枕草子 (My Favorite Things)
【第576回】 皺寄せ(2001年7月2日)
- 往路あさま502号。2日間休んだということは,その分の皺寄せがくるということだ。今日から,遅くとも明日の昼までには,ミーティングの準備を完了せねばならない。もっと問題なのは,社会調査の講義でやった小テストの採点がほとんど手付かずだということだ。効率よく時間を使わねば。
- 往路あさま号の車中で「ニコチアナ」を読みおえた。オビの惹句『前人未到の快挙!「タバコ」という名の「近代」に正面から挑んだ知的サスペンス』というのは嘘ではないが,ちょっと本質を外しているかも(なお,もっと大きな文字で書かれている『高層ビルを覆いつくす新種の植物群。自然の復讐か,あるいは……』というのは,反則に近い惹句だと思う。これだけだとBH85とかグリーンレクイエムみたいな話を想像してしまうが,全然違うのだ)。これは,サスペンスである以上に物語であり,新しい言説の構築なのだと思う。なぜなら,クライマックスでの「解体」は現実の分析ではないし,この物語には決着がついていないから。
- なお,p.346に出てくる,総合月刊誌の「今,タバコを考える」特集というのは,「ノンフィクション作家」という肩書きでの川端裕人の最近の著作として「望星」の5月号から7月号まで短期集中連載された「タバコ問題を考え直す」を想起させる(というか,意図的に書いたのだろう)。実は川端が言いたいテーマは同じなのだと思うが,「ニコチアナ」以上に,「タバコ問題を考え直す」の方が伝わりやすいと思った。
- 「人口学研究」の最新号が届いた。原俊彦「狩猟採集から農耕社会へ−先史時代ワールドモデルの構築−」の書評が掲載されたが,こんな長い書評を読んでくれる人がいるのかどうか,ちょっと不安だ。
- いつの間にか,Yahoo! JAPANに,オセアニア研究というカテゴリができたようだ。気づかなかった。自分のを含めて知っているサイトばかりなので,情報としての意味はないが。
- 昼前に,息子が乳児期にお世話になっていた保育園に借りたものを返しに行ったついでにオリンピックに行き,自転車のチューブを買ってきた。たぶん,これが一番安さと簡単さのバランスがとれた修理法だろう。そもそもタイヤパンドーをやってしまったので普通の修理はできないし。そう考えてみると,チューブとそう変わらない値段のタイヤパンドーを買うのは,馬鹿馬鹿しいことだと思う。うん,今後のパンクでは即チューブ買いに走ろう。
- 夕方までに結構ミーティング準備は進んだが,先月からやっている研究のきっかけとなった論文の紹介なので,ついつい論文の続きを書きたくなって困る。
- 帰りは終電1本前。川本敏編「論争・少子化日本」(中公新書ラクレ)を読了。面白い文章(どうもデータに基づいてきっちりと論理構築をしたものでない論説文を論文と呼ぶのは抵抗があるのだ。もちろん中には論文と呼ぶのに相応しい骨格をもったものもあったが,例えば境屋太一の文章なんかは論文とは呼びたくない)もあったのだが,編者が予断と偏見をもっているのが鼻についた。こういうのはきちんと書評を書いておくべきなんだろう。ちなみに,日本人口学会の学会誌「人口学研究」では,次号に新刊短評が載るそうだ。今回は担当にならなかったので,自分の書評掲示板に書こう。
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