Proceedings of the National Academy of Sciences, USAの最新号の目次が届いたので,面白そうだと思った論文をダウンロード。1つはArdipthecus ramidus, Australopithecus anamensis, Australopithecus afarensis, Australopithecus africanusの頭骨と歯の特徴を文献レビューして,440万年前から230万年前にかけて彼らの食性が大きく変わったというもの。つい先日,600万年前の猿人(Millenium Ancestorと名づけられた:朝日新聞の記事)化石がケニアで発見されたのでもっと遡ってしまったが,この論文が投稿された時点では,最も早期の人類進化を扱った論文だったわけだ。硬い食べものを噛むのに適した歯をもった初期人類たちの切歯のエナメル質は,徐々に厚くなり,歯の大きさも大きくなっていったという。このことは初期人類がかなり肉食をしていたという知見と矛盾するようにも見えるが,すべての肉が硬いわけでもないし,やわらかく加工していたかもしれないから,肉食とやわらかい食べものに適した歯は必ずしも矛盾しないとのこと。著者らの主張は,初期人類に見られたこの歯の変化は,気候変動に伴う食糧の変動と関係しているという点にあるらしい。
Teaford MF, Ungar PS (2000) Diet and the evolution of the earliest human ancestors. PNAS, 97(25): 13506-13511.