枕草子 (My Favorite Things)

【第415回】 Gnuplotの薦め(2000年10月27日)

昨夜は結局終電だった。4号車で座れたので,萩原君の論文チェックをしながら,死亡モデルの出力をgnuplot(千葉大の山賀正人さんが機能追加して日本語対応にしたもののWin32版バイナリをhttp://www.ipc.chiba-u.ac.jp/~yamaga/gnuplot+/からダウンロードして,説明通りにインストールしただけ)で図にする作業をした。gnuplotが偉いのは作業が軽いことや出力形式の多様さ(set terminal windowsとかset terminal postscriptとか打って端末モードを指定するだけで,postscriptやcgmはもちろん,CAD標準のdxfとか,gifとかpngで画像にもできるし,tpicとかeepicとかtexdrawみたいにLaTeXで扱える形にもなるし,latexというのもあるし,もちろんset terminal windowsの場合は画面で見られ,クリップボードに取り込め,プリントもできる),関数をそのまま図にできることなど多々あるが,中でもファイルサイズが小さいので,このvaioみたいなハードディスクが小さいマシンに載せるのにも躊躇せずに済むという利点は見過ごせない。かなりきめ細かい重ね合わせグラフまで作れるこのフリーソフトを使い慣れたら,MS-EXCELの作図なんか使う気にはならないと思うのだが,世の中そう感じる人はどうやら少数派らしい。ぼくの感覚では,EXCELの偉さはただデータ入力のしやすさという一点にしかなく,その機能はバージョン2.0あたりで完成の域にあったので,その後のバージョンアップはすべて無駄だったと思う。何十メガバイトもあるような必然性はまったく感じない。もし許されるならEXCELもWORDも即捨てるんだが,現実には共同作業が結構あるので,そうもいかないのがもどかしい。

長野駅を出ると,満天の星空だった。オリオンの三ツ星はもちろん,小三ツ星の辺りにぼーっとした光まで,ぼくの眼でも(最近の裸眼の視力は0.5くらいだと思うが)見えるくらい,空気が透き通っていた。こういう日は,放射冷却が激しくて寒いのだが,心が温かくなってくるのは何故だろうか。

1年でボロボロになった財布

家について食事を終えた時点で1:00を過ぎていたので,もうちょっと夜更かしして日本と中国のサッカーを見ようかという気もしないではなかったがやめたのは正解だったと思う。娘が寝ぼけて叫んだのに起こされてみると6:30だった。人を起こしておいて寝ぼけ続けているという所業は許し難いし,そんなに早朝というわけでもないので,こちらも娘を起こしてやった。今日は久々に時間的に間に合いそうなので,味噌汁を作った。具はタマネギと,切って冷凍しておいた油揚げである。仕上げに青みづけとして,冷凍しておいたネギをぱらぱらとふりかけて完成である。7:00前から揃って食事ができるのも久々である。しかし,どういうわけか家を出たのは7:45であり,8:05発あさま504号にもぎりぎりで飛び乗ったのだった。安心しすぎて気が抜けていたのだろう。もっとも,車内では昨日の続きをしていたが,高崎過ぎから熟睡してしまったから,もしかすると一週間の疲れが出ているのかもしれない。先代の財布が駄目になってからずっと使ってきた財布がボロボロのズタズタになってしまった(右上写真)ので,昨夜ヨドバシカメラ前に自転車を置いたことでもあるし,多慶屋に寄って新しい財布を買ってから研究室に来た。これでやっと,小銭が財布から落ちる心配をしなくてもよくなって嬉しい。


相当長い間悩んでいた,EWS4800/330でgccを使えるようにするとか,popperをqpopper2.53にするとかいう問題が一気に解決した。ux4800掲示板のおかげである。秋田大学のFTPサイトから,StarterKitとgcc-2.95.2のバイナリをダウンロードして展開しただけだと,gccは動くのにリンクができないという問題は,メッセージNo.473のおかげで,/usr/local/bin/asが有効になってしまうことが原因だとわかった。早速それをgasにリネームしたら,/usr/bin/asがリンカとして動作するようになり,gccでのコンパイルが可能になった。gasが使えないというのは盲点だった。popperの問題は,リンク時に未定義のシンボルが存在するというものだったので,適当なライブラリを指定できていないのではないかと見当がついていたが,メッセージNo.220のおかげで,socketとresolvが足りなかったことがわかった。リンカオプションとして-lsocket -lresolvを追加したことで,この問題は解決した。さらに,当該マシンはシャドウパスワードなのでINSTALLという文書に従って./configure --enable-specialauthしたのだが,Makefileを見るとPOP_AUTHがdefineされていなかったので-DPOP_AUTHを追加したところ,無事に新しいpopperができあがり,これを古いpopperに上書きして,rootでkill -HUP (inetdのpid)としたところ,完璧に動作した。素晴らしい。これでB's Biffでもエラーが出なくなった。

が,問題が一つ。これまでのpopperは,パスワードが期限切れになっても無視して応答してくれたのだが,2.53はそのアカウントはexpireしていますというメッセージを出して接続を切ってしまうのだ。もちろんこの方が正しい動作なのだが,telnetでログインして定期的にパスワードを変えているようなユーザがいかに少なかったかがわかった(自分はやっているので,この現状に気づかなかった)。これまでセキュリティ的には結構危ない状態だったことが露呈したということだから,いい機会だったかもしれない。

昨夜苦労した英語OSマシンは,新しくNICを買ってみるという教授の了解が得られたので,後で買いに行くことに。ついでに,元々つながっていたマシンが英語OSに変わったために外さざるを得なくなったフィルムスキャナをつなぐために,もう1台コンピュータを買ってもよいということになったので,14万円ちょっとで売られていたGatewayのPentium III 866 MHzマシンを注文してきた。英語OSマシン用のNICはCoregaの1880円のやつにした。今日もこんなにコンピュータばかり触っていては,駄目なんだが。

悪い予感は当たって,期限切れのパスワードを再設定する方法を教えて回るのと,英語OSマシンに新しく買ったNICを挿してみてやっぱり使えないのにがっかりしながらtrial and errorを繰り返すのとで,容赦なく日は暮れていった。人類生態出身の先輩が遠路見えたのに,ろくに話もできず英語OSマシンのセッティングをするのは,何か空しいものがある。しかし,こうなれば意地である。何としてでもこのマシンのネットワークを生かさねば救いがないので,一から検討し直し,終電直前までかかって解決を見たのである。あまりこの事例が参考になる人がいるとも思えないが,せっかくだから紹介しておく。netstat -rで見ると,どうもNICが2つ認識されているようなのがおかしいことにはずっと気がついていたが,まさかダイアルアップネットワークデバイス(オンボードのモデム)が悪さをしていたとは想像外だった。nbtstat -A 192.168.1.102nbtstat -A 192.168.1.201とやったときに表示されるMACアドレスが違うので,もしやと思ってモデムをdisableにして,NICのドライバを最新のものにアップデートし,さらに,レジストリにゴミがたまっているようだったのでwww.microsoft.comからダウンロードしたregclean.exeというのを実行し,NICのIPアドレスを設定し直したら,まるで何事もなかったかのようにルータが見え,次いで部屋の外にも出られるようになった。達成感に酔いしれながら,Network is now alive!!ってでっかく書いた紙をディスプレイに貼っておいた。

そういうわけで終電に乗って大宮まで立っていて,今4号車に座ったところなのだが,まったく,今日は七転び八起きの一日だった。最後に救われたので良しとしたいところだが,一日中コンピュータのメンテでつぶれた一日でもあったと考えると,勿体ないような気がするのも否めない。早くこういう仕事から手を引いてもいい身分になりたいものだが,今日も1つ選に漏れましたという公募結果が返ってきたので,なかなか道は険しいようだ。

立っていた間,萩原君の博士論文原稿をチェックしたのだが,座れてからは自分の論文の直しを始めた。こちらも締め切りが今月中なので,本当は他人のコンピュータのセッティングなんかやっている場合じゃないのである。ま,不可避だったことだから仕方ない。忘れることにしよう。


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