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個別メモ
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【第825回】 講義(2007年6月13日)
- 6:00起床。朝食をとってから娘の朝練につきあう。暑くて夏みたいだ。小学校のグラウンドを広く使うために他の子より後の時間帯に練習しているんだが,この暑さでは逆に早い方にシフトして5:00から5:40とかにした方がいいのかもしれない。往路あさま512号。
- メールの返事を打ちながら講義準備を継続。資料印刷を考えると,14:00頃がデッドラインだな。
- Googleで「中西準子 DDT」で検索してみると,先週の中西さんの主張が,(このメモでは批判したのだが)無批判かつ誤解されながら広まっているようでまずいと思う。いくつかの事実が無視されている。WHOが古知新博士を責任者に据えてプロパガンダを始めたのは確かだが,それ以前からコストや効果を考えて必要な場合にはDDTの屋内噴霧はされ続けていた(いる)ということ。DDTが使われなくなったりハマダラカが増えてマラリアが再燃したところの主な理由はDDT耐性のハマダラカが増えたり(スリランカでは1964年にいったんDDT散布をやめているが,それはマラリア患者が激減して散布の必要がなくなったと判断した政府がコスト削減のためにやめたのである。1968年から1969年に大流行があって50万人の患者が出てから政府はDDT散布を再開したが,既にハマダラカがDDT耐性になっていて著効のないままに散布が続けられたというのが実態であった),蚊の行動特性が(屋内繋留性から屋外吸血性へと)変わったりした影響が大きいこと。5億人発症は過大評価の可能性があること。権威あるWHO(の一部)と中西さんの見解が伝播する過程で,そういった事実が無視され,DDTをもっと使えという風潮が高まるとしたら非常にまずいのではないか。マラリア専門家ならもちろんこんな誤解はしないのだが,日本語でも読める本があるので,一般の方は,長崎大熱研の教授だった和田義人さんの『環境開発の置き土産 蚊がもたらした疾病との闘争の歴史』(とくに第9章)日本環境衛生センター,2000年,ISBN 4-88893-078-3(Amazon | bk1),あるいは,アンドリュー・スピールマン(Andrew Spielman)&マイケル・アントニオ(Michael D'Antonio)(共著),奥田祐士(訳),栗原毅(監修)『蚊 ウイルスの運び屋 蚊と感染症の恐怖』ソニー・マガジンズ・ヴィレッジブックス,2004年,ISBN 4-7897-2274-0(Amazon | bk1)でも読まれたらいいと思う。ともかく,マラリア流行地の多くで,ハマダラカはDDT耐性になっていたり屋内繋留性を失っていたりするので,無効なところで撒くという愚だけは冒さないでもらいたい。リスク評価の専門家である中西さんにしても,失礼ながらマラリアについてはあまりご存じないのではないか。それゆえの誤解ではないかと思うのである。
- まずい。もう13:00近い。
- 15:10に原稿が完成し,15:45までA3で9枚の資料(当該講義のページからダウンロードできるようにした)を90部印刷して講義に入った。16:00から21:00まで,途中1時間の休みはあったがきつかった。
- メールの返事を打ったりスキャンしたり電話したりして,22:00近くに研究室を出て,復路あさま555号。
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