枕草子 (My Favorite Things)
【第737回】 deja vu(2001年12月18日)
- 往路あさま504号。新幹線ゲート内のKioskに寄ったのが敗因で,桜井亜美「デジャ・ビュ」(幻冬舎文庫)を衝動買いした挙句に読破してしまった。ヒロインが宇宙飛行士を目指すという点では岩本隆雄「星虫」と同じなのだが,あらゆる点で対照的な作品になっている。つまり,「星虫」が努力してしかるべき手を打てば必ず夢はかなうという話なのに対して,「デジャ・ビュ」は,努力しても手の打ち方を間違えたら夢はかなわないという話なのである(出自による階級社会という舞台設定以上に,作者がどこまで意識しているのかは不明だが,手の打ち方のまずさが話の流れを決めている)。また,背景設定も,「星虫」が地球環境問題なのに対して,「デジャ・ビュ」はセックスとドラッグである。宇宙を目指すモティベーションがまったく違っていて,「星虫」のヒロインが地球を救うために自己犠牲をも厭わないのに対して,「デジャ・ビュ」のヒロインは徹底的に自分が美しい地球をみて救われたいがために他人の犠牲を気にしない。つまり,自分しか見つめていない子どもなのであり,骨格としては見事に少女小説といえる。完璧なはずの登場人物もどこかしら歪んでいてイジメに走るけれど,その原因が嫉妬であるとか,出自に恵まれないヒロインのことをなぜか彼らが羨んでいるという設定はありがちなのだが,少女小説のお約束だから仕方あるまい。
- どこかで読んだような気がするという意味で,まさしくdeja vuであった(なお,どうでもいいことだがvuは「ビュ」ではなく「ヴ」だ)。いや,それなりに読ませるし,面白くないってわけじゃないんだけど。
- 研究室に着くと,昨夜再起動しておいたコンピュータが奇跡的に立ち上がっていた。しかし,こんなに不安定なのでは使えないので,やはりハードディスクは更新しておくべきであろう。緊急性は減ったし,バックアップも取れるのはラッキーだが,これで問題が解決したわけではない。
- バックアップを取った後,再起動中にchkdskがかかったので,その後一縷の望みをかけてデフラグをかけてみたが,やはり駄目だった。ミーティング(今日のネタは,segregation analysisでBakerのSamoan Studyデータを洗いなおした研究と,インドネシアのビタミンA配布促進運動みたいな背景が感じられる,子どもの貧血とビタミンA摂取の研究だったが,前者は詳細がわからなかったし,後者はそんなに問題になるほど貧血頻度が高い集団ではなく,肩透かしっぽい研究であった)を挟んで数時間待ってみたが,結局終わらないのだった。諦めて途中で止め,スキャンディスクをかけると,壊れた領域があるとかいうメッセージが表示されたので,HDDを換装して再インストールすることに踏み切った。昼飯にでたついでに自転車で秋葉原の俺コンハウスまで行って,ウェスタンディジタルの7200rpmで30GBのハードディスクを買ってきた。30GBにしたのはシステム専用ドライブとしてFAT32でフォーマットしたかったからである。換装後,電源を入れ,SCSIのCD-ROMドライブにWindows2000ProfessionalのCD-ROMを入れると,自動的にCD-ROMからブートされた。新しいドライブをフォーマットするかどうかという問い合わせ画面に対してFATでフォーマットすると指定しただけで,後は勝手にインストールが終わった。
- しかし,Windowsの再インストールは,ここからが問題である。NICのドライバを入れてネットワーク関係の設定を終え,WindowsUpdateに接続してセキュリティ関係のアップデートをしただけで,終電1本前の時刻になってしまった。まだまだ入れねばならないドライバやセキュリティパッチは数多くあるから,アプリをインストールできる状態になるまでは数時間かかるだろうと思われたので,今日は帰ることにした。あさま563号では,今日発売の週刊アスキーを読んだ。今週の「カオスだもんね」のオチは決まっていたと思う。明日研究室に着いたら,ともかく最低限必要なアプリのインストールまで漕ぎ付けて,後は講義準備をしようと思う。
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