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国際情報検索

Latest update on 2020年4月28日(火).


授業のテーマと到達目標

国際保健分野では英語による情報検索とその読解,分析がきわめて重要である。

本講義では,実際の国際保健分野における問題を各自選んで系統的に文献検索を行い,レビュー論文を書くことを目的とする。そのため,WHOやFAOなどの国際機関のレポートやニュースリリース,学術雑誌掲載論文などの情報源から適切な情報を得る方法,その情報をまとめる方法などについて説明する。まとめたレビュー論文を参加者間で討論することで理解を深める。

講義室としてB202を予定しているが,選択人数によっては変わる場合がある。

授業の概要と計画

[4/7] この講義の概要 配付資料
*授業のテーマと到達目標
*授業の概要と計画
*情報検索の留意点
*レビュー論文とは
原著論文の例レビュー論文の例
*文献管理ソフトの使い方 この講義のために作成した資料:レビュー論文を書くには,Mendeley,JabRef, Zoteroなど,文献管理ソフトを使うと便利である。論文を書いたときに,さまざまな形式で引用文献として番号や著者名+発表年の形で論文本文に挿入し,論文末尾に引用文献リスト一覧を付すことが容易になる。
■文献管理フリーソフト情報:Mendeley日本語による紹介記事元ヘビーユーザによる記事),JabRef日本語による紹介記事),ReadCube日本語による紹介記事別の紹介記事),Zotero公式日本語ガイド石川県立大学流域環境学研究室「Zoteroを使って卒論を書こう」,北欧研究者両角達平さんのblog記事【卒論・レポート対策に】文献管理ソフトZoteroが最強すぎたので使い方をまとめました。文献情報とPDFファイルをうまく管理する(zoteroとzotfile)(大舘暁研究室)
[4/14] UNHCR,UNICEF,FAOから難民や子供の栄養・食糧問題を知る
演習
飢餓については,WFPの数字で見る飢餓だけでは「健康で活動的な生活を送るために必要かつ十分な食糧を得られていません」の基準値が不明なので,ソースとして上がっているFAOの世界の食糧不安の現状 2015を参照。
肥満については,GBD2013の結果が掲載されているLancet論文を参照。
世界の糖尿病の状況についてはIDFDiabetes Atlas(現在,第7版が最新)を参照。
ヨーロッパにおけるシリア難民の健康問題については,日本のメディアからはほとんど情報が得られないので,英語で検索する。WHO-EUROの移住と健康の特集ページがわかりやすい。一般に感染症が持ち込まれるリスクは低く,むしろ生活環境の変化や移動・難民生活のストレスなどによる慢性疾患や暴力や外傷が大きな問題と書かれている。あとは,2016年末にCDCが発表したSYRIAN REFUGEE HEALTH PROFILEか。
[4/21] WHOと米国CDC,ProMEDメール等から感染症情報を知る
演習MS-Word版
LibreOffice Writerでの実行例(講義時間中に適当にまとめたので,中身は鵜呑みにせず出典をご確認ください)
☆なお,Zoteroの使用言語の設定は,ツール>環境設定>エクスポート>言語(デフォルトのフォーマットの下)で可能ですし,引用における使用言語はスタイルを選ぶダイアログで変更できます)
World Health Organization
WHO神戸センター
WHO疫学週報(神戸大学大学院保健学研究科の事業として1999年から2017年まで実施した,Weekly Epidemiological Recordの抄訳)
Center for Disease Control and Prevention, USA (CDC)
国立感染症研究所・感染症情報センター
ProMED-mail国際感染症学会により提供されている,新興感染症情報がメールで得られるプロジェクトのサイト)
[4/28] WHOや米国NCI等のサイトと論文から世界のがんや糖尿病などの慢性疾患対策について知る
演習(Word)演習(LibreOffice)
解答例:LibreOffice Writer+ZoteroでAmerican Medical Associationスタイル,それをpdf化したもの(解答例の日本語要約は講義時間中に大雑把に原文を読んでリアルタイムで書いたものなので,正確性は保証しません。何かに使いたい方は原文をチェックしてください)
[5/12] レビュー論文あるいはメタアナリシスの読み方と書き方についての実践演習
*実際にテーマを決めて文献検索し,文献管理ソフトで整理しながらレビュー論文を書く。
(5-1)テーマ選定:インフルエンザパンデミック,先進国における風疹,薬剤耐性結核,コレラの流行,天然痘の撲滅,バイオテロ対策,ポリオ対策,マラリア対策,都市の健康格差とスラムの問題など,国際保健上,各自が関心をもつテーマを選定する
(5-2)古典的なテーマであれば教科書を読む必要がある。比較的新しいテーマであれば,そのテーマについての良いレビュー論文を探して読む。その論文で引用されている論文のうち重要なものは原論文における記述が適切に引用されているか確認する(最低限,PubMedなどでabstractは見る)。さらに,そのレビュー論文を引用している,その後の研究論文を検索して読む(Google Scholarでも可能)。もし既存のレビュー論文がなければ(あるいは,あったとしても,その論文より新しい時期について),関連する原著論文を系統的に検索して(方法のところに,どういうデータベースで,どういうキーワードを指定して,どの期間の文献を検索したかという情報を明記する必要がある。使ったデータベースによってはSQL文を記載しても良い),すべて読む(あまりに膨大な場合は,適切に除外基準を設定し,読む文献を絞っても良いが,abstractくらいはすべて目を通す必要があるだろう)。
(5-3)そのテーマについてこれまでに何が分かっていて何が分かっていないかをまとめる。その過程で可能ならメタアナリシス(同じ指標値と考えられるデータを文献から抽出し,EZRなどのソフトで解析することによって,対象や時期の違いを超えて共通した関係性がみられることを示せれば強いエビデンスとなる)を行う。
(5-4)レビュー論文を書く。Introductionとして,そのテーマがなぜ重要なのかという背景と,このレビューが必要な理由を簡単に書く。Methodとして使ったデータベースや検索語を含む文献検索の方法・手順を書く。メタアナリシスならば統計手法とソフトウェアも書く。Resultとしては見つかった文献を適切に集約して内容をまとめる。メタアナリシスならばフォレストプロットなどを描き,要約統計量を計算する。Discussionとしては,まとめからわかったことが,Introductionで示した当該テーマに対してどのような貢献をするのかを先行研究を適切に引用しながら書く。
神戸大学図書館 学術論文/雑誌記事を探すから,PubMed,Web of Scienceなど,神戸大学から検索可能なデータベースがリンクされている。
[5/19, 5/26] (この時間帯に限らず,論文のまとめ方についてメールで個別相談に応じる)
[6/2] レビュー論文発表・討論会
*Zoomの画面共有機能を使って順次発表する。

成績評価と基準

各自の書いた論文・発表内容や他の発表者へのコメントなどから総合的に評価する。

履修上の注意(準備学習・復習、関連科目情報等を含む)

ある程度の英語の理解力は必要である。

オフィスアワー・連絡先

火曜日18:00~18:30,E707

学生へのメッセージ

英語による情報検索は今後必須なので,多少英語が苦手であっても,頑張って参加することをお薦めする。

参考書・参考資料等

随時提示する。

キーワード

国際保健,情報検索


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