枕草子 (My Favorite Things)
【第622回】 茶髪とピアスと携帯電話(2001年8月17日)
- 往路あさま502号。どういうわけか異様に眠い。ふと気がつくと上野の直前だった。
- 昨日の帰宅後,妻がゲストとして生出演した信越放送の番組を見ていたら,高校生の茶髪とピアスと携帯電話についての是非を問うという企画があった。妻が最も批判的な立場でコメントしていたが,アナウンサーも含めて,わりと皆穏健なコメントをしていた。
- はっきり言ってしまえば,個人レベルで考えればどうでもいいこと,つまりケースバイケースだと思うのだが,社会現象として考えると,これらが普及することは,生存に必須ではない文化を拡大する方向にあるから,消費経済にはプラスだし,環境にはマイナスである。携帯電話は,他の2つよりも生活の利便性を高める意味合いが強いが,無料ではないし,全員がもっているわけではない現状では,デジタル・ディバイドによる無意識の差別を助長するかもしれない。
- 生物学的に考えると,茶髪にしても,ピアスにしても,化粧と同じで,「ディスプレイ」の一種ではないかと思う。であるならば,社会構造にも繁殖にも関与しない状態の「コドモ」がしても無駄なことである。「オトナ」はそれを抑圧して良いことになる(もちろん,ここで「コドモ」とか「オトナ」というのは,年齢のことではないことに注意)。
- 携帯電話は,個体間の情報ネットワークを複雑にする。音声による情報伝達よりも遥かに遠い距離の個体間で情報伝達ができるという意味で,物理的な距離による制約を少なくする効果をもつことは明らかだ。一方,情報ネットワークへの依存性を高めるから,それが崩壊したときの反動は大きいと思う。
- そうやって大局的に考えてみると,高校生の茶髪とピアスが普及することには反対し,携帯電話には態度保留,というのが,ぼくの意見である。
- なんてことを夕方の番組でコメントするわけには,いかないのだろうなあ。
- 研究室に着いて,Show's Hot Cornerを見たら,PDFからVB Scriptを生成して作動するウイルスPeachyというのが紹介されていた。Acrobatでは作動するがAcrobat Readerでは平気らしいので,Acrobatをアンインストールして,Readerをインストールした。TEXとGhostScriptが使えれば,Acrobatがなくても大抵の場合にPDFは作れるから,いつかは消す気でいたのだ。ちょうど良かった。
- 今日はあまり仕事の効率が良くなかったが,終電1本前の時刻なので帰ろうと思っている。ぎりぎりだったが,なんとか間に合い,4号車に座れたので良かった。石弘之+安田喜憲+湯浅赳男「環境と文明の世界史」(洋泉社新書y)の続きを読んだが,古代史について目から何枚もウロコが落ちるような,エキサイティングな仮説や新知見(そんなに最新ではないが,ぼくがその頃の知見をフォローしてなかったので)のオンパレードだった。
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