神戸大学 | 医学部保健学科・大学院保健学研究科 | SDHE Lab. | フィールド紀行 | Top

2017年2月のカンボジア往還記

Copyright (C) Minato NAKAZAWA, 2017. Last Update on 2017年3月6日 (月) at 21:00:25.


【第1日目】 カンボジアへ(2017年2月16日)

6:00起床。眠い。せとかとキュウリとトマトとレトルトご飯の冷や奴載せで朝食を済ませ,予定より30分ほど遅れて7:00少し前に家を出た。貿易センター前行きバスを地下鉄三宮駅前で降り,関空行きのバス停まで歩いたところ,ちょうど停止していたバスが満席だったので次の便になった。関空着が8:40頃だったが,ベトナム航空のチェックインカウンターが長蛇の列で,結局9:30頃にチェックインが完了。すぐに手荷物検査場,出国手続きと済ませ,シャトルで31番ゲートに移動したら,ほどなくボーディングになった。

ホーチミンまでは,1本だけ,ハーディとラマヌジャンが主人公になっているINFINITYという映画を見たが,あとはほぼ眠っていた。2時間の時差があるので時計を2時間遅らせようかと思ったが,とりあえずWorld TimeをBangkokに合わせて,デジタル表示がホーチミンやプノンペンを含む+7hゾーンになるようにした。到着が若干予定より遅れたので,あまり乗り継ぎ待ち時間が無いと思いながら19番ゲートで待っていたが,予定ボーディング時刻を少し過ぎたところでアナウンスがあり,ゲートが9番に変更ということで再び歩かされた。ブリスベンの空港でのソロモン航空には良くあることだが,ホーチミンからプノンペン行きのベトナム航空というナショナルフラッグキャリアでは珍事なのではなかろうか。それとも普通なのだろうか。

Boeung Chbouk Guest House - Phnom Penhプノンペン着はほぼ予定通りで,on arrivalで取得したビザは,4x6cmと書かれている写真を貼るところに5x5cmのものしかなかった手持ちの写真を出したら受け付けて貰えたのはラッキーだったが,パスポートの有効期限が残り3年に満たないことを失念していて,ツーリストビザをマルチエントリーの3年(80ドルだそうだ)申請したら2年(60ドル)に訂正させられたりして,若干手間取った。その後の入国審査は順調。出口のところの税関もとくに申告するものはないのでスムーズに抜けることができた。17:25頃に出口に着いたら,別ルートで着いていた院生に合流できたので,Smartのネット専用SIMカードを7ドルで購入してからトゥクトゥク乗り場へ行った。院生が持っていた宿の案内カードを見せたら場所がわかるというドライバーがいたので値段交渉した。最初5ドルというのを値切ったが,最終的に2人で4ドルということで交渉成立した。乗ってみたら,思ったより遠かったので,まあ妥当な値段ではなかろうか。

宿は一泊素泊まりで11ドルという激安だが,セキュアなWiFiが無料で使えるし,温水シャワーと水洗トイレもあるし,良い宿だと思った。夜もやっている近くのマーケットの中を通って晩飯。カンボジア風の牛肉野菜鍋が美味だったが,4人で飲み物も入れて19ドルだった。

メールの返事も打ち終わらないまま,翌朝6:10発ということもあって23:00頃眠ってしまった。


【第2日目】 タイ肝吸虫調査地へ(2017年2月17日)

4;30に目が覚め,メールの返事の続き。なかなか要旨集を作るところまでいかない。運営委員会の先生方がいろいろ考えてくださるので助かる。Restaurant for breakfast at the edge of Phnom Penh

6:10にロビーへ。暫く話しているうちにタイ肝吸虫調査のカウンターパートの人たちがやってきて,2台の車に分乗してカンポンチャイに向けて出発した。7:00過ぎくらいに道路沿いのレストランに入って朝食。壁がないオープンな感じでテーブルが配置されているので,手製のお菓子を皿に載せた人がテーブルまで売りに来たり,物乞いがやってきたりする。rice noodle with pork豚肉(レバーなど内臓も)入りの米粉麺を食べたが,モヤシが別皿で出てきて,好きな量だけ入れられるのが良かった。食後に甘くない珈琲を飲んだが(今回はクメール語を喋れる人が一緒なので頼んで貰えたが,これを注文するのはかなり難しい。十何年か前にインドネシアのスンバ島でコピタンパグラと連呼して甘くない珈琲を注文したことを思い出した),これもなかなか美味だった。

2時間半ほど掛かって着いたカンポンチャイでは最初広大な水溜り(池としては地図に載っていない)でタイ肝吸虫の中間宿主であるマメタニシを見せてもらったり水を汲んだり,近くにいた人から話を聞いたりした。Water sampling

持ち込んだドローン(試しに,と思ってAmazonで2万円弱出して私費購入した,G Force X4 FPVという機械)を試したが,なぜかここでは動かなかったので,いったん諦めて次の場所に向かった。1時間ほど移動して着いた湖ではドローンを飛ばすことができたが,風が強くて操縦不能に陥る状態から抜け出せず。最後は田圃に墜落して見失ったが地元の少年が見つけてくれて助かった。いくつか空撮はできたが,このレベルだと研究の役に立つかどうかは未知数だな。

さらに何ヶ所かで採水と聞き取りからなる調査をした。途中,朝と同じようなレストランで昼を食べたが,肉料理をご飯に載せて食べる感じが,ソロモン諸島の町にあるカイバーと呼ばれる立ち食いレストランの定番メニューである牛肉とスリッパリーキャベツを甘辛く煮たものをライスに載せたものを思い出させた。Snacks are sold at the store even in rural villages

boiled vegetables何ヶ所目だったかの村で,道路沿いに出ていた店の軒先にスナック菓子がずらっと吊されていたのが目に付いた。村の子どもたちがこういうものを買って結構食べているという話を聞いた。ぼくの感覚からすると,その辺にいくらでもなっているマンゴーとか果物の方が美味いし,仮にマーケットで買ったとしてもスナック菓子より遥かに安いと思うのだが,塩と砂糖の味には金を払っても食べたくなるような魅力があるのか,それともパッケージングに金を出しているのか。たぶん両方だと思うが,典型的な文化的侵略のように思う。

その後,日が暮れる直前くらいにプレイベンに向かって移動開始。19:10頃プレイベンのホテルに投宿し,食事(大変美味だった。とくに右写真の空心菜のような温野菜と,干した川魚を揚げたものはいくらでも食べられそうだった)を済ませたら疲れが出て眠ってしまった。


【第3日目】 プノンペンへ帰還(2017年2月18日)

4:00に起きてメールを打ちつつ(この宿はFreeWiFiはレセプション付近でしか使えないのだが,空港到着時に買ったSmartのSIMが4Gでつながるので,テザリングでPCからメールが打てる),カンボジア滞在中に仕上げなくてはいけない国際保健医療学会第35回西日本地方会の要旨集編集作業をしている。今日は7:00の朝食から始動ということになっているので,それまでは昨日撮った空撮画像の処理とか,要旨集編集作業の続きとか,シャワーを浴びたりとか。

プレイベンという場所は池や水溜りが大変に多く,日本で言えば水郷みたいな感じだった。午前中に何ヶ所かサンプリングしてドローンを飛ばし(多少うまくいったときの動画をYouTubeにアップロードしてみた),昼飯を食べてから院生とともにプノンペンに戻ることになった。

何ヶ所目だったか忘れたが,学校が併設されている寺院のようなところに砂糖椰子が何本か生えていて,ちょうどシロップを抽出中の木と,実があったので写真を載せておく。

Taking syrup from sugar palm

Nuts of sugar palm

院生を飛行場まで送り届け,そのままゲストハウスに戻って再びチェックインしたのが15:00だった。かなり身体が埃っぽくなっているのでシャワーを浴びたい気もしたが,要旨集の編集作業が間に合わないと大変なので,ともかくすぐにPCを立ち上げて作業開始。

Vietnamese dinnerライスペイパーでいろいろな具を包んで食べるという,大変美味な,しかも食べきれないほどの野菜入りの晩飯(店の看板によるとベトナム料理店ということだった)を18:00発,20:30帰りくらいで食べに行ったのを除けば,23:00過ぎまでずっと要旨集編集作業と,今回撮った写真と動画の整理をしていた。動画は元々Lumix DMC-TZ30の機能で1280x720のmp4で録画しているのだが,Altairというフリーソフトでサイズも解像度も変えずに同じmp4に変換するだけでファイルの大きさが半分以下になるので,それをしてから保存しているので手間が掛かるのだ。さっき聞いた話では,ニコンのカメラについているソフトを使うと,GPS情報が入ったjpgならば他社のカメラでも一括ドラッグドロップでGoogle Earthの上にマーク表示してくれるらしいので,静止画の方は帰国後にそれを試してみたい(追記:帰国後に調べたところ,JpgMapなどいくつかのソフトが見つかったが,動作が重かったりして,なかなかこれが決定版だというソフトは見つからなかった)。

23:00頃に力尽きて眠った。


【第4日目】 帰国前に何とか要旨集とプログラムの形が一応できた(2017年2月19日)

4:30頃に目が覚め,時々入ってくるメールの返事を打ちながら要旨集の編集作業を進めた。

Palm sugar sold at the market7:00から朝食に出て,そのまま隣の市場に行って,妻から頼まれていたローカルなpalm sugarを買った。昼飯用にバナナ入りのちまきのようなものも買ってからゲストハウスに戻った。このゲストハウスは12:00チェックアウトなのだが,7ドル追加して5時間延長した。後は水を飲みながらちまきを囓ってひたすら17:00まで編集作業。何とか形になったので(ページ番号の設定などしていないが)メール添付して運営事務局の先生方に送ってからチェックアウト。

トゥクトゥクを呼んで貰ったら,6ドルという法外な値段をふっかけられたが(来るときは4ドルで,それでも高いという話だった),もう交渉する気力が尽きていて言い値で乗ってしまった。空港に着いて,トマトチーズのホットサンドとカフェラテを食べながら昨日と今日のメモを打ったところ。しかしまあ,このホットサンドとカフェラテに8ドル払ってしまうのだから,トゥクトゥクが4ドルか6ドルかなんてどうでもいい問題のような気がする。

これからホーチミン経由で関空に帰るのだが,まだチェックインが始まらないので,要旨集修正の続きをする。あ,その前にPCのバックアップをとっておこう。

SDカードにバックアップをとったりしていたらバッテリーがどんどん減っていき,残り10%になってしまったため,PCを閉じた。あとは帰国するのみ。


【第5日目】 帰国して打ち合わせの嵐(2017年2月20日)

ホーチミンから関空までは4時間半くらいのフライトなのだが,その間に飲み物と朝食で起こされたので,ろくに眠れなかった。このベトナム航空往復ルートは,乗り継ぎ待ち時間が短くて,最大限に現地滞在できるという観点で選び,往路はちょうど良かったが,この復路の辛さを考えると次回は変えるしかない。ちょっと体力的に無理。

しかも,関空到着時刻はほぼ予定通りだったけれどバスが渋滞し,三宮に着いたのが9:00近かった。そんなわけで大学に辿り着いたら9:40を過ぎていた。

荷物を整理して,10:00から原稿修正の続き。電話を受けたり学生の相談に答えたりしながら,14:00までに抄録集を一応作り上げて印刷所の方に渡すことができた。

その後,研究科のwebサイト更新の発注交渉に同席し,それが終わってからもいろいろな仕事が目白押し。

18:30からミーティング。今回一緒にカンボジアを回った院生が報告。いろいろできそうだが,今後どういう方向でフォーカスを絞っていくかと,言葉の壁が最大のネックだろう。本当は博士後期で2年くらい現地滞在できる院生ならクメール語をマスターして貰えば良いわけだが,修士課程の社会人院生では長期滞在は不可能なので,何とかして良い通訳を見つける必要がある。


Correspondence to: minato-nakazawa@umin.net.

リンクと引用について