枕草子 (My Favorite Things)
【第549回】 懐古(2001年6月3日〜4日)
- 日曜日は,例によって体日。娘を連れて小諸まで行ったついでに懐古園を一回りしてきたのだが,またしても歩かなくなってしまった娘を肩車したので,肩が凝った。懐古園の遊園地というのは仕掛けがちゃちな割に1つあたり200円もするのだが,回転が悪そうだったから人件費だけでも足が出ているのではないかと思われ,それなら人手も動力も要らない運動遊具を揃えて無料開放した方がずっと魅力的なのに,行楽施設としてのあり方が何十年か古いと思った。動物園も狸も狐もライオンもかなり間近で見えるのは魅力がないではないが,裏を返せば狭い檻に閉じこめられているのだし,そのせいか狸や狐が檻の中をぐるぐると回っていたのはストレスによる運動なのではないかと思われ,やはり何十年か古い作りなのだった。まあ,「懐古」園だから仕方ないか。
- 帰ってから息子と自転車で長野駅そばの床屋に行って,何カ月ぶりかで髪を切った。久々にさっぱりした。
- 月曜朝は始発に乗っているのだが,始発とは思えないほどの混み方である。さすがに月曜日というべきか。
- Coale ad TrusselのMとmを自動推定するプログラムを書き始めたが,眠さに負けた。ふと気づいたら上野直前だった。
- 福岡の土産をひねってカステラにしたら,竹内君と被ってしまった。思考回路が似ているのかもしれない。その竹内君から指摘されたので,「泊まったのにコンピュータ関係に時間をとられた夜」のリンク切れを訂正。他にもリンク切れが多数あることはわかっているのだが,面倒なのでやっていない。ご指摘いただければ個別に対応する気はあるのだが,一々調べるのは面倒なのでご勘弁願いたい。
- 午前中にCoale and Trussell用のプログラムはあっさり完成し,あっという間に収束することはわかった
のだが,最近の現実の出生力パタンに全然合わないこともまたわかった。なるほど,これではModeが変えろというのも頷ける。ついでだから別のモデルのフィッティングもしてやろう(←ちょっと記憶違いがあったので下線部を訂正した)(2001年6月8日追記:NISRAのデータは有配偶出生ではなかったので,fitしないのは当たり前だった。Coale and Trussellモデルの価値を不当に低めたことに対し,深く反省し,お詫び申し上げる)。
- いろいろ試した結果,右図のごとく(データの出典はNISRAからダウンロードした英国1974年の年齢別
有配偶出生力),Hadwigerモデルというのが,最近の先進国の年齢別有配偶出生力にかなり良くfitすることがわかった。しかも,パラメータに定義域がなく関数型が単純なので,あっという間に収束する。出典は,(Chandra T, Coleman DA, Hiorns RW, 1999: Recent European fertility patterns: Fitting curves to 'distorted' distributions. Population Studies, 53: 317-329.)である。本来,3つのパラメータの意味はそれほど明確ではないのだが,ヨーロッパ諸国の1994年データにfitさせたところからChandraらが解釈したところでは,aがTFRと強く関連していて(およそTFRの0.56倍),bが最頻出生年齢の出生力と関連し,cが平均出生年齢と強く関連しているということだ。なるほどと思われる値だ。ちなみにChandraらの論文は,1994年の英国などでは年齢別有配偶出生力が二峰性になっていて単純なHadwigerモデルではfitが悪いので,2つの出生力が異なる部分集団のmixtureになっていると考えて,2つの関数を重ね合わせた形にしている点がキモのようだが,パラメータがほぼ倍増するということだけでもfitが良くなるのは当然である。まあやれば簡単にそのプログラムもできるが,あまり魅力は感じなかったので作っていない。(2001年6月8日追記:データが有配偶でなかったことに気づいたので,ここに書いている論考も意味がないのだった。Hadwigerは,たしか有配偶出生力への当てはめだったと思うのだが,論文を読み直してみなければなるまい;6月11日追記:きちんと読み直してみたら,mixtureしている部分集団が有配偶集団と配偶者なし集団と考えられていたので,もちろんASFRに当てはめていたのだった。それにしてはASMFRにもかなり良く適合するし,元々が関数の形から組み立てられたモデルなのでASMFRに当てはめてもそれなりに意味はありそうに思う)。
- そんなわけで,ドキュメントさえ書けばこのプログラムも公開できるのだが,日本のデータにでも適用すれば研究ノートくらいは書けるんではないかという気がしないでもなくなってきたので(如何?>専門家諸氏),悩ましいところではある。
- 帰りは終電1本前。空いていたので1号車に座っている。