枕草子 (My Favorite Things)

【第710回】 企画倒れ(2001年11月15日)

終電1本前で帰って入浴後,時折うとうとしながら,ほぼ徹夜をして社会統計学の配布資料を作り続けたが,朝になっても完成しなかった。今日は2×2クロス集計表での関連性の指標の話をするので,実際に学生に答えが○×式の質問紙に答えてもらって,それを入力する段階からやってもらって,関連性の指標を計算するという実習を企画し,往路6:43発あさま502号で,その質問紙を作成した。

高崎に着いてバスに乗ろうと思ったら20分待ちだったので,すぐ傍のマクドナルドに入ってココアだけ買って,作業を継続した。残念なことに,あと1行で終わるというところでバッテリーが切れてしまった。バスの中でも作業をしようという計画だったのに,バッテリーが切れては台無しだ。やはりThinkPad s30を買わねばならないか? という悪魔の囁きが脳裏を過ぎるが,今はそんな戯言を吐いている場合ではない。ともかくも,ちょうどバスが来そうなタイミングだったのでマクドナルドを出た。

8:00発のバスに乗って高崎経済大に着いたのは8:20だった。講師控え室には何故か使える電源がないので,廊下の休憩所の公衆電話の裏にあるコンセントにvaioを繋いで,最後の1行を打ってBJ M40からのプリントアウトが終わったのは8:40だった。印刷完了は8:55という滑り込みセーフなのだった。

生態学の講義を無難に了えてから,社会統計学の講義と実習をするべく3号館に向かった。今日の目玉企画である質問紙に答えてもらうというのをまずやってから講義を開始し,約30分残して説明完了するところまでは計画どおりだった。しかし,学生数が少ないことを甘く見ていたのが失敗だった。しかも,いつもは7人いるのだが,今日は6人しか出席していなかったのだ(大差ないが)。答えのバリエーションが少なすぎて,度数0のセルは頻出するし,2つの変数が完全に一致していてもカイ二乗検定の結果は有意にならないので,「独立ではないという結果→どれくらいの関連なのかを見よう」というシナリオが瓦解してしまったのだった。仕方ないので無理やり計算練習をしたけれど,別途データを入手して,来週きちんとフォローしなくてはならないだろう。質問紙に答えてデータを作るという作業が「社会統計」っぽかったので学生の受けは悪くなかったが,このデータでは計算練習にはならない。完全に企画倒れであった。

教務課によって試験計画を提出(といっても,生態学はレポートだし社会統計学は半ば実習なので試験はやらない)してから,遠くのバス停まで歩いて高崎駅に向かったが,着いてみると,次のたにがわ号が出るまでには30分以上も間があった。例によって「寿司食いねぇ」でイワシの握りを買って新幹線改札口を通った。茶でも買おうとキオスクに入ったところ,鯨統一郎「CANDY」(祥伝社文庫)を見かけて買ってしまった。ホームのベンチで寿司を食べながら(やはりここのイワシの握りは美味いと思う)ホットレモン(結局茶はやめた)を飲んだ後,「CANDY」を読み始めた。これは実にくだらない作品だった。バカSFといえばいえないこともないが,全編オヤジギャグの嵐である。熊谷駅に着いた辺りで読了したが,平井和正や筒井康隆が昔やっていた実験に比べるとはじけ方が足りないし,かといって太田忠司の山崎家や中島家のようなストーリー性とアイディアは感じられない。はっきりいって,鯨統一郎にはこの路線は向いていないと思う。

研究室に戻ってからは,明日の講義の準備をしたり,来週のミーティングで紹介する論文のアナウンスをしながら,学生の質問に答えたり,メールでやってきたコマンドをこなしたり。帰りは終電1本前の予定なのだが,明日の講義は朝9:00からなので,今日と同じく6:43か,遅くとも7:02に乗らなくては間に合わない。起きられるかどうかが不安である。帰りの新幹線では眠っていくことにしよう。

終電1本前に乗って,安中榛名まで眠ってきたので,かなり体力が回復したように思う。


前【709】(目が覚めてみると(2001年11月14日) ) ▲次【711】(2日連続の講義(2001年11月16日) ) ●枕草子トップへ