的には誰もが幸せになれると思う。少なくとも,その方が地球という物質循環系のあり方として無理がないはずだ。宇宙開発を本格的にやろうというビジョンとそれを実現する能力と組織でもない限り,景気なんて寝言に過ぎないのは自明であろう。
- 上記はもちろん素人考えなので,論理的な反論があれば是非ご指摘願いたい。
- 上野駅ではフローラ上野ブックガーデンに出るエスカレータを上がったところに新店舗がいくつもできていて,中でもカットのみ1000円という床屋があるのは便利だなあと思いつつ,公園を通って池之端門を通るまでは,天気もよく快調だった。ところが,である。困ったことに,木曜日に門内に停めて置いた自転車が影も形もなくなっていた。仕方なく歩いて研究室に来たが,どこに移動したとかも書かれておらず,途方に暮れている。撤去とか移動とかするにしても,1週間くらいの予告期間を置くのが普通の社会通念ではないだろうか? 門外に放置されている自転車がそのままなのをみると,余計に腹立たしい。こんなことなら門外に停めるのだった,と後悔しても後の祭りである。
- 午前中は木曜夜から月曜朝までに溜まったメールに目を通して返事を書くだけで潰れた。10:00過ぎから数十分間,再び医学系研究科のDNSにトラブルが起きたようだったが,11:00にチェックしたら既に復旧していた。後刻電話で受けた説明によれば,電源接続替え工事だったらしい。問題は,上位のDNSが死ぬたびに古いIPが甦ってしまうことだ。研究科のDNSにトラブルがある場合は,sv2を引いてくれるようにしてくれないだろうか? つまり,sv2を公式のセカンダリにしてくれれば問題ないような気がするのだが。想像するに,公式のセカンダリの中に,humecoドメインを含めたいくつかのドメインのレコードが古いままのマシンがあるのではないか? 善処を望みたい。
- 午後は多少論文関係の仕事もできたが,あっという間に15:10となり,自転車を失った身の上であってみれば慌てて上野駅に向かうしか娘の迎えに間に合う方法はないのだった。15:38上野発あさま565号(普段は日曜だけの臨時列車だが,昨日から年末年始はずっと運行するらしい)に飛び乗ったが,どうもあさま5号の方が10分早く長野に着くらしいので,大宮で10分待って乗り換えた。実は15:50上野発の
たにがわMaxやまびこでも乗り換え可能(ただし大宮では階段を下りて隣のホームまで駆け上がらなくてはならない)みたいだし,どちらの電車もがら空きだったので,徒歩で行くにしても15:25くらいまでは研究室にいても大丈夫そうだ。
- 長野に着いてみたら雨が降っていたので,自転車は放置して長野電鉄に乗った。17:26発の各駅停車にぴったりのタイミングだったので,あさま5号に乗り換えた意味はあった。一旦帰ってから自転車で出直すという手もあったが,間に合わないと嫌だし,電車の窓を叩く粒が雨から霙に変わったようなので,保育園に直行した。娘を連れて外に出ると,吹雪となっていた。自転車にしなくて良かったと胸をなで下ろしつつ,歩く気力をすっかり失った娘を肩車して傘をさして歩く羽目になり,肩が凝った。
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