枕草子 (My Favorite Things)
【第621回】 千と千尋の神隠し(2001年8月16日)
- 娘の相手をするのに,また北信濃ふるさとの森公園にでも行こうかと思っていたのだが,暑くなりそうだという天気予報から考えるに,このところアセモやら何やらで調子が悪い娘の肌を考えれば,戸外で遊ぶのは考えものであった。
- 娘に「どうする?」ときくと,「千と千尋の神隠し」を見に行きたいというので,権堂の映画館(長野東宝グランド劇場1)に出かけた。
- 11:30からの上映を見ようと,多少早いかなと思いつつ10:10頃自転車で映画館の前に着くと,既に長蛇の列であった。100人くらい並んでいたと思う。
- 最後尾にいたカップルの男性がタバコを吸っていたので,こんな逃げようのないところで吸わないで欲しいと思いながら,仕方なくその後ろに並んだ。
- 10分ほど待っていたら,係員がカウンターをもって,並んでいる人数をかぞえはじめた。後ろを見ると,さらに100人くらい列が伸びていて感心していたら,係員が「えー,ここから後ろの方は,申し訳ありませんが立ち見となりまーす」と大声を張り上げた。ぼくらが立っているところから,わずか10人ほど後ろの位置であった。危ないところだった。
- さらに10分ほど待っていたら,列の最後尾を探す親子連れに対して,「もう11時半からの回はご覧になれません。2時からの回をご覧になる方はこちらの列にお並びください」と係員が案内していた。このとき,まだ10:40くらいだったから,2時間もこの炎天下を並ぶ人たちがいるということで,まったく恐るべき人気の映画だ。
- 11:10過ぎになってやっと順番が回ってきて,割引券を使って娘と2人分で2500円のチケットを買い,入場した。2人並んだ席が,ちょうどいい場所に空いていてよかった。
- 映画の内容は,といえば,テレビで流れた予告編などで大雑把に知ってはいたものの,実にファンタジーらしいファンタジーだった。水の表現に代表される景色の美しさがアニメでここまでできるのかという意味で驚きだったし,キャラクタ造形も良かったし,ストーリーもわかりやすくて適度な起伏があって,結末も美しく決まっていた。ぼくも楽しめたが,2時間以上にわたって5歳の娘の注意を惹きつけ続けたのだから,それだけでも大したものだと思う。子ども客が多いにもかかわらず,映画館内がシーンとしていて,ちらっと横を見たら,息を呑むように画面を見つめ続ける瞳が並んでいた。ドラえもん映画とかデジモンとかにつきあったときは,館内を埋めつくした子どもたちが結構ざわついていたことを思い出すと,これは驚くべきことだ。
- 映画館を出ると,「4時半からの回をご覧になる方の列はこちらでーす」と係員が大声をあげていた。いくらいい映画でも,この炎天下を2時間も待つというのは,ちょっと引き合わないんじゃないかと思いながら帰途についた。娘が大満足して,帰り道も帰宅してからも「千と千尋の神隠し」の話をし続けていたから,1時間待った甲斐はあったと思うが。
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