枕草子 (My Favorite Things)
【第605回】 クラック(2001年7月31日)
- 昨日に続いて,往路あさま502号。昨夜届いていた月刊水情報を読む。三番瀬市川部分のミティゲーション案が読み応えがある。先日年間購読料を払ったときに,名前と住所の訂正願いを書いておいたのだが,相変わらず間違った名前で送られてくるのは勘弁して欲しい。まあ,年間6000円でこれだけの内容が読めるなら安いものだと思うが。
- 研究室に着いていつものようにメールを見ると,sv1号のセキュリティレコードの異変が,cronによる自動レポートとして届いていた。binとoperatorとnobodyのパスワードまたはユーザIDが書き換えられ,/bin/.loginと/sbin/.loginと/usr/bin/.loginと/usr/sbin/.loginが書き換えられたというメッセージを見て青くなった。間違いなくクラックである。BSD系のtelnetdの脆弱性についてCERTから数日前に出た警告をみて,パッチを当てなくちゃなあと思っていたところだったので,たぶんそこを突かれたような気がする。
- コンソールから再起動しようとしたが,どのユーザでログインしようとしても,/bin/.loginがおかしいというメッセージが出て撥ねられてしまい,ますますクラックの可能性が高くなった。無理やり再起動したら,起動プロセスの最後にsmtpfwddという(起動設定をした記憶はない)デーモンが動作するようになっていて,SPAMの中継に使われる可能性が高そうな気がしたので,慌ててネットワーク接続を切った。
- もはやハードディスクを初期化して再インストールするしか道はないのだが,今日はこの対策で一日終わってしまいそうなのが悲しい。
- セキュリティの都合上詳しくは書かないが,萩原君と竹内君の助けを借りながら16:00過ぎに何とか復旧した。telnetdのパッチも当て(最初うまくできなかったのは,FreeBSD-SA-01:49.telnetd.ascにライブラリをmakeする手順が書かれていなかったためだった。FreeBSD-SA-01:49.telnetd.v1.1.ascでは直っていて,簡単にmakeできた),sambaも殺したし,ユーザのパスワードも変えたので,これで当面何とかなるだろう。予想通り,相当に疲れた。
- その後,慌てて自転車を上野駅まで飛ばし,階段を駆け下りて16:54発あさま523号に間に合った。これで自転車を取りに行くことができる。座れたので,河上亮一「普通の子どもたちの崩壊 現役公立中学校教師一年間の記録」(文春文庫)を読了した。これはつまり,崩壊していく過程というのではなく,地域社会が崩壊し,それによって支えられてきた教育の場としての学校の位置付けが崩壊した後,という意味での「崩壊」だし,その現場における暗中模索の記録なのだな。それを「崩壊」と喝破しつつも,子どもを社会化するという「教育」の役割を果たそうと実践しつづける著者の姿勢は圧倒的である。救われるのは,そういう著者の思いに応えることのできる子どもたちも,ちゃんと存在しているということだ。おそらく,こういう著者の姿勢には異論もあるだろうが,家庭や地域社会がその役割を投げ出している場合が多い以上,学校がそれをしなくては社会が成り立っていかない(少なくとも根本的なところでルールが変わってしまう)という危機感には共感せざるを得ないのだ。
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