Top

個別メモ

Latest update on 2012年3月5日 (月) at 10:54:46.

【第1908回】 長野は曇天だったが前橋は晴天（2011年6月24日）

• 自転車で長野駅へ着くまでの間は，それほど暑くなかった。往路新幹線で，青柳碧人の数学少女シリーズ2冊目を読了。第4話（これを第log10000章と書く遊び心がいい）のNagisa in the Wonderlandが素晴らしい……のだけれども，このネタでSF設定も入っている以上，せめて赤の女王にRSAとかQuantum Computerを匂わせる発言くらいは欲しかったところか（個人の趣味としては）。この巻では数学を高度化させる方向ではなく，むしろクイズ性が高まったように思う。さすがクイ研出身の作者だけある。数学をネタにした小説として，第3の行き方を開発したといえようか。もちろん学習漫画などでは先駆者がいたわけだが，こういう小説としては，たぶん新しい（とはいっても，その新しさは川端が『アリスメトリック！』でやってしまったことほどではないが）。なお，本書に出てきたようなカレーが343＝7³円で本当に食べられる店があるなら通いつめたいくらいだが，値段から考えてフィクションに違いないのは残念だ。
• 高崎で乗継ぎ待ちの間に，万能鑑定士QシリーズのX巻と，山本太郎さんの岩波新書の新刊と，新型うつについての新書と，Big5（英語版ならpsychパッケージの開発者のサイトで試せる，有名な性格検査）日本語版監修者にして『「心理テスト」はウソでした』著者である富山大の村上さんがfprで宣伝していた本『性格のパワー』を買ってしまった。最近は読みたい本が山ほど出て困ってしまう。QのXはすぐ読めそうなので，両毛線ではこれを開いたが，物語時間としては鑑定士となった頃の話のようだ。
• 昼，とよだのランチを食べつつ，QのX（松岡圭祐『万能鑑定士Qの事件簿 X』角川文庫，ISBN 978-4-04-383651-2（Amazon | bk1 | e-hon））を読了。これまでの9冊の間に経過した物語時間を振り返る作品であり，第I巻の中心となる事件以前に起こった話がメイン。ただ，政府の危機管理能力批判をあの文脈で入れるのはちょっと強引かも。小ネタのクイズ性は，ある意味，青柳碧人の数学少女シリーズと似ている（青柳作品の方が死人が出るのに対して，こちらは「人の死なないミステリ」を売りにしているが）。物語としてはこなれているので楽しめる。なお，途中で出てきたビンゴゲームの正解の理由が説明されていなかったので書いておくと，これは確率論の初歩で，生起確率1/100の事象が50回の試行で少なくとも1回起こる確率が尋ねられていると考えたら，1から「一度も起きない確率」を引けばいいことがわかり，1-0.99⁵⁰から約0.395であることがわかる（暗算ではできないと思うが）。7対5で起こらない確率の方が高いという解答だが，それだと起こる確率が約0.417ということになり，あまりいい近似とはいえないと思うが，69回目で半分を超えるというのは，1-0.99⁶⁸が約0.495で，確かに1-0.99⁶⁹がわずかに0.5を超えるので，こちらは正確だ。ちなみに，Rでシミュレーションしてみるには，例えば次のコードを試されたい（ちょっと時間がかかるが）。乱数によって多少結果がぶれるけれども，summary(hits)の結果，平均値はだいたい395くらいになると思う（もっとも，本物のビンゴゲームでは，普通，同じ数字は二度と出てこないから，復元抽出してしまうこのビンゴゲームマシンはインチキである。replace=FALSEで計算してみると，実は直感と同じ，確率1/2くらいが期待値になることもわかる。この場合は1回当たりの条件付き確率で計算すると難しいが，素直に100種類のうち50種類をランダムに選んだ中に特定の1種類が含まれている確率を考えたら1/2は自明だろう）。

  hits <- res <- 1:1000
  for (j in 1:1000) {
  for (i in 1:1000) { res[i] <- ifelse((20 %in% sample(0:99,50,replace=TRUE)),1,0) }
  hits[j] <- sum(res) }
  hist(hits)
  summary(hits)

• 今日の前橋は暑い。戸外は体温より高い。さすがにこれは，冷房なしではいられない。こういう時にセールス電話がかかってくると，いらっとする。聞いたこともない会社のナイトウと名乗る若い男性の声で，所得税や住民税云々とセールストークが始まりそうだったので，いつものように関心ありませんと言って切ったところ，すぐにリダイヤルしてきて「どうして話も聞かないで切るんですか」と逆切れされたのには驚いた。これまでかかってきたセールス電話は，大抵一度で引きさがってくれたのに珍しいなあと思ったが，実は世間にはよくあるタイプの迷惑電話であるらしい。聞かなくてもどうせ節税対策のセールス電話だろうし，それはまったく関心が無いので，時間を無駄にしないためにも2度と掛けて来ないでくださいと言って切ったのだが，3度リダイヤルしてきて，あなたは老後の備えに関心がないのですか？　何か準備されているというならどういう準備をされているのですか？　としつこく訊いてくるのだった。そんなことを教える義理はありません，もう電話しないでくださいと言って切ったのだが，再びリダイヤルしてきたので，今度は受話器を取らずに留守電になるに任せたら，さすがに諦めたようだった。しかし鬱陶しいセールスだった。このように気温が高くて不快になっている日に逆切れ系のセールス電話をされると，つい冷静さを失って暴言を吐いてしまいそうになるが，それを楯に訴えてくるのが彼らの手口らしいので，冷静さを失わないのが重要だ。先に留守電に対応させ，知り合いからの電話と分かってから受話器を取るのが良かろう。
• 人類生態学の講義資料が何とか完成したのが22:00過ぎだった。月曜の1コマ目までに105115部の印刷を済ませる必要があるから，これは泊まって明日の朝印刷してから帰った方がいいと判断し，妻に電話してOKしてもらった。せっかく泊まることにしたので，月曜の講義である，人類生態学と老人保健の法律と制度のプレゼンも仕上げておこう。土曜の早い時間のうちに地区組織の配り物を済ませたいし，日曜は公民館清掃もあるので，できれば明日は昼までには帰りたいところだが。
• 23:00頃に晩飯を「すき家」で食べながら，青柳碧人の数学少女シリーズ3冊目を読んできたが（読了はできず），さすがに設定の不自然さがいろいろと鼻についてきたな。高校生から39歳までの全国民に教育ソフトにより後催眠をかけてあるとしても，40歳以上で数学ができる警察関係者だって協力してくれる人だっているだろうから，何も中学生の少女に協力を仰がなくたって良かろうし，このストーリーの状況ならばテロのターゲットは文部科学政策立案上のキーパーソンにするのが筋だろうに出鱈目にターゲットを選んでいるようだし，警察内部の全コンピュータが無線LANかWiFiで直接インターネット接続されているとは思われない。数学のネタも，ますますクイズと受験数学のmixtureになってきたので，何だか数学の面白さとは違う方向に行ってしまっているようだ。もっとも，数学史上のエピソードなどは小ネタとして面白いし，独特のユーモア感は悪くないのだが……。

▼前【1907】（とりあえず方針決め（2011年6月23日） ）　▲次【1909】（前橋は今日も晴天（2011年6月25日） ）　●Top

△Read/Write COMMENTS

Notice to cite or link here | [TOP PAGE]