枕草子 (My Favorite Things)

【第289回】 忙しい休日が過ぎると再び表作成(2000年4月29日〜5月1日)

先週末の書き忘れ。最近東京大学からWEB経由でpdfファイルが読めるようになったScienceの最新号に,老化した体細胞からのクローン牛で細胞の寿命とテロメア長が延長していたという論文が載っていた。以前書いたように,体細胞クローン羊のドリーでは,元の体細胞の核染色体のテロメア長と,それを未受精卵に核移植して発生を開始させ代理母の胎内で成長して生まれたドリーのテロメア長がほぼ同じで,思った通りだった。ところが,今回のクローン牛ではテロメアが元の体細胞よりも長くなっていたという話だ。これは不思議な話である。Scienceでも,Gretchen Vogelによる紹介記事を読むと,「まだ誰もドリーとこれらのクローン牛の違いを説明できない。それはランダムな変動によるのかもしれないし,種の違い(中澤注:羊と牛)かもしれないし,細胞の型の違い(中澤注:ドリーは乳腺細胞だが,今回のクローン牛は45日齢の雌牛胎仔から採取した繊維芽細胞の培養系のうち,CL53という系列から老化して培養寿命に近い状態の細胞からの核移植)かもしれないし,核移植の方法の違い(中澤注:原文を読んでもよくわからないが,移植時点での細胞周期が違うらしい)によるかもしれない」と書かれていて,いまのところメカニズムは不明なようだ。個人的には培養細胞からという点に引っかかりを感じるが,今後のAdvenced Cell Technology(この研究を発表したLanza, Robert P.らが所属する,1994年創業のベンチャー企業)の発表には注目すべきであろう。

◆ Gretchen Vogel (2000) In contrast to Dolly, cloning resets telomere clock in cattle. Science, 288: 586-587.
◆ Robert P. Lanza, Jose B. Cibelli, Cathrine Blackwell, Vincent J. Cristofalo, Mary Kay Francis, Gabriela M. Baerlocher, Jennifer Mak, Michael Schertzer, Elizabeth A. Chavez, Nancy Sawyer, Peter M. Lansdorp, and Michael D. West (2000) Extension of cell life-span and telomere length in animals clond from senescent somatic cells. Science, 288: 665-669.

さて先週末だが,結局表作成は終わらないままにお詫びのメールを入れて終電で帰宅したのだった。アンプ,ビデオデッキ,DVDプレーヤー,チューナー,スピーカーの梱包をといてテレビと接続し,食事をして就寝したのは2:00だったか。

翌朝6:30頃から前の住処の最後の片づけと掃除をした。9:00過ぎに妻が合流し(子どもたちは近所の公園で遊ばせておいて),12:30頃何とか終わる。15:00に明け渡しは無事に終了したが,疲れ切っていてその後は食事をして眠っただけ。だらだらと過ごした。

日曜は6:00前に起きて7:10に家を出て長野電鉄に乗り,信濃吉田で降りてJR北長野まで歩き,牟礼で降りてバスに乗換え(バス停の場所を牟礼の駅員が知らなかったのには驚いた。きっとバスを利用する人が少ないのだろうと思っていたらその通りガラガラだった),平出というところで降りて,予め申し込んでおいた1年契約でさまざまな果物の収穫を楽しもうというコースに参加。牟礼村と八十二銀行の文化財団による企画だが,ブルーベリー,プラム,桃,リンゴと4種類もの果物を楽しめるのは珍しい(今年から始まった試みだそうだ)。牟礼村には助っ人隊という組織が存在し,こういう村の企画で実働部隊として作業したり,さまざまな事情で離農されて管理者がいなくなった果樹園や畑の世話をしたり,と大活躍している。リンゴに関しては2家族で1本の木のオーナーとなって名札をかけ,1年に何度か様子を見に来る(そのときに技術指導をしてくださるのも助っ人隊の方である)のだが,こうすることでリンゴがどのようにしてできるのかが子どもにもわかって大変良いことと思った。ここではリンゴの受粉には蜂(人を刺すことはないそうだ)を利用しているため,蜂が巣を作りやすいような筒を束にして置いてあり,花の時期には花と巣の間を蜂が飛び回っているそうだが,今年は寒くて開花が遅れているため,ほとんど姿は見られなかった。桃もやっと咲き始めた花がちらほらと見える程度だったが,まあ今後何度もくるからいいか。この場所は丹霞郷とよばれていて,北信五岳がはっきりと見渡せて,桃の花の季節には花と白い山々とのコントラストがとても美しいそうだ。こうした景観が維持されているのも,助っ人隊が活躍しているおかげだと思うと,牟礼の村作りはうまくいっているなあと感心する。

昼を桃園で食べ,バス停まで歩いて14:00頃帰宅。子どもとキャッチボールをしたりして適当に過ごしたあと(とは言っても子どもたちの無尽蔵のエネルギーについていくのはなかなかしんどい。瞬発力ではもちろん負けないが,持久力が衰えているのを感じる),夕食をとり,子どもが大好きな「こち亀」と「GTO」を一緒に見て,入浴後22:00頃就寝。

今朝は5:00に起きたが,全身がこわばっていて結構辛いものがある。昨夜は疲れていて洗い物をしなかったので,それをやっていたら食事をするまえに5:30になってしまい,始発を諦めて6:43発あさま502号に乗った。朝刊の北信の欄には昨日の牟礼の記事が載っていた。信毎の記者から取材を受けた(ていうかほとんど全ての家族に取材していたようだ)のだが,記事には取り上げられなかった。バスで来た参加家族は他にいなかったんだけどなあ。どうでもいいことだが,新聞に載っていた写真は,Nikonのデジカメcoolpix 900か950で記者の方が撮っていたものだと思うが,ややピンぼけかも? 印刷時の問題だろうか。

今日こそは表作成を完成させないと。

ふと思ったこと。ぼくが管理するマシンでsetiathomeが処理したユニット数がいつの間にか1200を超えているのだが,自分の人口シミュレーションソフトもネットワーク処理部分を付け加えたら分散処理に参加してくれる人がいるだろうか? ということ。これにはいくつも難点があって,ネットワーク処理部分のコードを書くのも面倒だし,中断しても継続する処理に工夫をしなくてはならないし,チームを作って参加インセンティブを煽るような仕掛けも用意する必要があるだろうが,何と言っても最大の問題は,ぼくのソフトが出力する結果が大きいことだ。今やっているモデル生命表の場合は集約可能だが,個人ベースの再生産や感染症のシミュレーションの場合,数十メガバイトのシミュレーション過程すべてを見ながら集約の仕方を決めなければ使えないから,ネットワーク経由で結果を受け取るのが不可能なのだ。ちなみに,計算に必要なワークエリアがシミュレーションによっては1ギガバイトを超えるほど大きいのも問題だが,マシンがどんどん強力になっている昨今,そちらの方がまだクリアしやすそうだ。解決策としては,(1)回線速度が今の100倍くらいに速くなるか,(2)結果の集約まで分散処理に参加してくれる人にやってもらうか,と思ったが,やはり駄目だろうな。パワーのあるコンピュータを実習で自由に使える大学で人口学関係を教えるような立場になればいいのかもしれん。そういうところがあったら無給非常勤でも行くんだけど(常勤ならなお良いが,人口学の常勤のポストなんて経済以外ではほとんど無いからなあ)。

結局一日かけてやったことは,例のニューマシンその2は,Spectra7400 DDRが悪いわけでもなくマザーボードなど他の部分が悪いわけでもないのに合わせると安定動作しなくなるという,いわゆる相性問題であろうということの確認と,futureのsendmailの安全な設定と,論文1つの表作成を完了してメールで送信するということだった。何をやっているのやら。帰りは終電。


前【288】(転居のドタバタ騒ぎ(2000年4月27日〜28日) ) ▲次【290】(転居書類は面倒(2000年5月2日) ) ●枕草子トップへ